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国立駅前ドーナッツパークのビジュアル制作記録

2024年3月に、JR中央線国立駅前で「国立駅前ドーナッツパーク」というイベントが開催されました。

私は企画・運営メンバーとして関わり、主に告知用ビジュアル、当日に使用する案内パネルなどの制作を担当しました。

記憶が残っているうちに、ドーナッツパークのビジュアル制作という観点で、私なりの記録を残しておこうと思います。

「国立駅前ドーナッツパーク」とは

国立駅前には旧国立駅舎という建物があります。もともとは駅舎として使用されていた建物ですが、JR中央線高架化により一度取り壊され、その後まちのシンボル、情報発信拠点として駅前に再建されました。

「国立駅前ドーナッツパーク」というイベントは、この旧国立駅舎の新たな活用事例を作ってみるという目的で始まったものです。

イベント内容としては、ドーナッツ販売をはじめ、粘土でドーナッツを作るワークショップや、近隣のドーナッツ販売店マップ配布など、ドーナッツをテーマした様々なコンテンツが企画されました。
期間中は駅舎周辺に芝生やベンチ、本棚を設置し、たくさんの方々がゆったりとした時間を過ごされていました。

リビングのような駅前空間が作られた。

イベントの企画、運営は、主に国立市が開催しているまちづくりワークショップ「クラブサバーブ」参加者です。

自治体や企業が主体ではなく、市民活動なので、メンバーは会社や学校以外の時間で打ち合わせや準備をしてきました。
賃金などは発展しませんが、自分たちの街に、もっと関わってみたい、もっとよいものにしたいという想いで活動してきました。

詳しい内容は別の方がまとめて下さっているので、下記ご覧下さい。

小鳥書房さんによるイベント概要まとめ↓

夕酌さんによるイベント後のレポート↓

ビジュアルの構想段階

まず最初に、イベントを体現するビジュアルはどのようなものがよいか、何人かのメンバーで話し合いを行いました。

その中で、そもそも今回のイベントはどういったものなのかを考え、以下のような話が出てきました。

  • 家でも職場でもないサードタイムを提供して、ゆったりとした時間を過ごしてもらいたい。

  • ゆるやかに人と人が交流できるような空間にしたい。

  • 参加者が国立市内を巡りたくなるきっかけとなるイベントにしたい。

そしてその内容を表す言葉を以下のように決めました。

旧国立駅舎から繋がっていく国立の「わ」
家でも仕事でもない3つ目の時間(サードタイム)を楽しもう!

ビジュアルでは上記を体現しているようなものを作ることになりました。

次に、今回のイベントのテーマとなっている「ドーナッツ」とイベントコンセプトをどのように掛け合わせて視覚化するかを考えました。

議論を進めていく中で、ドーナッツは円形であることが、イベントの特徴を示すのに有効なのではないかという話になりました。

円形の上に人が座ると、自然に中央に向かって向き合う形となります。これはチュロスでは叶わないことです。
甘くておいしいドーナッツの上で、人同士がゆるやかに交流している姿は、今回のコンセプトを体現したものになるのではないかというとこで話がまとまりました。

ビジュアル制作

話し合いで出た意見をもとに、制作を始めます。

色彩や余白感などの視覚的イメージとしては以下を目指そうと思いました。

  • 多くの方々の記憶が詰まっている旧国立駅舎という場所の空気感に合っているもの

  • 国立市の雰囲気に合っているもの

  • 同じビジュアルを、違う地域で使用しても簡単に流用できてしまうような、汎用的なものではないもの

上記をクリアできるようなイメージを探るべく、いくつか試作を作っていきました。

試作たち

結果、色味を淡めにし、テクスチャを加え、少し日本画チックな風合いを持つビジュアルに決めました。
ドーナッツパークの文字についてはいくつかフォントを試してしっくりこなかったので、曲線を交えた楽しげのある簡易的なロゴタイプを作成しました。
イラストはイベントで実施するコンテンツを表現しています。

こちらのビジュアルに決定

国立駅舎や国立市の雰囲気に合ったビジュアルという点では、直接的に大きくまちのシンボルを示すということではなく、淡めな色彩と、優しめなイラスト、全体のゆったりとした余白などで文教都市の落ち着いた雰囲気を示そうと思いました。

ビジュアルの汎用性という意味では、必ずしも他の都市では使用できないということはありませんが、常に賑わいを見せている賑やかな街ではあまりフィットしないようなものになったかと思います。

こちらのメインビジュアルを基に様々な媒体用に展開していきました。

noteサムネ用
市・駅舎ホームページ掲載用

SNS告知用

駅舎デジタルサイネージ用

当日用A2パネル

イベント告知

主に以下のような方法で告知していました。

SNS

まず最初は、メンバー各自のSNSにて情報発信を行いました。その時、小鳥書房さんのnote記事のリンクを必ず記載するようにしていました。
というのもコンテンツの準備をイベント直前まで行なっており、日々内容が変化する状態だったため、ビジュアルへの情報記載が難しかったためです。
note記事に日々更新をかけていき、ここを見れば常に最新のイベント情報が見れるという形にしていました。

駅舎HP、駅舎デジタルサイネージ

情報掲載の許可をいただき、情報を掲載させていただきました。こちらもSNS同様にnote記事のリンクを掲載しました。
デジタルサイネージはQRコードを掲載し、note記事への流入を目的としたデザインにしました。
ただデジタルサイネージは大きな効果は見込まれないように思いました。情報が流れる時間が非常に短いためです。
ディスプレイに一つの情報が15秒ほど流れ、その後別の情報が同じく15秒流れるという繰り返しの表示となっており、おそらく10種類ほどの情報が同一期間に掲載されています。ディスプレイを見る人がいたとしても、特定の情報に辿り着く人はわずかだと思いました。3分ほどディスプレイの前に居続ける人がいれば話は別ですが。

各メディアへの掲載

Yahoo!ニュースや立川経済新聞など、当初全く想像できないほど、たくさんのメディアに掲載いただけました。この効果は大きかったかと思います。
当時「ドーナッツパーク」と検索すると、どんどんヒットするページが増えていっていたのが印象的でした。

イベント当日の告知

開催場所が駅前という好立地だったこともあり、駅舎がいつもと違う姿になっていると自然と「何やってんだろ?」と多くの人が集まりました。
人だかりがメディアとなり、それが人を呼び、、という連鎖で当日は大賑わいになりました。

感想

様々な媒体用に作成したビジュアルそれぞれが、集客のための力を発揮できていたなら私としては嬉しいです。

欲を言えば、当日の駅舎の環境と、ビジュアルとの整合性がもう少しとれたら良かったかと思いました。
色味や空気感の統一は、私の作成した制作物の中では図れます。ただ私の範疇外の箇所は想像しきれず、当日の環境と今回のビジュアルが全く同じ空気感を持っていたかというと、必ずしもそうではない気もします。
次回同じようなことをすることがあれば、環境や、あと当日の服装、アイテムなどのイベントを形成する様々な要素を横断したデザインシステム(色味や材質、雰囲気など)を考えることができればと思いました。
そうすることで、よりコンセプトが明確に現れた、ブレのないイベント空間を提供できるかも、というのがイベント後に私が考えていたことです。これは後悔や不満ではなく、単なる私の欲です。

今回私は、主にビジュアルを担当しましたが、このイベントは様々な役割の方がいらっしゃいました。
保健所周りの調整に走り回って下さった方、当日の環境を根気強く考えてくれた方、全体のファシリテートをして下さった方。
あまりに多くの役割があったので、それぞれの方が当日までどのように動いていたか正直よく分かっていません。

私は、私はやったことしか書けませんが、きっとそれぞれに当時考えていたことがあるのだと思います。
ドーナッツパークはふわっと始まりましたが、知らない間に色々なタスクが同時に、猛烈に動いていて、気が付いたらイベントが完成していたという印象でした。
他の方の準備段階の動きを詳しく知らないので、当日、急にイベントが成立したかのように見え、なんとも不思議でおもしろかったです。

結構大変でしたが、関われて良かったと思っています。ありがとうございました。


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