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キラキラとかイケイケとか不要なり

「売れているバンドと友だちだ!」という『ダチ厨』がいる。パーティ代で常時金欠という重症者もいる。

こういった類いのバンドマンは六本木とかで働いていそうな『人脈作り厨』や『カッコイイオフィス厨』のひとたちに似ている。
彼らは全員、将来は起業したかったり、実際にIT独立していたり、広告代理店だったり、フットサルだったり、BBQだったり、時代の先を読むことがイケているという価値観を持つ。

まぁガバッとまとめちゃうと、音楽、法人、個人、人間関係などすべてに言えるが「見栄にお金を使いすぎちゃいけない」と思う今日この頃だ。

銀行員に聞いた話だけど、見栄について面白いエピソードがある。

銀行という業種は経営者と話す機会が多い。これは借入や取引の話し合いが財源を支えるメイン業務だからだ。個人のお金よりも銀行からしたら莫大なキャッシュを持つ法人こそが太客なのだ。

その銀行員曰く「売上と関係なさそうな金の使い方をしている会社はマジで潰れるよ。Novaも社長室にやけに金かけてたし。ああいうオフィスをカッコよくしたり、バー作ったりとかしているのはポンとくたばる。反対に営業車の塗装がボロボロだったり社用スマホが古い年式だと安心。安心して貸せる」とのことだった。

「オフィス綺麗だったりすると、社員のモチベーション上がるんじゃない?」と聞くと

「そんなもんでモチベなんて上がらない。ていうか上がったとしてもコスパ最悪。人間関係・給与・労働時間にだけ気使ってりゃいい。安いオフィスでひとが辞めちまうならそのほうがいい。そしてまた雇えばいい」と言い切るのだった。

さらに「イケイケのオフィス、キラキラの人脈なんて飲み屋で社長がイキりたいだけ。六本木とか渋谷に事務所構えて調子こきたいだけ。立川でいいんだよ、立川で。事務所なんて」と吐き捨てる始末だ。

もう立川のひとが怒るんじゃないかと思ったが、一理ある。というか僕もわりとその考え方だ。
無駄使いがあんまり好きじゃない。ギターも一本しか持っていない。事務所はないどころかプリンターすらない。

僕の地元に『神戸物産』という筋肉質な名の会社がある。「業務スーパー」という名の、これまた筋肉質な名前のグリーンの看板の店舗をやっている。

これ本社

この本社だが筋肉質な見た目がすごい。

「無駄なキラキラなど不要!インスタなんぞ興味無し!儲かるなら経費は使うが金にならんなら不要!」といった気概が見られる。
「加古川市」という兵庫県民以外ピンと来ない場所に果てにあるので、北新地や三ノ宮で豪遊するつもりもまったくない武骨な立地だ。

実際にこういうストロングスタイルな会社は本当に潰れないし、財務的にも足腰的にも強いそうだ。

つい不要な人脈を広げようとしたり、見栄にお金を使ったりするのは劣等感が強いからではないだろうか。

「俺は売れているバンドと友だちだ!」というミュージシャン、有名な社長さんと知り合いだ〜みたいなことを述べる人物は、喋ってみるとつまらない。

彼らは六本木オフィサーや「綺麗なオフィス」に魅力を感じているサラリーマンと同族に感じる。

心が弱いから、実績を作り出す地力が足りないから、ガワを盛る、強く見えそうかどうか……そんな方向に逸れてしまうんじゃないだろうか。

そんな僕にも苦々しい経験がある。

5年前ぐらいに会社を作って、妙にうまくいったことで急にじゃぶんとお金が入ってきたのだ。今までの人生では考えられないほどの小金持ちになった。

見栄や盛りなつもりはなかったのだけど、使ったことのない額のお金を使ってみたくてやたら使った時期があった。ありました。

まぁかわいいものなのだが、服が全部ISETANになったり時計が高くなったり、車が手に入ったりという「マトモに働いてこなかったバンドマン」としては人生初の体験だった。

しかし時計は吉祥寺で失くしちゃったし、服も別にハマらなかった。ファッションつまんない。まぁ、独りが好きなので車生活は案外向いていた。元は取ったような気がする。

「強く見せる」努力より、 「強くなる」努力をするほうが重要なのに、ほら今日もまた見栄をはることに大切なお金を使ってしまうと無限ループに陥る。

時計はあれから買っていないし、服はUNIQLOと無印とアローズに変わった。
いつのまにか「肉体そのものが良くなること、頭が良くなること、心が良くなること、放り込んだら増えそうなこと」にしかお金は使わなくなった。

何もなくなったような気がするのだけど、不思議と充実感が増している。少しでも「強く見せる」を取り除くに越したことないのかなぁと思う。自戒をこめて。

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