理想条件外の物件をどう“発見”してもらうか マイナス面もしっかり説明する拓匠開発流の物件販売とは?
住宅を購入する――一般的には、人生で一回きりの買い物をするのに、我々はあまりにも知識に乏しい。昨今ならば大抵は、大手の不動産紹介サイトで情報を得て気に入った物件があれば問い合わせる。あるいは、直接不動産屋に駆け込む人もいるだろう。いずれにせよ、実際に物件を見に行かずに一発で決めてしまう人は稀で、まずは営業担当者に紹介をしてもらうのが当たり前だ。
知識が乏しい迷える子羊の我々を、丁寧に導いてくれている営業担当者を頼もしく思う反面、「もしかしたらうまいこと言って、微妙な物件を売りつけようとしているんじゃ…」と訝しく思う人もいるかも知れない。
そこで今回はもともとは拓匠開発で営業をされていて、現在は飲食事業を手掛けるグループ会社・取締役社長の阪本剛さんと不動産仲介業者との窓口を担当する藤原雄也さんに話を聞き、お客さまとの架け橋になる彼らに、拓匠開発流の物件販売について聞いてみた。
○“駅から30分かかる”は、本当にマイナスポイントなのか?
――物件購入に際して、みんな理想の条件を持って購入に来ると思っていて。その“理想の条件”って不動産紹介サイトを見て、数ある項目の中から「この項目は、これくらいで…」って決めていくじゃないですか。ある意味、その選択肢の中から、なんとなく誘導されているのかなって思うんです。
藤原:そうですね。多くのお客さまはたしかに、そうしたサイトで物件購入の条件を入れていきますね。上限はいくら、建物の広さはこれくらいで4LDKがよくて……とか、例えばその条件に、“駅徒歩30分以内”って打つ方はほとんどいないですよね。その時点で。例えば弊社の「オオソラモ野田みずき」(千葉県野田市)の物件は出てこないんですよね。仲介業者さんならば、「立地に関しては妥協するので、どうしても住みやすいおしゃれな家がいい」というお客様がいれば、そのニーズに合わせて「“条件のプルダウン”から外れているけど、紹介すれば間違いない」ってなって、弊社の物件を紹介していただけます。
阪本:弊社の場合、例えば“駅から遠い”という一般的にマイナスに捉えられる条件を逆手にとって強みにし、街のコンセプトプランとして企画を作っています。そうなると、みなさんがお持ちの“理想の条件”としては当然、打ち出せないところも存在するので、そこを包み隠さずちゃんとご説明するようにしていますね。
むしろ、ご要望が多いお客さまのほうが、想いを教えていただけてありがたいと感じます。それを解決していくことで、最終的にご判断いただけますので。
――さまざまな条件の中からもちろん、限られた予算の中では目をつぶらざる得ないところがあるということもわかりますし、もちろんそうした条件に関して営業さんも、丁寧に説明してくれると思います。ただ、そのさらに条件外の話で、例えば災害時に水が来るんじゃないかとか、耐震はすごいけど地盤はどうなのかと疑ってしまう部分が出てきてしまったときに、どうされてるんですか?
阪本:いらっしゃいますね…。基本的にはデメリットや不安に思われる部分を探す方のほうが多いです。それは当然のことだと思います。
藤原:水の話とか建物の地盤という部分に関しては、資料を出して見ていただいています。そこをチェックされている方は、無理に言葉だけで安心を強調しても、どんどん不信になっていくじゃないですか。そういうときは根拠があるものをお見せするのが、一番ご納得いただけると思います。
○お客さまにとって本当のプラスはなにか。条件外の購入ポイントは?
――そういうのって例えばご夫婦で物件を見に来た際、どちらか片方がやたらと細かい条件を気にしたりするケースも多いんじゃないかなって。そもそも夫婦の両方の条件が合致する家ってなかなか難しいですよね。
藤原:逆にご夫婦が満場一致でOKになる場合は、それぞれの考えがすべて理想の条件で合致しているという場合は少なくて、子育て環境がいいからとか、夫婦そろって犬が好きで飼い犬の環境が良くてとか、そういう共通の趣味とか大事にしている部分でハマるケースが多いです。要は、おふたりのいちばん大事な部分に対して、掛け値なしな部分を見つけるんですよね。
阪本:まず、すべての理想をかなえることが出来ない旨を伝えます。例えば、東京駅徒歩1分の立地で、100坪の土地に、50坪の平屋を3000万円で買いたい。これはかなえられません。理想の条件が100個あるとすれば、それに最初から最後まで順位をつけていただいて、どこが重要かを認識していただくようにしています。「優先順位」と「選択と集中」をしていただきます。
これは私の推測になりますが、たくさんの物件を回っているほど知識が豊富になっている半面、疲弊されているように見受けます。「あっちの家はここがいいけどあそこがだめで、こっちの家はここがいいけどこれはだめ」と…おっしゃるとおりです。みなさま夢と希望を持ってきてくださって、我々はその夢を叶えたいと思っております。しかし、その理想をすべて叶えるとするならば1億円必要になる。予算を抑えたいのであれば優先順位の低い要望を我慢していただくことで3000万円で購入できる物件をご紹介できる。このようなご案内で進めています。「ご要望をすべて叶えられる」っていうと、嘘つきになるので。
――あと、拓匠開発さんの物件の場合、「コンセプトをもって街ごと開発する」のが特色で、お客さまが「コミュニティの中にどう入っていくか」を意識した住宅販売だと思います。欧米では一般的になっている「ゲーティッドコミュニティ」も日本で注目されはじめていますが、やはりまだ日本だとそこまで理解されないのかなっていうのがあって。お客さまが何もわからずに、家だけ見て「いいじゃん」と思って買ったら、「なんか意外と“街”の運営って辛いかも」っていう意見があったりするケースもあるんじゃないですか?
阪本:確かに、実際にコミュニティについて悩ましく考えられて、最終的に購入を見送られる方もいらっしゃいます。そこは私も割り切っていって、ご案内の際にはむしろ、一番最初に説明することですね。家のスペックとかクオリティももちろんですが、「こういうコンセプトでやっています」っていうことを必ずお話しています。「この条件を飲んでいただけるかが、(拓匠開発物件を購入する)ファーストステージ」という案内の仕方を、弊社の営業はしているので、突然、「街の運営」を突きつけられて躊躇される方はいなくはないです。「家を買ったらここは俺の家じゃん」という方もいらっしゃるので、その方のニーズにはお応えできないかもしれないんですけど、「万人に愛されるものはない」と思っているので、このコンセプトがお好きな方が集まっていただけたほうが、最終的にみなさんも街もハッピーになるんじゃないかなって思っています。
――マイナスもしっかり説明してもらった上ならば、疑っていてもしょうがないですよね。自分のこととして知識を持って望んで、営業さんを信頼して相談にのってもらうというのが一番いいやり方なんでしょうね!
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