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企業文化を重視してアマゾンに勝った『ザッポス』とは?

今日はザッポスの奇跡からの抜粋です。

今更ながら『Zappos』をご存知でしょうか?

ザッポスはCEOのトニー・シェイが設立した靴のECで企業文化が非常に独特なことで話題になり、コンタクトセンターのWOW(驚愕、神)な対応や、人事採用の採用基準などが非常に面白い会社です。

本書は2009年に出版されているのですが、今でも十分通用する内容となっています。

全員で同じ目標に向かう

ザッポスは、利益以上に企業文化を第一に考え行動します。

その企業文化は、CEO自らが独断で決めるわけでもなく一方的な形で決めるものでもありません。

ザッポスでは、経営陣と社員が一団となって、みんなが同じ目標や理念に向かって進んでいくことで、「組織」の強みを活かしながら「個」を活かせる会社になれると信じています。

その証拠に、アメリカではコールセンターなどの業務は、次の就職先の繋ぎとして、一時的に働く人が多いようですが。ザッポスでは、そのコールセンター(コンタクトセンターと呼ぶ)こそが、会社の主力部門にあたります。

そのため、コンタクトセンターの社員は決して繋ぎや、一時的にそこで働いているわけではありません。

年に一度の繁忙期(クリスマス前)にはCEOであるトニー・シェイ自身もコンタクトセンターの業務に加わります。

なぜアマゾンは、ザッポスを買収したのか?

2009年にアマゾンはザッポスを買収しました。

その当時の両社の売り上げ規模でもアマゾンの方が数十倍上でした。そこで、世間ではよくある大が小を呑みこむ形の買収など、靴やアパレルで一歩先を走っているザッポスを規模拡大のために買収したなどと、様々な憶測が駆け巡ったみたいです。

しかし、本当のところはアマゾンとザッポスの2社の共通点は顧客満足です。アマゾンは最先端のIT技術を駆使して顧客満足度を高める方法を行い、一方でザッポスはITを使用しつつも、従来から存在した人を、思う気持ちと、人と人との繋がりを大切にして、顧客満足度を高めてきました

そこで言われているのはアマゾンは、ザッポスの企業文化が欲しくて買収したと一部言われいます。

一見オンラインだが、実際はオフラインに近い体験

ザッポスでは、商品の配達にも、返品にも料金をとることはありません

これはトニー・シェイが掲げるポリシーの一つで、以下のように説明しています。

普通の店に行くと、定員さんが靴を裏から出してきてくれるでしょう。例えば自分はサイズ8だと思っても、念のために8.5も持ってきてもらう、なんて頼み方をしますが、その時に手数料をとる店なんてありません。それと同じです。

靴をECで販売することは、当初非常に難しいと言われてきました。

理由は、同じサイズ8でも、メーカーによって若干サイズが異なるからです。その問題をECでどのように解決するかを考えた結果、リアル店舗の試着からヒントを得たのでしょう。

ちなみにザッポスでは、購入から365日以内なら、いつでも靴を返品することができます。(野外を歩いた靴以外)

なぜそこまでするのか?

それは顧客がECで靴を買うときの障壁は非常に高いので、このようなサービスを行うことで心理的ハードルを下げたのです。

社員が全員ザッポニアンになる採用基準

ザッポスには10のコア・バリューがあります。

1.サービスを通じて,WOW(驚嘆)を届けよ
2.変化を受け入れ,その原動力となれ
3.楽しさと,ちょっと変わったことをクリエイトせよ
4.間違いを恐れず,創造的で,オープン・マインドであれ
5.成長と学びを追求せよ
6.コミュニケーションを通じて,オープンで正直な人間関係を構築せよ
7.チーム・家族精神を育てよ
8.限りあるところから,より大きな成果を生み出せ
9.情熱と強い意思を持て
10.謙虚であれ

上の10のコア・バリューに合致している人材こそが、ザッポニアンとして迎えられます。

ジム・コリンズの「ビジョナリー・カンパニー」でも、コリンズは以下のように言っています。

適切な人をバスに乗せること

コリンズの発言からわかるように、堅固な企業文化を作るためには、その組織の文化に合った人を採用して行くことが重要になります

ザッポスでは人材採用の内容から他社とは、一味違う会社を全面的にアピールしています。

そこにはザッポスのコア・バリューに共感できない人は、端から応募しないよう仕向けています。仮に応募して採用されてたとしても、企業文化についていけなく、居ずらくなるようです。

このコア・バリューの存在により、人事採用の役割は企業文化に合わない人を正確に見極め、効率よく排除することになります

少し厳しいようでもありますが、こうすることでザッポスは強固な企業文化を根づかせました

会社の誰よりもCEOが一番謙虚

ある社員のインタビューでCEOのトニー・シェイこそが、「最もザッポス的な人物」であると言っています。

その理由は、もし仕事上で何か判断に悩んだら、みんな以下のように考えるようです。

トニーだったらどうするか?

これには正直、私自身も驚きました。

ここまで人として人望があるのは驚きです。

そして、社員から最も頻繁に聞かれるトニーの印象は、今日入社したばかりの新入社員に対しても誰に対しても「謙虚」だったそうです。

広告は無し、口コミで

ザッポスでは、一般の企業で行う広告を、頻繁に行うことはありません。顧客の約50%が「口コミ」を聞いた人です。

トニーはこの「口コミ」の威力を十分に理解していました。

トニーが実際にツイッターで拡散されていた記事ですが、ある人がテレビを見ようとしたところ電波の入りが悪くて、テレビ局の人に修理を依頼しました。修理工が到着して数分後、修理が終わったかと思うと、その修理工はソファーで寝ていました。しかもその写真を家主に撮影されてツイッターで拡散されたという悪い記事です。

トニーはこのインターネット時代の「拡散」の威力を改めて理解し、心温まる良い行いや、驚くようなサービスも拡散されるだろうと思い、ザッポスをよく「我が社はサービスカンパニー」と言っています。

そしてこう付け加えます。「靴を扱っていることは、あくまでも後付け」です。

これらの発言から、いかにコンタクトセンターに力を入れているか伝わってきます。

働きがいとモチベーション

ザッポスはフォーチューン誌の2009年「働きがいのある会社」ランキングで、23位を獲得した。

そして2007年から日本でも国内ランキングが発表されるようになりました。

なぜここまで「働きがいが」注目されるのでしょうか?

本章では以下のように説明されています。

社員の働きがいと、会社の業績は連動する

これに加えて、「働きがい」のある会社には優秀な人材が集まり、離職率が低く、生産性も高く、イノベーションが促進されやすく、顧客満足度も高いなど、数知れないメリットがあり良いことづくめなのです。

そしてザッポスでは、社員もハッピー、顧客もハッピー、会社もハッピーというトリプルハピネスを実現するために社員のハッピーに力を注いでいます

『バリュー・プロフィット・チェーン』のジェームズ・ヘスケット教授は、企業価値の向上は、まず社員満足度から始まると言っています。

まさに社員の幸せなしに企業の繁栄は難しいと言ってもよいでしょう。

最後に

私たちは、いかに他社と差別化するかと競合他社のことばかり考えてしまいます。しかし、10のコア・バリューの「成長と学びを追求せよ」を実践することで、本当は他社と競争すべきではなく謙虚な姿勢で自身を成長させ顧客をビックリさせるような対応が、1番の差別化に繋がるのではないでしょうか

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