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大学院生がホーチミン旅行から学ぶこと #2

こんにちは、吉野匠人です!
いつも読んでいただき、ありがとうございます。

この記事は、ホーチミン旅行記事の続きです。
まだ読んでいない方は、そちらからお読みください〜

はじめに

前回の記事では、今回のホーチミン渡航の旅程・ホーチミンの良い点、気になった点を紹介しました。

今回の記事では、私が設定した、ベトナム旅行の3つの焦点について、見聞と文献に基づき解説します!


ホーチミンで学んだ3つのこと

私は、次の3つの焦点について、ホーチミンで学びました。

焦点1. ホーチミン市はどう形成されたのか

歩きやすく、秩序のあり、観光客フレンドリーなホーチミン市。

このホーチミン市はどのように形成されたのでしょうか。

Ngoc et al.(2022)によれば、ホーチミン市について記録があるのは6世紀からです。

愛知県の国際課のホームページ(2021)がホーチミン市の概要をあげています。

もともとクメール王国に属したが、北方からのベトナム人移民が定住するようになるとベトナムに併合され、1698年にザーディン府が設立された。フランス植民地支配の開始時からハノイ市と並ぶインドシナ連邦の中核都市として開発された。フランス植民地時代から1975年まで存在したベトナム共和国(南ベトナム)の時代まで同国の首都として「サイゴン」と呼ばれていたが、南北統一をきっかけにホー・チ・ミン初代国家主席にちなんで1975年に「ホーチミン市」に改名された。
https://www.pref.aichi.jp/soshiki/kokusai/hcm.html(2023.2.20取得)

もともとクメール王国(カンボジア)!
フランス植民地時代(1859-1954)から南ベトナム時代まで首都!
ホーチミンは初代国王主席の名前!

ということです。

ホーチミン市の歴史について、Ngoc et al.(2022)、を中心に参考にしながら、さらにみていきましょう。

  • 本格的にホーチミン市の歴史が始まったのは17世紀後期から

  • 1772年に初めての要塞が、その後ストリートが形成され、その後都市化によりホーチミン市は発展し

  • 1802年、Gia Dinh citadel に名前が変えられた。しかし、フエに政治的な地位は奪われる。

  • 19世紀、サイゴンは商業的な中心地に。

  • 19世紀には、ベトナムー中国人、クメール人、ヨーロッパ人などによる国際的な都市に。

  • 1859年、フランスの植民地政府がThanh Quyという要塞を破壊し、サイゴンの要塞の経過を消し去る

  • 王室による方法の都市計画がここで終わる
    (★フランスが都市計画を変更したってことですね!!)

焦点2. ホーチミン市とベトナム戦争

ベトナムは、2度の世界大戦の後、さらに二つの戦争を経験しました。フランスとのインドシナ戦争と、アメリカとのベトナム戦争です。

特に後者はアメリカ軍の凄惨な戦闘が国際的に非難されました。ベトナム戦争時は、ベトナムがソ連支援の北ベトナムとアメリカ支援の南ベトナムに分かれて戦いました。

それに勝利したとされる北ベトナムにより、現在のベトナムは統治されています。

そのため、ホーチミンで話した学生たちは、ベトナム戦争は南北ベトナムの戦争というより、ベトナム(北ベトナム=現在まで続く正統なベトナム)とアメリカ(南ベトナムという傀儡国家=虚像を作った国)の戦いという捉え方をしていました。

戦争や国際関係は、目的によって何とでも表現できますね。

私は世界史の教科書は客観的中立的に書かれていると思っていましたが、歴史は常に別な表現が可能であるということを肝に銘じておきたいです。

焦点3. 「人間の安全保障」とホーチミン市

そして、私はホーチミン市(もしくはベトナム)の教育現場の水泳教育の実践が、「人間の安全保障」と深く関わっていると思いました。

現地のツアーで話した大学生の話では、水泳のスキルはホーチミンの大学卒業に影響するそう。ちょっとそれについて文献が見つからなかったため、知ってる人がいたら教えてください!

そもそも、ホーチミンは雨季に著しい洪水被害に遭うそう。年間2000人の子どもが溺れて亡くなり、東南アジアで最多とも(下のサイト参照)。それを水泳教育で克服しようというのは、まさに教育を通した人間の安全保障の実践!


人間の安全保障とは、人々の人間としての大切な部分(生命、尊厳など)を、多様なアクターが多様な手段で、多様な脅威からどう守るのかを検討する安全保障の新しい概念です。

国連の広報センターがわかりやすく解説しているので、よろしければご覧ください!↓


これまで、安全保障は軍事力により国の安全を守ることに注力されてきました。しかし、自然災害やサイバー犯罪、感染症など、人々の生命や尊厳を奪う脅威はそれだけではありません。

そしてこの人間の安全保障は、教育を一つの有効な手段として想定しています。メカニズムは様々ですが、知識や能力をつければ、自分の身を守る行動を取りやすくなるのです。


この点で、水泳教育の実践は、人間の安全保障の手段として教育を活用できていると感じました。

仮に大学で水泳教育をハイレベルにできれば、大学生個人の安全を守れることに加え、洪水の際に、他者を守る主体を養成することも可能です。

Nguyen Duc Thanh, Trinh Phuoc Than(2019)の論文は、水害リスクの低い地域でどう水泳の教育者を育成するのか論じていますが、やはり次のような問題意識をはじめに示しています。

teaching and learning to swim for high school students to both develop physical and swimming ability and contribute to improve life skills is essential and urgent in human life.

高校生にとって水泳指導・学習は、身体能力・水泳能力の向上とライフスキルの向上につながるものであり、人間生活において不可欠かつ緊急の課題です。
Nguyen Duc Thanh, Trinh Phuoc Than(2019: 36)


特に途上国で、このように教育を社会の人間の安全保障を向上させるために活用する施策が増えていけばいいと思いました。途上国では、大学は一部のエリートを養成し、格差を拡大し、あまりその恩恵が社会に還元されていないような感があります。

このような、社会における、人間の安全保障ニーズに沿った教育は、とても大きな可能性を感じます。

まとめ

いかがだったでしょうか。
旅行中に見たことをよくよく調べてみると、ホーチミンの街並み、そして社会は、人々の葛藤と工夫が詰まっていました。

今回のホーチミン旅行は、表層だけではなく深層に迫る重要性を改めて認識させられました。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!


参考文献詳細

Ngoc Quynh Giao, P., Phi Phuong, P., Stanicky, P. (2022) Changes in Urban Planning and Recommendation for Future Planning in Ho Chi Minh City. In: Alberti, F., Amer, M., Mahgoub, Y., Gallo, P., Galderisi, A., Strauss, E. (eds) Urban and Transit Planning. Advances in Science, Technology & Innovation. Springer, Cham. https://doi.org/10.1007/978-3-030-97046-8_10

Nguyen Duc Thanh, Trinh Phuoc Than(2019)EFFECTIVENESS IN APPLYING SOLUTIONS TO IMPROVE SWIMMING PRACTICE SKILLS OF STUDENT AT THU DAU MOT UNIVERSITY, VIETNAM,      European Journal of Physical Education and Sport Science 5-5 p.p. 35-49

※英語文献の引用は、特に注釈がない場合吉野訳。

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