【ようこそ】
現代から遡ること40年程前ー。
横浜に住んでいたぼくの母・敦子が平田村に嫁いだ日。都会からやってきた母に対し、村人達は驚きと好奇心で溢れかえっていたそうです。平田村の中でも父の実家は都会とは程遠い山深い集落。無理もありませんでした。
父方の祖母が「よく来たなぁ。今夜はうめぇもん食わしてくれっから」と宣言した後、早々に裏山に姿を消したそうです。
“ お義母さん、山菜でもとってきてくれるのかな? ”
期待に胸を小踊りさせる母。
暫くして裏山から戻った祖母でしたが、その手に握りしめられていたのは美しい山菜ではなく、無惨にも撲殺された数匹の蛇、蛇、蛇でした。
「ようこそ、平田村へ…」
祖母がそう言ってにやっと笑ったとか、笑わなかったとか。
追伸:
その晩振る舞われた野生の蛇の蒲焼き、小骨が多かったそうです。
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