本の紹介1冊目『父が娘に語る経済の話』
今回紹介する本は、バルファキス・ヤニスさんの著書『父が娘に語る経済の話』です。
この本は、「資本主義はどのようにして生まれたか?。」「格差はなぜ存在するのか?」その答えを語りかけるような調子で、わかりやすい言葉を使ってまとめられています。
以下に著者のヤニスさんについてと、特に勉強になったポイントを書いています。
【著者のバルファキス・ヤニスさんについて】
ヤニスさんは経済学者で、2015年1月に成立したギリシャの急進左派連合政権(チプラス政権)で財務大臣を務め、国際債権団(トロイカ)との債務再編交渉を担当しました。
政権入りするまでは長年にわたり、英国、オーストラリア、米国の大学で教授職を務めました。
大臣職を辞任した後は、民主主義の再生に向けて活動し、世界中の聴衆に語りかけています。
2016年からは欧州の草の根政治運動、DiEM25(民主的ヨーロッパ運動)の顔役を務め、2018年11月には米国の上院議員バーニー・サンダース氏らとともに革新的左派の国際組織、プログレッシブ・インターナショナルを立ち上げました。
【経済の基本は「余剰」から生まれた】
経済は元々、何から生まれたかというと最初は農耕から生まれました。
野菜や果物が自然にできない地域は、自分たちで人為的に農作物を作る必要があったので、そこで農耕を発展させました。
人為的に農作物を作れるようになると、そこで「余剰」が発生し、この余剰が多くのものを生み出したと言われています。
この余剰が発端として、文字、債権・債務、通過、国家、軍隊、宗教、テクノロジーが生まれました。
元々、経済に必要な要素というのは農耕で、農作物を作るようになってから経済の基本が出来上がったと紹介されています。
【格差を生んだものは何か?】
ヤニスさんの娘は「格差は何故存在するか?」を疑問に思っていました。
これに対してヤニスさんは「アボリジニはなぜイギリスを侵略しなかったのか?」という話をしました。
それは、アボリジニには余剰がなかったからで、余剰は経済を生むのと同時に格差も生んだというお話しです。
オーストラリアで余剰が生まれなかった理由は、自然の中の食べ物で事欠かなかったからで、作物を貯めるという概念が生まれませんでした。
一方、イギリスで余剰が生まれたのは、オーストラリアと異なり、気候に恵まれなかったので作物余剰を貯めないと生き抜けなかったからです。
ユーラシア大陸では、余剰作物が必要でした。
それに加えて国土が南北に長すぎず、気候が大陸内であまり変わらないため、余剰を生む為に磨かれた農耕技術は、どの地域でも適用でき、大陸内で急激に広まりました。
そして、巨大な帝国が築かれ、国家の力は加速度的に強まっていきました。
つまり、格差を生んだのはイギリス人とアボリジニというDNAの違いでもなければ、性格や知性でもありません。
大陸の形と場所、そしてそれによって生まれた余剰が全てを決めたということです。
【当たり前のことに疑問を持ち続ける】
人間は、自分が何かを持っていると、それを当然の権利だと思ってしまいます。
何も持たない人を見ると、同情してそんな状況に怒りを感じますが、自分たちの豊かさが、彼から何を奪った結果かもしれないとは思わない。とヤニスさんは語られています。
この世の中の格差は当たり前ではなく、「どこから格差が始まったのか?」などを学ぶことで、今の世の中に疑問点を持ちながら生きていくことが大切だと学びました。
また、本書は「人としてどう生きたいか?」という問いかけもあり、自分としての在り方も考えさせられる本となっています。
経済のことを分かりやすく理解できるので、
ぜひ読んでみてはいかがでしょうか!
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