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【読書レビュー】シン・ニホン

これは、先日京都旅行の際に立ち寄った、平安神宮の前の蔦屋書店(スタバ併設)のおすすめ欄にあった本である。この本の作者の安宅和人さんを以前からfacebookでフォローしていたこともあり、読むことにした。大学生の自分にとっても将来の職業やこれからの世界について考えることが多く、有意義なことが多かったので、忘れないうちにnoteにその内容を共有させてもらう。

端的にこの本の要旨をまとめると、

これからはAI×データが様々なところで活用され、知的生産の構造がこれまでと大きく変化していく。それにより既存の仕事はなくなり、既存のスキルはコモデティ化し、さらなるAIリテラシー、データリテラシーが必要になってくる。そのような世界の趨勢の中、日本の状況はいいものとは言えない。日本には様々な課題が山積している。かつて日本は技術力において世界最高水準であったものの、現在では中国をはじめとする新興国にその地位を奪われている。その根本的解決のためには、日本の教育制度を見直していく必要があるし、PhDレベルの専門家層を厚くしていく必要がある。また、日本の科学技術への重点的な資金配分も必要である。しかし、現在世界の国々に遅れをとっている日本も、オワコンではない。日本の課題に対して、長期的な行動・政策(経済・科学技術・地政学・地球的な視点)をしていけば日本は未来の世代に残す価値のあるものになる。

のような感じである。要旨はこんな感じではあるが、それぞれの問題に対して、詳細かつ具体的な現状、解決策が端的に示されており、「AIがこれからの社会にどういう影響を与えるのか、これからの日本はどうあるべきか」ということをわかりやすく知ることができる本であった。

その中から、大学生という自分が『シンニホン』を読んで、特に考えさせられた部分について書いていこうと思う。


日本の現状(データ的な面)

現在、最も多くのデータを生んでいるのは、スマホ上のインターネットであろう。しかし、日本は、このインターネットを動かしている検索・コマース・ソーシャルの分野においても、グローバルな状況では勝負になっていない。検索領域の場合、ヤフーは日本最大級のインターネット事業者ではあるが一歩世界に目を向ければ、GoogleやBaiduなど1桁多い10億人にサービスを提供している。

これらの領域以外でデータを活用しようと思っても、Uberなどのシェアリングサービスなどに対する法規制があり、うまく実用化することができない。自動運転の技術も日本は世界でトップクラスではあるものの、様々な障壁がある。

また、データを回す人も足りていない。自然言語処理や機械学習などの研究・実験な環境を堅牢で、大規模かつリアルタイムの本番環境でつなげられる人材が足りていない。また大量データを処理するデータエンジニアリングに熟達した人も少ない。これらの背景には理系素養のある学生が他国に比べて少ないことが挙げられる。

これに関しては激しく同意するところがある。現在、総合大学で経済学を学んでいるが、自分の友達を見回してみても、数学を苦手としている友達は確かに多い。自分も、必修である統計学の授業の際、初歩的なところの理解に苦しんだ経験もある。また、法学部や文学部の友達は、大学で必修の数学系の授業はないらしい。

日本では感じないところもあるかもしれないが、私の大学に来ている中国や韓国の学生と交流した際には、彼らの数学の強さには驚いたことが多い。経済学部ではあるものの、数学のテストでクラスでトップが彼であり、自分はギリギリ合格であった。彼曰く、高校の内容だから簡単であるそう。

この、日本人文系学生の数学苦手の背景には高校時代に文系・理系で単純に分けてしまい、文系は数学苦手というふうに潜在的に思ってしまう、または数学を捨ててしまう。また理系は、国語を全く勉強しない、また社会科目を捨ててしまうというというところから来ているのではないかと、個人的には思っている。


この『シン・ニホン』は、これからの大学生がどう学ぶべきかについて詳しく書いてあり、非常に参考になった。大学生はもちろん、そのほかの年齢層の方もぜひ読んでいただきたい。



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