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「ひとを見る目」でヤバイやつから遠ざかる

「ひとを見る目」という慣用句がある。
結成時のバンドメンバーを選ぶ際、付き合うライブハウス、友だち、彼女、バイト先……けっこう必要な場面がある。

「ひとを見る目」が養われていれば、あらゆるシーンで人生を有利に進めることができる。

なぜなら世の中には「ヤバイやつ」がわりといるからだ。
彼らを警察が管理してくれればいいのだが「ヤバイから逮捕な」と牢獄に入れてくれるわけでもない。

全然練習してこなかったり借金を重ねたり、酒癖が悪いバンドメンバーを捕まえてはくれない。横暴なブッキングマネージャーや店長も、メンヘラで深夜に泣き出して睡眠時間を奪う彼女も刑事事件まで発展することはない。

こうなると僕たちは自分で自分の身を守らないといけない。
「ヤバイやつ」を遠ざけるのもサバイバルスキルなのだ。

もちろんめちゃくちゃすごいやつを選べるだけの「ひとを見る目」があれば言うことなしだとは思う。

18歳の大谷翔平に「二刀流やろうぜ!」と提案し、日本ハムに入団させた栗山監督はいわゆるメチャクチャ「ひとを見る目」がある男なのだと思うし、逆に「こいつは信用できる!」と思って、800万円詐欺られた経験のある僕は「ひとを見る目」がないどころか失明している勢いなのだろう。

しかしこの力を養うのって難しくないだろうか。詐欺被害者として言わせてもらえば、騙すほうも努力、工夫しているし、そのトークスキルは卓越している。振り返ると「騙されて当然」と言えるクオリティだった。

そしてこの「ひとを見る目」という能力は学校のカリキュラムの中では培われない。

学校というシステムは強制的にクラスメイトが決められるわけだから「人選」というくだりがない。

そもそも「みんな友だち!」とかいう考え方が是とされている。

金八先生も「信じられぬと嘆くよりも!ひとを信じて裏切られるほうがいい!」なんて歌う始末だ。詐欺師が「ここは最高の狩り場だぜ!」と大喜びしてしまう。

そういう意味ではロックバンドをやり続けていると相当養われる。

そもそも表現者ドリームという進路には、「口先だけで行動しない人間」が集まってきやすい。学校の勉強や厳しい部活のような地道な下積みをすっとばして、スターダムを目指すギャンブラーが多いのだ。

全員ではないので、あくまで統計に過ぎないが、100人バンドマンを集めた場合と100人市役所の公務員を集めてアンケートを取るとする。内容は「消費者金融に借り入れがありますか?」というものだ。前者のほうが圧倒的に勝るだろう。

この国内の中央値から外れた貧しさは、人間を悪と愚行に走らせる要因になる。

そして治安が崩れた海で泳いでいると、当然騙されたり奪われることが多くなる。こうして僕たちバンドマンは少しずつ「ひとを見る目」が養われてくるのだ。

詐欺被害者の僕としては苦手意識のある分野なのだけど、「ひとを見る目」によってクオリティが左右されるような人生を送ってしまっている。日々綱渡りである。

その中で大事にしている判断基準が2つある。

一つが「言葉より行動のほうが雄弁」ということだ。

世の中には「痩せたい!」と言いながら牛丼の特盛を食べる人間と、本当に節制する人間がいる。この二種類のひとは口頭レベルではまったく見分けがつかないので、行動を見て判断したほうがいい。
「サチコ愛してるぜ!」と言いながら、抱く男と殴る男がこの世には本当にいるということだ。

二つ目が「そのひとの能力とか地位よりも繋がりを見る」ということ。

実際のところ「個人技」というものは、あんまり存在しないんじゃないかと思っている。ほとんどのものがまわりの環境と共同所有しているものだからだ。

たとえば「すっごく優しくていいやつなAさん」という人間がいたとする。Aさん個人が優しいのもあるけれど、この性質は属するコミュニティと連帯して共有されている。周囲のひとも優しいからAさんも優しくなる。

「地獄みたいな野球部にいたから根性あります!」みたいな人物も同じだ。その環境下と繋がっているから、マジで根性がブーストしたということだ。
逆に「根性あります!」と言っているけれど、それを想起させる繋がりが見えてこないと、説得力がない。

ここの二つを見ていると「ヤバイやつ」をかわせる。
かわしているうちに彼らはどこかへ行ってしまう。次の獲物を探しに。

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