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本の紹介74冊目 『バンクシー-アートテロリスト』

こんにちは、TAKUです。

今日紹介するのは、
毛利嘉孝さんの著書『バンクシー-アートテロリスト』です。

この本は、
社会学者である著者が、

世界各地でゲリラ的に出没し、
多くの話題をさらうストリート・アーティスである、

「バンクシー」の全体像に迫るガイドブックです。

それでは紹介していきます。

【著者の毛利嘉孝さんについて】


著者は社会学者で、
東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科教授でもあります。

専門は社会学、文化研究/メディア研究です。

京都大学を卒業後、
ロンドン大学ゴールドスミス・カレッジPh.D.(社会学)、九州大学助教授などを経て現職です。

現代文化や社会運動を中心に、
批評活動を行っています。

【「バンクシー」とは?】


「バンクシー」とは、
英国を拠点とする匿名のアーティストで、
路上芸術家、政治活動家です。

彼の風刺ストリートアートと
破壊的なエピグラム(風刺的な短歌)は、

独特のステンシル技法で実行された、
落書きとダークユーモアを組み合わせたものです。

【日本での発端について】


まず、
日本での「バンクシー」の発端は、

2019年1月に東京都港区の東京臨海新交通
(通称、ゆりかもめ)の日出駅近くの防潮扉で、

一匹のネズミの絵が見つかったことです。

そしてこのときに、
小池百合子東京都知事が、
社員入りのツイッターの投稿をしました。

それが大騒動になったのは、
これが単なるネズミの写真ではなく、
世界的に有名なストリート・アーティスト、

バンクシーの作品かもしれないとされたからです。

それ以降、
メディアでも話題として取り上げられて、

この騒動は、
日本中で「バンクシーの作品かもしれない」
落書きが次々と発見されていきました。

【世界が震撼した「シュレッダー事件」のあらまし】


2018年10月5日、
サザビーズ(世界最古の国際競売会社)が
ロンドンで開催したオークションで、

バンクシーの1枚の作品が競売にかけられます。

作品のタイトルは、『風船と少女』であり、
赤いハート形の風船が少女の手から離れて
空に飛んでいくようすを描いた作品です。

オークションにかけられたのは、
その絵画作品バージョンで、

所有者はバンクシーから直接購入したものでした。

この時、
落札価格は、約1億5000万円で、

落札者が決定した瞬間に事件が起こります。

それは、会場にアラーム音が鳴り響き、
『風船と少女』の絵画が、

額縁にあらかじめ仕掛けられていた
シュレッダーによって裁断されました。

バンクシーは、自身のインスタグラムで、
「破壊の衝動は創造の衝動でもある」という、

ピカソの言葉とともに、
「競売にかかったら裁断するために」
シュレッダーを数年前に取り付けたと言います。

これは、
美術作品をお金の方でしか判断しない、
オークションという再度に批判的だったからです。

【古代ギリシャのバンクシー】


このバンクシーの絵画に見られるように、
「落書き」というのは、

「美術」「アート」が存在するはるか前から
存在していました。

例えば、
古代ギリシャの都市エフェソスには、
一世紀あたりに描かれた最古の落書きの一つがあります。

これは、一種の「広告」で、
人間の足跡が描かれ、その足跡のサイズや
一緒に描かれた箱によって、

年齢制限や支払いが必要なことを
メッセージとして伝えたと解釈されています。

このように、
人々は「合法・非合法」という議論をするはるか前から、

自由に絵を色々なところに描いていました。

落書きは、
人間の原初的欲望の発露であり、

人間と自然、そして超自然的な
現状を結びつけるツールなのだと学びました。

【最後に】

本書は、
英国の正体不明の匿名アーティストの
全体像に迫る入門書
です。

ぜひ読んでみてはいかがでしょうか!

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