バリューを作っては形骸化してを繰り返し、3度目でようやく定着させることができた話
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バリューを作っては形骸化してを繰り返し、3度目でようやく定着させることができた話

常盤 卓也 | COMPASS

こんにちは!株式会社COMPASS 取締役の常盤です。COMPASSは「新しい学びの環境を創り出す」をミッションに掲げ、小中学生に対してAI型教材Qubena (キュビナ)を提供している会社です。

現在ありがたいことに一緒に働く仲間の数が増えてきました。組織には30人・50人・100人の壁があると言われますが、最後の100人の壁が見える地点にいます。そういう背景もあって、COMPASSの企業文化を保ちながら組織拡大をしていけるように、先日バリューの再策定や人事制度の改定を行いました。

...と偉そうに書きましたが、COMPASSは組織運営においては苦難の連続でした。タイトルにもある通り、バリューを作っては形骸化してを繰り返し、3度目の再策定にしてようやく定着への手応えを感じているところです。このnoteではCOMPASSのバリュー定義の数々の失敗と新しく策定したバリューについて書きたいと思います。

バリューが組織運営においてなぜ重要なのか?

本題に入る前に、バリューをなぜ何度も策定を行ったのか?について書かせてください。COMPASSでは、ミッション・ビッジョン・バリューの定義を次のようにしています。

ミッション ... 会社の存在意義
ビジョン ... 会社がどうなっていたいか
バリュー ... ミッション、ビジョンを達成するための価値観

ミッション、ビジョンを達成するための価値観が定まっていることの最大の利点は、意思決定の判断基準になるということだと考えています。

例えば、今回策定したバリューの一つに Be a Learner というものがあり、「人に学びを促すために、『教える』こと以上に重要なのは、自身が学ぶことを心から楽しんでいる『真の学習者』であること」を行動指針にしています。このバリューがあることによって、採用面接の際に候補者がどのような学びを普段されているのかに着目するようになり、カルチャーフィットする・しないの判断基準の一つになっています。採用面接は合否の基準がどうしても属人化しやすいのですが、判断基準を全体で共有することができるようになりました。

COMPASSのバリュー策定の歴史

さて、バリューの重要性に触れたところで、次はCOMPASSがどのようにバリュー策定にチャレンジし、失敗してきたかについてお話します。

2018年5月 : 第1回目のバリュー策定

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冒険 / 創造 / 勇気
今存在しないものをつくる。行ったことのない場所に行く、会ったことのない人に会う。初めてのことをする=冒険、新しい価値を作る=創造、その推進力=勇気。これは子供たちにも伝えたいテーマ。

誠実
ユーザーに誠実なビジネスをすること。ユーザーの声に誠実に応えるモノづくりをすること。

知性
知性を身に着けるためのアクティビティをおこすこと。知性を持とうとする、そのスタンスに価値を置く。

チームワーク
一緒に働く人を尊重した上でコミュニケーションする。互いにやっていることをオープンにする。相手の仕事の進め方を学ぶ。

遊び
緊急でなくとも重要な「やりたいこと」をもっとやる。

...良い内容だと思いませんか?しかし、これがなんと全く定着しませんでした。このとき私は一人のメンバーとしてこのバリューの発表を聞いていたはずなのですが、今日時点では内容をほとんど覚えていませんでした。資料を見てようやく思い出したという感じです。バリューは価値観なので、基本的には良し悪しに差はそこまでなく、定着には内容以外の要素が重要であることがよくわかります。

定着・浸透の為に実施したこと
「冒険 / 創造 / 勇気」「チームワーク」は評価制度の中に組み込みました。未経験なことへのチャレンジ、新しい価値につながる仕事への挑戦、周囲の支援などの言動は高い評価を受けられるようになりました。

「知性」「遊び」に関連する施策として、英語の社内研修を実施しました。会社に講師を招き、業務時間の中でグループレッスンを無料で受けられる制度です。おおよそ社員の半分以上が参加していたと思います。

その他、会議室の名前をバリューにして、バリューを常日頃から意識できるように露出を増やしました。

反省点

一言で表すと、バリューに基づく制度の運用を怠ったに尽きます。バリューを制度に紐付けるところまでは良かったのですが、その意図を理解して制度を十分に運用することができませんでした。

評価制度は気がついたら目標設定とその達成状況によって評価が決まることに主眼の置かれた運用になってしまい、評価制度を運用していてバリューの話題が出ることはなくなっていました。また、評価制度そのものが適切に機能することに責任を持っている人が不在で、部署間の運用方法に差がある状態が放置されている、制度と実態がかけ離れている部分が生まれても放置されている等、様々な問題を抱えたままどんどん形骸化していきました。

英語の社内研修も同様です。海外展開を見据えているメンバー、英語に興味があるメンバーは比較的長く続けていたのですが、プロジェクトで多忙なメンバーからは「時間の使い方として適切なのか?」という声があがるようになり、本当はこのタイミングで「バリューの知性・遊びの実践の為で重要な活動である」と周知できれば良かったのですが、そうしたバリューに紐付いた啓蒙活動も上手くできず、レッスンのキリのいいところで終了になりました。

会議室は唯一とても良い感じに運用できていました。バリューを口に出す機会が増えて、日々の会話はSlackの中で認知されていったように思います。ただ、バリューの数に対して会議室の数が足りないという致命的な弱点があり、そこで漏れてしまったバリューが忘れられていく現象が起こりました。また、事務所移転によって会議室の数が減ったタイミングでもバリューの一つが消失してしまいました。

会議室

2020年3月: 第2回目のバリュー策定

One Goal
全体のゴールを意識してアクションしよう
自分がなぜそれをやっているのか/そのやり方で本当にいいのか考えよう
そのアクションがゴールに向かうアクションなのかという問いを常に持とう

One Team
チームは個人のために、個人はチームのためにサポートしあおう
自分の関係領域を限定せず、チームのアウトプットの最大化を目指そう

One Minute
自分の1分も、相手の1分も、その価値が最大化される行動を心がけよう
アウトプットが少しでも無駄にならない時間の使い方をしよう

COMPASSは2019年12月末に小学館グループに参画しています。そのタイミングで代表も交代し、新体制での仕切り直しに合わせての新しいバリューの発表でした。前回の反省も活かして、定着を意識したバリューの語呂の良さにも気を配ったものになっています。が、こちらも同様に定着することはありませんでした。無念。

定着・浸透の為に実施したこと
まず会社の中での関心・認知を高めることに注力しました。Slackのプロフィール写真にバリューを入れる、バリューのスタンプを作る、社内報にバリューの要素を入れる...などなど、色んな場所でバリューに触れる機会を増やしました。さらに、全体のアナウンスもバリューに紐づけて行うなどの工夫を積極的に行いました。

アナウンス

反省点

バリューが定着しなかった原因は大きく2つあると思っていて、1つ目はメンバー全体の巻き込み度合いが低かったことです。創業からしばらく経ち、社員数が50名を超えてくると、後から全員の大事にしたい価値観を揃えることは容易ではありませんでした。ここはバリューの検討に入った段階から、コアメンバーを巻き込んだり、検討過程の情報開示をするなどの工夫を行った方が良かったです。

2つ目はバリューに対する言行不一致の状態が長く続いてしまったことです。当時は事業部が2つあったのですが、一方の事業部が外部環境の変化によって、急激な市場の活況を迎えました。その機会への対応方針で、「その事業に全リソースを投下してアクセルを踏むべし」「事業部を横断してのリソースの再分配はするべきではない」と意見が別れて、最終的に納得感のある合意形成と意思決定に至るまでに長い時間がかかってしまいました。その間、One Goalの「全体のゴールを意識してアクションしよう」、One Teamの「自分の関係領域を限定せず、チームのアウトプットの最大化を目指そう」というバリューとの言行不一致が発生してしまいました。

こうした課題があり、解消まで長い時間を要したため、言行不一致の状態が続くにつれて次第にバリューも形骸化していってしまいました。

2020年11月: 第3回目のバリュー策定 ←イマココ!

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COMPASSは理想の Learning Experience (LX) を追求し、実現するために、 以下の3つのValue「3Be」を掲げます。(3Be: それぞれの Value の頭文字を取ってまとめたもの)

Be a Learner - 真の学習者であること
私たちは常に真の学習者であり続けます。 人に学びを促すために、「教える」こと以上に重要なのは、自身が学ぶことを心から楽しんでいる「真の学習者」であることです。

Begin with Sincerity - まず誠実であること
私たちは常に誠実であり続けます。全ての信頼関係の根源は誠実さであり、仲間に誠実に接することを忘れません。

Beyond the Best - 常に現状に満足しないこと
私たちは現状に満足せず、より上を目指します。事実に基づき現状を見つめ直し、改善と最適化を行い続けます。

これが三度目の正直で発表したバリューです。それぞれの項目の奥底にある本質的なところは、一回目と二回目のバリューと似ているところがありますね。ただ、これまでの様々な紆余曲折を経て、全社員を巻き込んだ上で完成したバリューなので、愛着もひとしおです。

定着・浸透の為に実施した / していること

まず最初に、バリューの作り方を前回から大きく見直し、全社員を巻き込んでのワークショップを何度もやりました。意見の抽出⇔グルーピング⇔抽象化を何度も繰り返し、その中から見えてくる本質的なところをバリューに落とし込みました。その過程の取捨選択で意見の相違は正面から議論をしています。こうしたプロセスを経ることで、完全に自分の意見が反映されていなくても、納得度を持ってコミットできるバリューになったと思っています。

運用にも非常に力を入れています。バリューを評価制度に強く紐付けました。上位給与テーブルへの昇格、テーブル内での昇給にも、バリューの体現は大きな影響を持っています。また、部署を横断する形で評価制度のファシリテーターを設定し、日々ファシリテーターがメンバーに対してバリューの体現を観点にしたフィードバックを行っています。それらの活動の際に感じた課題を持ち寄る制度運用の振り返りの定例会議もあり、細かな改善活動を行っています。大きな課題は経営会議の議題にあがることもあります。

...その他にも、定着の為に取り組んでいることはたくさんあるのですが、既に文字数がとても多くなってしまったので、詳細は別の機会に書きたいと思います。間違いなく一つ言えるのは、このバリューはCOMPASSの企業文化を形成する確かな土台になってくれるだろうということ。社内の至るところでバリューを感じることができます。ちなみに下記は社内有志による勉強サークルの投稿です。Be a Learner を感じます。

勉強サークル

終わりに

というわけで、バリューを作っては形骸化してを繰り返し、3度目でようやく定着させることができた話でした。タイトルでは「定着させることができた」としましたが、組織は生き物、継続してバリューが浸透していく為の努力をしていかないといけません。様々な失敗をしてきたからこそ、バリュー浸透やカルチャーの醸成にリソースを投資する意思決定をすることができています。今回こそ三度目の正直できっと上手くいくはず!この続きや書ききれなかったところは別のnoteで取り上げたいと思います。

最後に、COMPASSでは一緒に働く仲間を募集しています。バリュー、制度運用、カルチャー醸成に力を入れている職場環境で一緒に日本の教育をより良くしていきませんか?カジュアル面談も大歓迎です。ぜひ以下よりご連絡ください。


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常盤 卓也 | COMPASS
株式会社COMPASS 取締役、プロダクト開発を管掌しています https://qubena.com / 以前は、語学学習事業で起業したり、インドで働いたりしていました。このnoteでは、COMPASSでの取り組みと、自身の学びの記録を書いていきます