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灯りを慕う──君のいまがより良くなるように。

窓から見える木々が、風に吹かれ、生き物のように動いている。今朝もデスクに座り、お茶をすすることから、一日をはじめる。

家にいるときは、窓から入る自然の光を頼りにしているから、日が暮れるまで電気をつけることはほとんどない。手元が見えなくなってきたら、スタンドライトかろうそくを灯す。

そう。ぼくは家族のみんなに引かれてしまうくらい、ほんのり明るく、ほんのり暗いところが好きだ。

夜なのに昼間とおなじくらい部屋が爛々と明るければ、もう少し暗くしようと提案するくらいに。

それくらい、灯りは毎日寄り添ってくれる大切な存在。

理由は2つあるのではないだろうか。1つは、物覚えのつく頃から、テーブルランプ(おそらく20年以上使い続けている)を愛用している母の姿にあると思う。

昔の記憶を辿ると、やわらかな灯りで、橙色に染まる母の部屋を思い出す。母はいつも自室で日記を書いたり、考え事をしたり、本を読んだりする。その姿を見て、1人部屋にあこがれていた。

昨年ベルリンへ旅したことにも影響を受けている。街中のカフェやレストランは、店の外から見ると、営業中であるのか疑うほど店内が暗く、中の様子はわからない。

入ってみると、店をつくる重要な存在として、フロアランプやウォールランプがしつらえてあり、デスクやテーブルには、必ずある燭台とろうそく。どこを訪ねても穏やかで、あたたかな灯りが広がっていた。

そんなわけで、灯りが好きになったし、居る空間や光に気持ちを左右されるなら、できるかぎり扱えるようになりたいと考えるようになった。

スポットライトをどこに当てるのか。逆に、どこに光を当てないのか。それらは部屋の見えるところと、見えないところをつくり、ノイズカットしてくれる光の魔法。

いまやリラックスできる灯りのもとで机に向かう時間は、何をしていても、きほんてきに気分がいい。

気持ちよく居られる場づくりの第一歩は、手元にあるフロアランプあるいはデスクランプ1灯と、デスクやテーブルにろうそく1灯で充分。

今日も灯りを慕います。
君のいまがより良くなるように。

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