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問い6 : 暗黙知の引き出し・手順を詳細化して「これでいいですか?」

今回は、問いの言葉というより、問いを立てる筋力をつける方法の一つのお話です。



こんなこともできないの?!と思った時は、問いの活用を考える


「こんなこともできないなんて!」ってガッカリした経験はありませんか?

私は自分のスキルの無さにびっくり仰天したことがあります。

以前、イベントか何かで風船をたくさん結ぶ必要がありました。

私もその作業を手伝おうとしましたが、ここで衝撃の事実が発覚しました。

。。。なんと、私は風船を結ぶことができなかったのです。

何度結ぼうとしても、風船が親指に巻きついてしまい、そこで止まってしまうのです。

「風船ってどうやって結ぶの?教えて!」

弊社たくらみ屋の共同ボスの1人、得居裕江(とくいっち)はバルーンアーティストです。彼女に教えを乞いました。

長年きれいに風船を結んできたとくいっちは、「え〜?!結べないのっ?!」と驚きます。

この驚きが、ガッカリ落胆とか、あいつはできないヤツ!みたいなレッテル貼りに繋がってしまうと危ない。

どんどん技や暗黙知が共有されなくなり、チーム力や持続力が著しく低下します。

この負の連鎖を避けるために、問いを活用する必要があります。

当たり前を「異化」する


「異化」とは、最近覚えた概念です。

「当たり前、自動化されているものを大袈裟なくらいに詳細に表現し、非日常的に異なったものに見えるようにする」というような意味です。

これは普段当たり前になっている、自動化してしまっている認識を壊す効果があります。

例えば、普段何気なくやっている「車に乗り込む」という行為。これを「異化」してみると、次のような感じでしょうか。

「白い愛車が、万全の体調で静かに眠っている。私は愛犬を慈しむように眺めながら、ポケットの中から指令を出す。ピピっと目覚めた愛犬は、私を嬉しそうに迎え入れる。」

あまりうまい表現ではないですが、ちょっと車に乗り込むという行為の見え方が変わるのではと思います。

もっとよい表現がある「異化」の詳しい説明はこちら。https://www.cultibase.jp/articles/2685

詳細に表現して「異化」すると、いろんな固定していた認識が明らかになって、改善や新商品開発のとっかかりがたくさんできます。

暗黙知を引き出すためには、まず詳細に観察し、言語化して、とっかかりを作る必要があります。


遊び心と、頼る姿勢


それでは、風船を結べない私はどうなったのでしょうか?

当時は意識していなかったのですが、この「異化」に近い概念を使って、一つづつ工程を詳細に紐解いていたと思います。

まず教えを請う方が、遊び心を持って表現して、これでいいですか?と問います。

「まず風船のお尻っていうんですか、丸くなっている手前の部分を上から左手で、親指を上にして3本指で持つんです。これでいいですか?」

「そして風船の先っちょから5ミリ、首のところを右手で下から、親指を下にして3本指で持ちます。これでいいですか?」

「結ぶ輪っかを作ろうと思って右手で左手の指に巻きつけると、親指で止まってしまうんです。」

ここで、できない原因がわかりました。

「そんなところで止まらないよ〜。」

ポイントが分かれば、教えてもらう人に協力してもらって「詳細化」をすすめます。ここでも細かい問いや驚きの表現は大切です。

「これはこういうことですか?」

「ええ?! そんなことやってたんですか?!」 ← これ、お互い楽しくなる

ここも教えを請う方がまず問う、熱心に「頼る」姿勢が大事ですね。

結果、結べる人は

・ここで一旦右手を離し(ええ?!そうだったの?ポイント)
・左手の親指と人差指で輪っかを押さえながら
・右手を結べるように持ち替えている

ことがわかりました。

これをやってみると、私にもできた! 

達成感と共に、技術を伝えてもらった満足感もあります。相手も伝わった満足感があるかも知れませんね。


ベテランに細かくしつこく聞くと「うっとうしい」「時間がない!」になりがちですが、

遊び心を持った「異化」の概念を使って、自分はこうやってみた、もっと詳しく知りたいので力を貸してくれませんか?という態度であれば、協力する方は増えてくるでしょう。

「あの人だからできる」も貴重ですが、いい技はどんどん次世代に伝わるといいな。

さて、私の次の課題「包丁が握れない」にもチャレンジしてみようかな。

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