新規事業アイディアの模索【失敗例】



 コロナウィルスの影響によってビジネスを取り巻く環境が大きく変わり、新しい事業の展開を構想している人や企業が増えていると思います。よく巷で紹介される手法を使って新規事業を考えている方も多いと思いますが、自分も今回トライしてみました。結論からいうと、あまりうまく発想できておりません。そこで今回は、なぜうまくいかなかったのか、をまとめました。新規事業プロジェクトで真面目に考えている人というよりも、個人でぼんやりと新規事業ネタを考えている人を意識して書いています。


 まず、前提の話です。新規事業を立ち上げるステップの確認です。正解はないと思いますが、おおむね下記の流れで作ることが多いかと思います。

①わくわくする事業アイディアを構想する
②事業アイディアの「ターゲット」「課題」を具体化する
③顧客が本当にお金を払うのかを量的・質的に検証する
④事業計画書として中長期の実現計画を立てる
⑤リソースを調達してソリューションを開発・実装する

 新規事業は色々考えすぎずに、とにかくスピードが大事、とか、まずやってみることが大事、などと言われますが、圧倒的に大事なのは①です。

 新規事業の成功の一番の要因は「推進責任者(もしくは起業家)」であることが、数々の研究で明らかにされています。これは感覚的によくわかると思います。そうなると、次に気になるのは「推進責任者」が備えておくべきことは何か?です。「リーダーシップ」「自頭」「ネットワーク」など、いろいろ思いつくのですが、私は最も大切な要件は「その事業を成功させたいと思い続けられるか」だと考えています。推進者がそう思えない事業アイディアはまず成功しない。当たり前すぎてほとんどの方には同意いただけると思いますが、それにも関わらず、この原則を守れておらず、推進者がそう思えていない事業に多くの時間をかけている場合も結構あります。

 実は今回、新規事業を考えるためによくやる手法を3つほど試してみて、「自分がわくわくする新規事業アイディアはどうすれば思いつくのだろうか?」ということを本当は書いてみたかったのですが、結論うまくいきませんでした。 ただ、今回はせっかくなので、なぜそれがうまくいかなかったのか、原因を簡単に分析しています。試した方法は下記3つです。

①オズボーンのチェックリストを使って考える
②自社の強みから考える
③環境の変化から考える

オズボーンのチェックリストを使って考える

【概要】
よくあるアイディア創出方法のフレームワークを使うパターン。有名だしググればわかるので、詳しく説明はしませんが、例えば「ダイソンの掃除機」を思考の出発点にして「●●を転用したら何ができるだろうか」「●●を大きくしたら何ができるだろうか」等、複数の切口からアイディアを考えます。

【うまくいかない原因】
事業それ自体のアイディアにわくわくするというよりも、発想の面白さにわくわくしちゃって自分はなんかダメでした。あとは、変にフレームを意識しすぎてしまうと思考が固くなってしまう。オズボーンリストは、有形サービスの進化を目的とすると使いやすい面もありますが、無形サービスから無形サービスを発想しようとすると、かなり抽象度高く考えないといけません。なので、対象の本質をうまく概念的に捉えないとうまくはいかない。例えば「掃除機」を抽象的にとらえると「音と視覚で効果をリアルタイムで実感できる」という特徴がひとつ抽出できるが、この思考は意外と思考エネルギーを奪われるため、「じゃあ、それをどう転用しようか?」ということを考える時点でエネルギーを消耗してしまっていることもあるという感覚です。ただ、慣れの問題も多いにあると思うので、もう少しチャレンジはしたい。



②自社の強みから考える

【概要】
例えば、横軸にバリューチェーンをとって、縦軸に「ヒト」「モノ」「カネ」「リソース」「情報」をとって、マトリクス的に自社の強みを分解して整理する。そして、その強みが持続的な競合優位性になるかどうかを「VRIO」のようなフレームワークで評価する。そうやって整理した「強み」から発想して、「何かできないだろうか」と考える。

【うまくいかない原因】
全然わくわくしない。その理由を考えたところ、①本当の「強み」は自分では「強み」と認識したくない/していないケースが多いから、②普段行っている業務の延長戦上の発想が多くなるから、の2点だと思いました。①に関しては、根深い問題です。客観的に自社を分析した時の「強み」を実は薄々理解しているが、自分ではそれ以外のことを「強み」と思い込みたくなることって結構あるあるだと思うんですよね。例えば、自分の普段の業務と全く関係ない「企業の土地資産」とか「経営者」が会社の強みだったとしても、それを活用したいとは特に思いたくない、と自分は考えてしまいます。活用できるものは活用してしまう、という考え方が大事だと思いますが。


③環境の変化から考える
【概要】
これも鉄板アプローチで「PEST」「衣食住」などの観点から、今後起こりうるビジネス環境の変化を整理してみて、流行キーワードなどと掛け合わせて「何かできないだろうか?」と考える。しっかりやるパターンであれば、それらの環境変化が、消費者の行動や価値観にどのような影響を与えるか、まで具体的に考えて、そこから事業アイディアを発想することもあります。

【うまくいかない原因】
机の上で「このような変化があるのではないだろうか」と考えるのは簡単なのですが、本当にその変化が来ることを肌感で感じていないから、どこかふわふわした感覚が常に付きまといます。おそらくですが、自分自信で何かをやってみて「これは今後絶対来るかもしれないぞ」というわくわくする感覚を持っている人ではないと、この環境変化アプローチは機能しない気がします。情報収集のアンテナが広がるという意味ではめちゃ良いんですが。


まとめ

こう考えると、「自分は何にわくわくするのか」をまずは考えてみて、そこから日々の生活にアンテナを張って、自分なりに「これをやってみたい」と思うことをぼんやりと考え続けるのが、やはり一番の近道なのではないかと思います。(もしくは、強烈な原体験を持てるような環境にあえて飛び込むとかですかね。)

新規事業アイディアづくりの考え方は世の中にたくさんあって、自分も調べたりしましたが、結局やる気が起きないので、「これやったら面白そうじゃね?」「これやりて~」くらいの気持ちを大切にしていきたいと思いました。定常業務があると、そのような気持ちを抑圧しがちだと思うのですが、今後は意識的に発見していきたいと思います。ただ、ベンチャー企業働いていると、いかに会社を伸ばすことが大変か、ということも身をもって感じれるので、ゆるく考えづらい部分もありますが・・・。もう少し楽観的に自分の感情に敏感になって事業アイディアを探してみたいと思いました。

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