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モノづくりのマネージャー(管理職)の仕事をいらすとやで説明する

皆さんはマネージャー(管理職)のお仕事をどのように学ばれましたか?大企業にお勤めの方は管理職研修があるのでしょうか。私はこれまでそうした研修を受けた経験もなく、基本的に我流でやってきました。しかし、そろそろ我流も限界かなと感じており、名著と言われる HIGH OUTPUT MANAGEMENT を読んでマネージャーの仕事を勉強してみました。とても頭の中が整理された感じがあるので、noteにもまとめておきたいと思います。

モノづくりの仕組み

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モノづくりの生産ラインは、Process(制作・加工)、Assembly(組み立て・まとめあげ)、Test(テスト・チェック)の3つの工程で構成されています。本書では朝食工場を例にあげてこの工程が説明されています。

マネージャーのOutputは関わる組織全体のOutputと等しいです(決して個人のOutputではない)。そう考えたときに、モノづくりにおいてマネージャーのすべきことは最も短い納期と最も低いコストで、最も品質の高いプロダクトを提供できるやり方を見つけることと言えます。

その為に必要なことは、生産ラインのオペレーションを把握し、ボトルネックを見つけることです。例えば、この朝食工場ではトースト、スクランブルエッグ、コーヒーの3つで朝食のメニューが構成されています。仮に、卵を焼く時間が他の2つの準備よりも長いとしましょう。そうすると、せっかくトーストが焼き上がっていても、スクランブルエッグが出来るまではAssemblyで待ちが発生するのでDeliveryが遅くなってしまいます。スクランブルエッグがボトルネックになっているということですね。

ボトルネックを解消するには、人を増やす、設備を増やす、在庫を増やす、の3つのアプローチがあります。スクランブルエッグを焼く人を増やしたり、自動で卵が焼ける機械を導入したり、完成したスクランブルを用意しておいてレンジでチンして出したり、などですね。いずれもDeliveryを最大化できる可能性がありますが、オペレーションコストが上がり採算が合わなくなるリスクがあります。売上予測から投資・購買計画を立てることが重要になってきます。

さて、この朝食工場の寓話から考えると、マネージャーの管理対象が以下にであることがわかります。

◆生産ライン
・オペレーション
・人
・設備
・在庫
◆数字
・売上(売上予測含む)
・費用
・納期
・品質を測る指標(顧客満足度やTestの定量的結果)

次はこの中でも特に人にフォーカスをあてていきます。

マネージャー(管理職)の仕事

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マネージャーの仕事は大きく7つに分類できます。

・情報収集
・課題発見
・意思決定
・計画策定
・情報提供
・権限移譲
・メンバーのパフォーマンスの最大化

これらの仕事をする上で、基本的な考えとしてレバレッジを効かせるというものがあります。日本語で言うテコの原理ですね。この本ではマネージャーが7~8人のレポートラインを持つことが推奨されています。相対的にマネージャーの持つ時間はメンバー全体が持つ時間よりも少なくなります。短い時間で大きい成果を出すことを常に意識することが重要です。

レバレッジを効かせていくにはマネージャー自身が日々のタスクを処理しているようではいけません。情報を集めて解決すべき課題を見極める。方針と計画を決めて、メンバーに任せる。そして、メンバーのパフォーマンスを最大化する。これがマネージャーのすべきことです。


メンバーのパフォーマンスを最大化する方法

どうすればメンバーのパフォーマンスを最大化できるのでしょうか?パフォーマンスはメンバーのモチベーションとスキルの掛け算で生み出されます。つまり、その2つ高めていくことでパフォーマンスを最大化することができます。では具体的にすべきことを掘り下げていきましょう。

モチベーションが高まる環境を作る

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モチベーションと欲求は近いものがあります。そこで皆さんご存知のマズローの5段階欲求説です。詳しい説明は wiki に任せるとして、簡単に言えば人間の欲求は「生理的欲求 → 安全の欲求 → 所属の欲求 → 承認の欲求 → 自己実現の欲求」の順番に移り変わっていくという理論です。これを会社にマッピングするとこのような形でしょうか。

生理的欲求、安全の欲求 ... 給料と安定雇用
所属の欲求、承認の欲求 ... 組織体制と人事評価
自己実現の欲求 ... 個人と会社のビジョンの一致

自己実現ドリブンで動いているメンバーが多いチームは強いです。そうなるように働きかけることがマネージャーの仕事の一つと言えます。


MBO (*Management by Objectives)

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MBOはメンバーの持つ具体的なタスクに対して、有効なフィードバックを返すのに優れた仕組みです。また、メンバーの進む方向がマネージャーの望んでいる方向なのかを事前に確認し合うこともできます。MBOを上手く回すには次の点に気をつけましょう。

・目標とその進捗の測り方が明確であること
・メンバーの目標とマネージャーの目標が紐付いていること
・目標の数が少ないこと
・フィードバックはなるべく短いスパンで返すこと


練度に合わせたモニタリング

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メンバーに仕事を任せたら放ったらかし...そんなことは会社で起きていませんか?著者は フォロースルーのない delegation (委譲) は abdication (放棄) であるとし、タスクが完了するまでモニタリングをするべきと言います。その際に、メンバーのタスクに対する練度に応じてマネジメントのスタイルを使い分けるのが良いとしています。

・練度 低 ... 何を、いつまでに、どうやって、を詳細に説明する
・練度 中 ... メンタル面でのサポートを重視する
・練度 高 ... 最低限のコミュニケーションに留める

このメンバーの練度を高めていくのもマネージャーの重要な仕事の一つです。


人事評価

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人事評価はマネージャーからメンバーに対する最も重要なフィードバックです。しかし、人事評価は非常に複雑で難しい仕事でもあります。そのフィードバックの効果の持続性は高いのですが、時としてメンバーにネガティブにも働くこともあります。丁寧に取り組みましょう。
ただし、人事評価には一つの正しいやり方は存在しません。「直球に指摘をして欲しい」「遠回しに指摘をして欲しい」など、人によって価値観が違うためです。それが人事評価の難易度をあげているとも言えます。人事評価の難易度を下げる工夫として次のものが挙げられます。

・メンバーに期待していることを事前に言語化し合意しておく
・その期待値が満たされているかどうかを判断する

人事評価は、評価そのものも勿論ですが、それをどのようにメンバーに伝えるかも重要になります。3つの L に注意すると良いそうです。

・Level : メンバーと同じ目線に立ち、誠実に腹を割って話す
・Listen : 傾聴。相手に集中し、ちゃんと伝わっているかに意識を向ける
・Leave yourself on : 人事評価はメンバーの為のものであることを忘れない


研修

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パフォーマンスはモチベーションとスキルの掛け算と前述しました。研修はメンバーのスキルを向上させる効果的なアプローチです。日本語で「研修」と書くと、一方向のコミュニケーションに聞こえてしまいますが、研修を受ける側が主体のディスカッションや発表会形式のものであっても良いと思います。研修を実施する上での注意点として下記があります。

・研修の内容が実務と結びついていること
・研修を一回して終わりではなく、継続的な取り組みとなること

著者の働いていた Intel では社員の労働時間の内、2 ~ 4 % は研修に時間を使うことが推奨されているそうです(月に 3 ~ 6時間)。個人的にはもっと社員の学習に時間を使っても良いぐらいではないかと思いました。


終わり

というわけで、マネージャーの仕事の説明でした。書いてみて思いましたが、全然イラスト使ってない...。モノづくりの仕組みのチャートを書いた辺りで完全燃焼しちゃってました。
しかし、マネージャーの仕事は簡単ではないですね...。完璧にこなすことは難しいと思いますが、ここに書いたことを理想の状態とイメージしながら取り組んでいきたいと思います。
HIGH OUTPUT MANAGEMENT には他にも「会議」「採用面接」「退職面談」など、マネージャーによって重要なイベントのことが書かれています。興味がある方はぜひ本を手にとってみてください。


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