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きょうの金匱要略 1/25 婦人產後病脈證治 第二十一(1)

論一首 脈證六條 方七首

問曰 新產婦人有三病
(問うて曰く、新產の婦人に三病あり)
一者病痙 二者病鬱冒 三者大便難 何謂也
(一は痙を病み、二は鬱冒を病み、三は大便難し、とは何の謂ぞや)
師曰 新產血虛 多汗出 喜中風 故令病痙
(師の曰く、新產にて血虛し、多く汗出で、しばしば風に中る。故に痙を病ましむ)
亡血復汗 寒多故令鬱冒
(亡血し、復汗し、寒多し。故に鬱冒せしむ)
亡津液 胃燥 故大便難
(津液をうしない、胃燥く。故に大便難し)
產婦鬱冒 其脈微弱 嘔不能食 大便反堅 但頭汗出
(產婦鬱冒、其の脈微弱、嘔して食する能わず、大便反って堅く、但頭汗出づ。)
所以然者 血虛而厥 厥而必冒 冒家欲解 必大汗出
(然る所以の者は、血虛して厥し、厥して必ず冒す。冒家解せんと欲せば、必ず大いに汗出づ。)
以血虛下厥 孤陽上出 故頭汗出
(血虛して下厥し、孤陽上出づるを以ての故に頭汗出づ。)
所以產婦喜汗出者 亡陰血虛 陽氣獨盛 故當汗出 陰陽乃復
(產婦、しばしば汗出づる所以の者は、陰を亡して血虛し、陽氣獨り盛なり。故に當に汗出でて、陰陽乃ち復す。)
大便堅 嘔不能食 小柴胡湯主之
(大便堅く、嘔して食する能わず、小柴胡湯之を主る)

※痙 原文では「痓」となっているが、ここでは「痙」に改めてある
※鬱冒に関連して、『本事方』の白薇湯(白薇(フナバラソウ)、当帰、人参、甘草)の紹介がありました

病解能食 七八日更發熱者 此為胃實 大承氣湯主之
(病解して能く食し、七、八日、更に發熱する者は、此を胃實と為す。大承氣湯之を主る)
產後腹中疼痛 當歸生姜羊肉湯主之 并治腹中寒疝 虛勞不足
(產後、腹中疼痛するは、當歸生姜羊肉湯之を主る。并びに腹中寒疝、虛勞不足を治す。)
當歸生姜羊肉湯方(寒疝中に見ゆ)

※羊肉 黄耆の別名、という説もありますが、ここでは実際の羊肉だろう、という話になりました。羊肉は温性として有名ですが、実際に「エル・カルチニン」という脂肪燃焼作用のある成分を多く含むそうです。

產後腹痛 煩滿不得臥 枳實芍藥散主之
(產後、腹痛し、煩滿して臥するを得ざるは、枳實芍藥散之を主る)
枳實芍藥散方
枳實 燒令黑 勿太過
芍藥等分
右二味 杵為散 方寸匕 日三服 並主癰膿 以麥粥下之

※この処方に桔梗を加えると「排膿散」になるそうです


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