できないと諦め
二匹のライオン
サバンナに二匹のライオン。
どちらもお腹がペコペコ・・・
一匹は猪突猛進で獲物を追うがあと一歩で逃げられる。
一匹は追いかけようともせず空腹でいることに苛立ち、思い通りにならない現実を恨む。
獲物を追うライオンは仕留めているライオンから学ぼうとするが上手くいかない・・・真似してみるがうまくいかない。
一匹はそれをみて薄ら笑う。
・・・そんなことをやっても無駄だ。
一匹は薄ら笑われていることに気づく・・・悔しくて、悔しくて涙が出る。
二匹はまだ何も食べていない。
空腹は二匹を襲う。
薄ら笑うライオンはもはや食うこと自体を諦めて、ただ息をして生きているだけになりつつある。
空腹のライオンは足を怪我したバイソンを見つける・・・
ゆっくり立ち上がる・・・後ろ足に上手く力がはいらない・・・
一歩一歩近づく・・・バイソンも気づくが逃げるにも足の腱が切れて立ち上がれない。
ライオンはバイソンの目の前に来たが、バイソンは生きることを諦めていない。
頭や体を思いっきり動かし牽制する。
ライオンは爪を立てるがその爪は丸まっていて、かけている。
牙は虫歯でボロボロ。
食べることを諦めていたライオンは獲物を狩る力も食べるために牙もなくなっていた。
ライオンは振り返りゆっくりバイソンから離れる。
ど、ど、どどおどどどおどどどどおどどどおおおおおお・・・
前から物凄い砂埃を上げて走ってくるライオンが一匹。
毎日研いだ爪で切り裂き、首筋に鋭利な牙を立てる。
口の中にずいぶん久しぶりな獣の血の味が広がる。
獲物をしとめた高揚感と空腹を満たすことができる喜びで満たされる。
その姿をみたライオンは絶望と同時に諦めた自分に後悔する。
食うことを諦めたら食えなくなる。
先ほど刈り取ったバイソンの肉を運ぶライオン。
諦めたライオンに追いつき目の前に肉を転がす。
諦めたライオンは涙を流しならむさぼりつく。
その涙は食事にありつけた涙ではない。
無意識に生きることを選んだ自分への涙。
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