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色鉛筆を平均的にきれいに使う子供ほとんどいない。当たり前だけど好きな色をたくさん使う子供、好きな色をとっておきたくて嫌いな色から使う子供。僕は後者の方だった子供のころから貧乏性だ。

とにかく好きなものを後に残す子供だった。
ゲームも面白くなってきたらやめる。
面白い気持ちで終わってしまうのが嫌だから。
嫌なことから先にやって楽しいことは後回し、人のために何かやるのが好きな子供だった。

でもある日を境に好きなものから食べて、嫌なことはひたすらやらない。
人のことは考えないようにした。
なぜって?簡単だよ。
誰かのために必死にやるとたくさん損するって6歳の僕は気づいてしまった。
好きなものから食べた。
人にとられる前に自分が奪った。
傷つき、泣いている子を足蹴にした。
それが一番効率のいい生き方だと思ったから。

酒を飲んでみたいと思えば飲んだ。
たばこがかっこいいと思えば吸った。
ギャンブルはすこぶるはまった。
イカサマもたくさんした。
だんだん周りから人が離れていった。

でもちょうどよかった。
僕は人が嫌いだ。
そう言って、心からそう思ったらそういうやつらが周りに集まった。

そこからはダメな方に面舵一杯きってどんどん泥沼に沈んでゆく。

ダレカタスケテ

その声は誰にも届かない。
当たり前だよ。
拒絶したのは僕だ。
もう手遅れ。
世界の中心に僕はいない。
暗い外れで生きていくしかない。
人の道を外れて生きる。

外道。

それでも一筋の光があった。
そいつは僕の真逆、いつもキラキラと光っていた。
でももう同じ道は歩けない・・・勝手にそう思っていた。

池袋の雑居ビル
首から耳まで柄の入った男に連れられてきた。
部屋には女の子が一人。
シャワーを浴びる。
『これが堅気最後の遊びになるな・・・次から俺はそっち側だ』
彼女はバスタオルを押さえる手を放し、床に落ちる・・・次の瞬間に右の頬が熱くなる。

人形のような彼女の目が今まででのどんな人よりも狂気に満ちていた。
そして一言。
『諦めるのはやり直しがきかない人間の最後の希望。何も捨てきれていない、どん底にもいないくせに逃げるな』
彼女は涙を浮かべて僕を怒鳴りつけた。そしてやさしくキスをしてきた。

僕は髪を切り、黒く染め、リクルートスーツを着てハローワークにいく。
全てが終わってるんじゃない、まだ始まっていないんだ。

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