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農民作家 山下惣一さん

 佐賀県唐津市の農家を継ぐ一方、「農民作家」として減反や効率優先、規模拡大を進める農政に厳しい目を向け、食と農を中心に据えながら社会のありようまで地に足のついた提言を続けた山下惣一さんが、2022年7月86歳で亡くなった。

 山下さんは若い頃からミカンの専業農家を目指していたが、生産過剰やオレンジ輸入自由化などに押されて断腸の思いで長年育てたみかんの木を切った。

 ロシアによるウクライナ侵攻は物価高騰や深刻な食糧危機を招いている。グローバル化が進み、輸入に依存した食卓のあり方が問われている。

 〈日本の農業は零細で、構造改革が必要だと言われてきたが、なぜ零細ではいけないのか〉
 規模が大きくなくては生き残れない、海外輸出を拡大する「攻め」の農業へ転換を…。そんな大きな声をまず疑うべきだと説いた。
 〈かりに日本農業が滅びたって私たち百姓は困らない。私たちはどんな時代になっても、自分と家族が食べる分だけは作り続ける。人さまの分をやめるだけである。農業、食糧問題は私たち百姓の課題ではない。これは全て消費者の問題である〉

ここ数年、農業を巡る風向きは変わりつつある。国連総会で、小規模な農業の権利を認める「小農権利宣言」が採択され、飢餓の撲滅や環境保全を目指す「持続可能な開発目標(SDGs)」も掲げられた。

 キーワードは「小農」、そして「持続可能性」だ。

山下さんは言う。
 「ずっと言い続けてきた方向に、ようやく変わってきた。このまま、農業が大事にされる時代が来てしまったら、もう俺が書くことはなくなってしまうかもな」

小農 スモール農業

持続可能性 だれでもできる『農』を!

今学ばせてもらっている
菌ちゃんファームの 吉田俊道さん
シゼンタイの 佐伯康人さん

その他全国の様々な地域で、農と食の大切さを共有するネットワークが生まれ、活動している。

今後の日本の農業の展開に小さく確かな影響を及ぼしている。




 

 



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