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本の紹介93冊目 『戦争広告代理店-情報操作とボスニア紛争』

こんにちは、TAKUです。

今日紹介するのは、
高木徹さんの著書『戦争広告代理店-情報操作とボスニア戦争』です。

この本は、日本のジャーナリストで
NHK職員でもある著者が、

国際世論をつくり、
誘導する情報戦の実態を圧倒的な迫力で描いた
一冊です。

【著者の高木徹さんについて】

著者は、90年に東京大学文学部卒業後、
NHKにディレクターとして入局し、
現在は報道局に勤務しています。

また、2000年10月放送のNHKスペシャル
「民族浄化~ユーゴ・情報戦の内幕~」は、
優秀なテレビ番組に贈られるカナダのバーフテレビ祭「ロッキー賞(社会・政治ドキュメンタリー部門)」候補作にもなりました。

同番組の取材をもとに執筆した、
『ドキュメント 戦争広告代理店―情報操作とボスニア紛争』は、大きな話題を集めて、

講談社ノンフィクション賞・新潮ドキュメント賞を受賞しました。

さらに、第2作の『大仏破壊―バーミアン遺跡はなぜ破壊されたのか』(文芸春秋)で、
大宅壮一ノンフィクション賞を受賞しており、
気鋭のジャーナリストとして期待されています。

【勝利の果実】

ボスニア・ヘルツェゴビナの首都サラエボは、
美しい街で、周囲に1984年冬季五輪の会場
となったスキーリゾートがあり、

街はその山並みの中の盆地にあります。

このサラエボには、
西側先進国をはじめとした国々から
争うように流れ込んでくる金と人と
資材が有ります。

この国こそが、
1990年代におきた民族紛争、
ボスニア紛争で戦われた「情報戦争」
勝利したことの果実だと著者は言います。

一方で、サラエボから200km離れた、
セルビア共和国の首都ベオグラードでは、

街を覆う空気の色は「灰色」であり、
建物も、街も、店も、すべてが
すすけていると言います。

この理由は、
当時1992年の春から旧ユーゴスラビアの
民族紛争が行われて、ここで数十万という
命が失われてたためです。

ここでかつては、
「情報」や「PR」という、
目に見えないが実に弾丸よりも恐ろしい
力を発揮する武器が、

・ニューヨーク
・ワシントン
・ロンドン

などで、
使われていました。

これらは、
情報を操作をする側が誘導の仕方次第で、
国際世論がどちらにでも傾く可能性があるため、PR戦略が重要になるためです。

つまり、人々の血が流された戦いが
「実」の戦いだとすれば、

ここで描かれている戦いは、
「虚」の戦いだと言います。

現代は、PRや情報戦が、
「実」の帰趨の全てを決めるのではないが、
「虚」の戦いが「実」の戦いに大きな
影響を与えることも紛れもない事実です。

今後は、
より情報化社会が広がっていく中で、

その果実を得ることが勝者と、
多くを失うことになる敗者が
毎日生み出されるのだと学びました。

また、各国の政治の裏舞台で、
「陰の仕掛け人」が存在していることも
学ぶことができました。

【民族浄化】

この言葉は、著者が当時の取材で
スペインのバルセロナにいたときに
とある売店で見かけた『ニューズウィーク』誌の表紙で見つけた言葉です。

この言葉は、当時の民族紛争中に、
あらゆるメディアで使われていました。

また、
アメリカの大手PR企業の、
国際政治局長であるハーフは、

これは、「メッセージのマーケティング」
であると言います。

人々が覚えやすいようなキャッチコピーとして、「民族浄化」という言葉が使われたためです。

このように、
言葉を巧みにメディアで発信して、

陰の仕掛ける人たちが、水面誘導で
戦争を引き起こしているのだと学びました。

【最後に】

この本は、日本のジャーナリストで
NHK職員でもある著者が、

国際世論をつくり、誘導する情報戦の
実態を圧倒的な迫力で描いた一冊です。

ぜひ読んでみてはいかがでしょうか!

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