足関節外反捻挫

こんにちは!今回は初の外傷編です。

内反捻挫だと捻ったことを覚えてる患者さんが多い印象ですが、外反捻挫場合「よくわからない」「着地したら痛くなった」など腫脹や圧痛などの症状が強く出ているのに受傷機転が曖昧なことが多いです。

この記事では運動学や解剖学などから受傷機転を読み解き評価につなげる為の足関節外反捻挫の基礎を書いていきます^_^


三角靭帯の機能解剖

まずは機能解剖学からです!
外反捻挫について書いていく中で肝になってくる三角靭帯についてです。

抑えるべき三角靭帯の特徴として靭帯を4つに分かれている点です。

画像3


前脛距部 脛骨から距骨に付着する。脛舟部より深層にある。底屈時緊張。
脛舟部 脛骨から舟状骨に付着する。底屈時緊張。
脛踵部 内果の下方から踵骨の載距突起に付着している。脛踵部を一部覆う。背屈時緊張。
後脛距部 内果後方から距骨の後突起に付着する。背屈時緊張。



画像1

画像2



ポイント

・脛踵部が他の靭帯に比べ最も強度が高く、外反強制に抵抗することと背屈時にも底屈時にも緊張する。

・脛舟部が一部脛踵部に覆われているため臨床上圧痛だけで損傷部を詳しく鑑別するのが難しい。

三角靭帯の圧痛点

次に外反捻挫の圧痛点です。
内果、載距突起、舟状骨粗面にランドマークをつけた画像で説明します!

三角靭帯



脛舟部
の圧痛点は内果と舟状骨粗面の間にあります。自分で確認する場合は足関節軽度底屈にて舟状骨粗面を内果から遠ざけるように足部を回内させると靭帯の緊張を触知することが出来ます!

脛距部内果と載距突起の間にあります。載距突起を遠ざけるように回内すると触知することが出来ます!

後脛距部はわかりにくいですが、足関節を背屈させながら距骨を後方に押し込むと内果の後方やや下方に靭帯の緊張を触知することが出来ます!臨床では後脛骨筋腱炎との鑑別が必要です。


外反捻挫に隠れた動き


靭帯の基本を頭に入れたところで臨床上この外反捻挫はほんとに足部に外反モーメントのストレスだけで損傷するのか?というところです。
結論から言うと、外反捻挫には足部の外旋モーメントのストレスによって損傷することがとても多いです靭帯です。

運動学の観点から書くと足関節が底背屈運動をする際の運動軸は8°内反しているとされていて、背屈時に外反、底屈時に内反を伴います。さらに運動軸は6°外旋しているため、背屈時に外旋、底屈時に内旋を伴います。

これは距骨滑車が矢状面において外側と内側関節面の曲率半径が違い外側に比べ内側の関節面の方が大きい構造をしている点が運動軸の傾きに影響を与えていると考えられています。

この点を知っていると患者さんのあいまいな受傷機転の予測もでき評価もすんなりできると思います!

ダウンロード (3)



補足で付け足しておくと外旋位では前脛腓靭帯も緊張するので三角靭帯損傷を評価するときに前脛腓靭帯損傷を視野に入れて置くといいです(^^)!外旋+内反で前脛腓靭帯はより緊張するので圧痛が三角靭帯よりも前脛腓靭帯に強く出る場合もありますよ!

外旋を伴った三角靭帯の各部位と前脛腓靭帯の緊張する肢位をまとめておきます。

外旋+背屈+外転  脛踵部、後脛距部
外旋+底屈+外転  前脛距部、脛舟部、脛踵部
外旋+背屈+内反  前脛腓靭帯


受傷機転例

受傷機転が多いので受傷する靭帯部位と例を挙げておきます。


・ジャンプの着地時に足部が固定された状態で重心が支持基底面から外れる。脛踵部、前脛距部、脛舟部

・コンタクトスポーツでスライディング等で足部を外旋強制される。脛踵部*たまに前脛腓靭帯も損傷する。

・野球のベース等の段差を誤った着地地点で強く踏んでしまう。脛踵部、後脛距部

・ランニング動作で回内足の影響による反復した外反モーメントによるメカニカルストレスで微細損傷をする。脛踵部、後脛距部

・バレエなどの足関節伸展位を維持する表現スポーツでのオーバーユースによるメカニカルストレスで微細損傷する。前脛距部、脛舟部


各種テスト法

最後に自分がよく使うテスト法を紹介します。

外反ストレステスト
三角靭帯をざっくり検査するのに一番簡単な方法。足関節背屈位で足部及び距骨下関節を外転する。

前足部外転テスト
前足部に外転ストレスをかけていく底屈位でかけていくと前脛距部、脛踵部の鑑別が出来ます。

外旋ストレステスト
底屈位と背屈位両方で外旋ストレスをかけていきます。外反ストレステストを踏まえた上でより詳しく損傷部位を鑑別することが出来ます。



以上でこの記事を終わりにしたいと思います。
記事の内容が面白かったり、明日から現場で使えるなと思ったらSNSでシェアしていただけると嬉しいです!

Twitter

引用)運動療法のための機能解剖学的触診術 下肢・体幹

読んでいただきありがとうございました(^^)この記事が臨床やスポーツ現場でご活用できる内容であればSNSでのシェアをお願いします! Twitter https://twitter.com/tak_bbtrainer