Vol.23 むちゃくちゃ聞いてくる
先日職場のKさんに、
「松本くんはシナリオライターを目指してたんか?」
と突如として言われました。おそらく面接の時にそんな話をしたので、社長か誰かから聞いたのでしょう。
「はい!というか今も目指してます!今度舞台もしますよ!」
「へえー。どういう題材なん?」
お、珍しい。Kさんはあまり饒舌なタイプではなく、どちらかといえばシャイで、どっしりと構えるタイプなのですがこの時ばかりは僕に食いついてきます。
「そうですねー……」
プルルルル
その時、Kさんの携帯が鳴りました。
この話も終わりだな。ちょうど帰る頃だったので、会社を出ようとすると、
「で、どういう題材なんや?テーマは?」
電話を終えたKさんが僕の元に戻ってくるではありませんか。 もしやその話をしたいがために電話を無理やり終わらせたのかもしれません。なんという執念。なんという愛。
「まあ、しいて言えばコメディチックですかね」
「シナリオだけなんか?小説とかは?」
「小説も書きたいです。アマゾンで僕の書いたやつ買えますよ」
「それはネットだけの公開なんか?」
「そうですね」
「目標の人とかおるんか?」
「三谷幸喜さんとかですかねー」
「あー、大河見てる?」
……
むっちゃ聞いてくるやん
Kさんの年齢ははっきりとは知りませんがおそらく50前後。学生の頃から今の会社に勤めているそうです。この人もかつては、物書きじゃないにしても、働きながら何らかの夢を追っていたのかもしれません。若い頃の自分を見ている気分で僕に話しかけ、自分の中にある何らかの蟠りを解消しようとしているのかもしれません。
最後にKさんは僕にこう言いました。
「頑張って古坂大魔王みたいになれよ」
度肝を抜かれました。村上春樹でもなく、東野圭吾でもなく、朝井リョウでもなく、古坂大魔王というチョイス。知ってる方います?芸人ですよ。小説で一発当てた人です。誰が知ってんねん。
兎にも角にも、応援してくださる方がいるのは嬉しい限りです。僕はこの先輩のために書き続けたいと思います。
サポートしていただいたお金を使って何かしら体験し、ここに書きたいと思います。