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藤本タツキ「ルックバック」の前半を読んで共感できた話

 先日、「山田玲司のヤングサンデー」というyoutubeのチャンネルにて藤本タツキ先生についての分析をしている動画を視聴しました。

 私はチェンソーマンしか読んだことがないので、ファイアパンチのところは飛ばしたのですが(一話だけジャンププラスで読みました)、そこで藤本タツキ先生の短編集の存在を知りました。

 私は普段ジャンププラスなどの無料で読める漫画アプリを利用しているので、漫画を買うということはあまりしないのですが、動画を見て藤本先生の世界観に興味を持ったので、短編集を二つとも買いました。

 ですが、タイトルの通り本題は短編集ではないです(その気になったら感想を語るかも)。

 短編集17-21を読み終えた後、ふと名前だけ知っている「ルックバック」が頭に浮かび、ジャンププラスで無料で読めることは知っていたので読んでみることにしました。

 読んでみた感想をシンプルに言うならば、「めちゃめちゃ感動しました!!」。
……流石にシンプル過ぎましたか。

 もう少し掘り下げると、藤野の心理描写が自分の経験や当時の心情と重なって共感でき、心に来るものがあったので「めちゃめちゃ感動し」たわけです。


プライド

 この漫画の主人公である藤野は最初、自分が描いた四コマ漫画を周りに褒められ調子に乗っていました。しかし、自分よりも絵が上手い不登校同級生、京本が現れ、「不登校の分際で!!!」とキレ散らかすわけです。

 この時点で「ああ….俺だな」という風になってしまいました。

 私は他の人ができないようなことが出来たり、人より勉強が出来たり(自慢?)していますが、上には上が存在するわけで。それで時には心の中で怒り狂い、時には悲しみに暮れたりするので、共感できます。

 さらに共感できたのは次の場面。

無力・孤独

 藤野は約二年間絵の勉強をずーーーーっとし続けますが、京本の画力も上がっていくため敵いません。さらには、友人や家族からはその努力に対して称賛しないどころか、「漫画描くの辞めなよ」と言われる始末。誰にも応援されていないし、評価されていない。

そして、藤野は自分の漫画と京本の絵を見比べると、表情を変えないまま、左目から涙が少し溢れました(泣きわめくのではないところも共感できるポイント)。

 自分が藤野に匹敵するほど努力したかは分からないですが、このような無力感・孤独感が身に覚えがあります。

昔好きだった人にフラれた後、「次に好きになった人とは絶対に付き合おう」と決意し、ややコミュ障気味な性格にも関わらず話しかけたり一緒に帰ったりしたけど、進展があるのかわからず心がひたすら擦り減ったり、自分が最初に始めたゲームなのに、後から始めた他の人の方が上手いから、頑張ってはみたものの駄目だったり…….何をやっても上手くいかないとように感じます。

 なんで辛いのに諦めないかというと、シンプルにそれが「好き」だからだと思うんです。自分が一番想っていると思うから這いつくばってでも成し遂げたいと考える。これは藤野も同じだと思います。だからこそ、固執してしまう。

諦め・開き直り

 そして、藤野は漫画を描くことを一旦辞め、友人や家族と過ごす時間を増やします。

この点に関しても心当たりがあります。

やっぱりどれだけ好きでも、あまりのストレスに耐えられなくなり、逃げ出す時が私にもあります。

でも、不思議なのは、それはそれで充実しているのですよね。今までの「自分はこうでなくてはならない」という感情が姿を消し、「まあいいか」と気楽に毎日を過ごせるようになります。藤野も漫画を描いてない時期はむしろ楽しそうに見えます。

自責

 しかし、それは長く続きません。藤野は卒業式を終えた後、京本の卒業証書を渡すために京本の家に入り、京本の部屋の前に行きます。すると、何十冊ものスケッチブックがありました。自分はせいぜい10冊あるかないかくらいなのに。

ここも中々心をえぐられます。思い返してみればサボってるときが割と多くて、自分はたくさん努力した気になってなって鼻を高くしていただけなんじゃないかって。

支え

 しかし、なんやかんやあって京本は藤野の大ファンであることが発覚。京本に褒めちぎられ、藤野はまた漫画を描く気だ(絶対直前まで思ってなかったと思う)と京本に言うと、「うええ~!?え~!!みたいみたいみたい!みたい!」という反応。藤本は帰り道であまりの喜びのあまりダンスを踊る。

面白いのが、藤野は京本の前では嬉しさを一切見せないところです。元々敵対視していたというのもありますが、私みたいに恥ずかしくなってしまったのだなあと思います。

 私の最近の悩みが、自分の気持ちを吐き出すことができないということです。同性の友達はまともに取り合ってくれないだろうしそもそも自分が恥ずかしい。かといって仲のいい異性にはチャットで相談することもあるが、やっぱり対面で話さないといまいち伝わらなかったりする。しかしいきなり対面で「相談したいんだけど…」と言いずらかったりする。

なので、自分は京本という自分を全肯定してくれる存在がいる藤野が羨ましい。

ちなみに、ジャンププラスで読めるのは途中までなので、単行本を買って全部読みました!!

うっかり途中だけ読んで「いい話だった….」となりかけていたのは見逃してください。

p.s.  自己紹介を除いた初の投稿ですが、結構楽しかったです。


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