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【院生北欧ニュース #2】フィンランド世論調査他 2023.12.15
みなさんこんにちは!フィンランドワーホリ中の吉野匠人です。
これから、できる限り毎週、「院生北欧ニュース」をお送りしていきます!
この企画では、大学院生の私が気になった北欧(特にフィンランド)のニュースを抜粋してお届けします!
*引用元は特別の表記がない限り、その項のリンクです。引用日は2023/12/14で、訳は引用者です。
※内容に関してはニュース報道時のものです。内容に関しては責任を負いかねます。学術的なものではなく、ブログとしてお読みいただけますと幸いです。
1 外交:フィン・ロシア国境、2カ所再開また閉鎖
フィンランド政府は、12月以降全て閉鎖しているロシア国境のうち、NiiralaとVaalimaaの国境を14日木曜日に再開すると発表しました。(Helsinki Times, 2023.12.13)
オルポ氏は、ロシアがフィンランドに対して移民を武器にし続ける可能性が「非常に高い」ため、政府は「慎重の原則の下、意図的、比例的かつ合法的に」段階的に国境再開を開始するという決定を全会一致で行ったと述べた。
【続報: yle 2023.12.14】
難民の流入が想定を超えたため、15日の20:00から再び閉鎖されるということです。
ロシアと繋がりの強い地域もフィンランドには多いです。ロシアとの関係をどうするのが国益にとって望ましいのか、慎重な判断が求められます。
2 内政:フィンランド世論調査、中道右派・国民連合党NCPが再び首位
フィンランドの最新の世論調査では、中道右派の国民連合党(NCP)へ投票するという割合が上がり、中道左派の社会民主党(SDP)へ投票するという割合が下がりました。
(yle, 2023.12.12)
日刊紙ヘルシンギン・サノマットが10月から11月にかけて実施した最新の有権者感情調査で、国民連合党(NCP)がトップの座に戻った。
回答者の21%強がNCPに投票すると回答しており、同紙による1カ月前の前回調査と比べて1%ポイント近く上昇した。
前回の世論調査でトップだった野党・社会民主党(SDP)の支持率は、先月の調査と比べて0.7ポイント低下し20.8%となった。
フィンランドは一院制と取っています。議席は200です。議会のことをエデゥスクンタ(eduskunta)といいます。非拘束名簿式比例代表制で、解散ありの任期4年。与党から内閣が組閣され、総理大臣が選出される議院内閣制です(現在はペッテリ・オルポ)。直接選挙で選ばれる大統領も存在しますが、権限は弱いです。
政府は、現在は右よりの連立政権(NCP(中右); 48議席、フィンランド党(右);46議席、スウェーデン人民党; 10議席、キリスト民主党; 10議席)となっています。今年の選挙で政権を握りました。
野党は、SDP(中左); 43議席、フィンランド中央党(農業); 23議席、緑の同盟; 13議席、左翼同盟; 11議席、Movement Now; 1議席)という構成になっています。
3 教育:スウェーデン語の保育士をスペインで採用・育成
フィンランドは不足するスウェーデン語を話す保育士を補填するため、スペイン人を採用する。そのための訓練を提供している。(yle, 2023.12.11)
ヘルシンキ市がスペインに重点を置くことにした理由を尋ねると、(ヘルシンキの人事部門の)モーネ氏は、同国では幼児教育者の供給が過剰だと述べた。
「私たちは国際採用の倫理原則を遵守しているため、その国内で保育士の労働力が不足している国からは採用しません。」
フィンランドの人口の約5.2パーセントはスウェーデン語を話す少数派で、20パーセント近くがスウェーデン語を話した18世紀以来、人口は着実に減少している。しかし、スウェーデン語は依然として国の公用語の 1 つである。
供給過剰な国と過小な国でこのような人材交流が起きるのは良いことなのではないでしょうか。
スウェーデン語はラテン語系の言語にも近いので、スペイン人がフィンランド語を覚えるよりかははるかに簡単なのではないかと思います。
4 健康:フィン・肥満率深刻化
フィンランド人の肥満が深刻な問題となっています。「Terve Suomi」研究として知られる国立保健福祉研究所(THL)による最近の研究が明らかにしました。
(Helsinki Times 2023.12.9)
この国の女性の 30%、男性の 27% が肥満に悩まされています。40歳から64歳の人の間で最も蔓延しており、この年齢層の3人に1人が肥満です。
・・・(略)
この研究では、特に労働年齢の成人(20~64歳)の肥満が増加していることも明らかになった。2017年と比較して、肥満率は男性で3パーセントポイント、女性で4パーセントポイント増加しました。この期間中、平均して男性の体重は1.6kg、女性は1.8kg増加しました。
フィンランドは本当にベジタリアンが多いです。
多くのビュッフェでは野菜のメニューが中心ですし、チキンを食べても牛肉や豚肉を食べない人は少なくありません。
なので、肥満率が高いというのは驚きです。
フィンランド人全体に肥満に対する危機意識が醸成されているのかもしれません。
日本は肥満率が世界的に極めて低い国です。
日本のどこにその秘訣があるんでしょうね。
5 福祉:3,200人の学生が学業不振で経済援助受給不可に
フィンランドの社会保障を管轄するKelaは、3,200人の学生の経済援助を停止する発表をしました。(Daily Finland, 2023.12.13)
Kelaは今秋、高等教育と後期中等教育レベルの学生23万人の学習進度を監視し、監視結果に基づいて決定を下した。
給付金を失う学生のうち、1,900人が高等教育を受けており、約1,300人が後期中等教育を受けている。
Kela はモニタリングを通じて、経済援助の資格基準が満たされているかどうかを確認します。
・・・(略)
十分な単位を取得していない学生、または進歩が遅いことが正当化できる理由を Kela に通知していない学生に対する学生経済援助は打ち切られます。
そもそも、フィンランドの大学はフィンランド人には無料です。
それに加えて、
経済援助として、例えば「18歳以上で一人暮らしの大学生」は月に279.38€(43,000円くらい)が政府から与えられます。
単位が取れていない場合、これらが受給できなくなるんですね。
それにしても、こんだけ学ぶ環境が整っているのはうらやましい限りです。
6 デンマーク:コーランを燃やすことを違法化
デンマークでは、コーランを燃やす抗議活動が行われており、イスラム諸国で騒動になっています。デンマーク政府はそれを違法化しました。スウェーデンでも同様の法律を検討しているといいます。(BBC, 2023.12.8)
デンマークと隣国のスウェーデンでは最近、こうした事件を巡る街頭抗議活動が多数発生しており、スカンジナビア諸国の安全保障上の懸念が高まっている。
デンマークの179議席の国会、フォルケティングで木曜日に行われた白熱した討論会では議論が白熱し、多くの野党議員が法案に反対した。
宗教に関わる社会問題は、フィンランドではそれほど顕在化していないように思えます。
イスラム教に対する国民の意識などの点でも、北欧諸国の中でグラデーションがあるということでしょうか。
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次回もお楽しみに!
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