2020年4月施行の改正労働者派遣法を守らなかったらどうなる?

 ■改正労働者派遣法は派遣労働者の同一労働同一賃金の実現を目的としている

  派遣労働者の同一労働同一賃金とは、働き方改革関連法に沿って、派遣労働者と
 正社員の待遇格差を是正することを目的としています。労働者派遣法では、法改正に
 より新たに罰金・指導・助言・行政処分・告発の対象となった事項があります。

  ■今回の改正で追加された罰則規定

  今回の法改正で罰則が付されることになったのは、以下の事項です。

 ①事業報告に労使協定を添付しなかった場合
 ②派遣元へ情報を提供しない場合(派遣先)
 ③派遣先からの情報を保存しない場合(派遣元)
 ④不合理な待遇の禁止等に違反した場合
 ⑤待遇等を説明義務に違反した場合
 ⑥紛争解決のため公的機関等を利用した派遣労働者を不利益に取り扱った場合

  今回の法改正で罰則が付されることになった事項については、特に確実に守らなけ
 ればなりません。上記①に違反した場合、30万円以下の罰金が課される可能性があ
 ります。③~⑥に違反した場合、派遣元は、派遣許可取消・業務停止・改善命令の対
 象となります。②の場合は、派遣先は、勧告もしくは企業名が公表されることになりま
 す。

  ■派遣会社の約9割が労使協定方式を選択

  1月15日に開催された労働政策審議会に提出された、「労働者派遣事業報告書に添
 付される労使協定書の賃金等の記載状況(一部事業所の集計結果)」によると、労使
 協定方式を選択した派遣会社の割合は、87.8%と大半の派遣元が労使協定方式をと
 っていることがわかります。

  労使協定では、労使協定の内容が適切な内容で定められていない場合や、労使協
 定で定めた事項を遵守していない場合には、労使協定方式は適用されず、派遣先均
 等・均衡方式が適用されることになります。派遣先均等・均衡方式が適用されると、派
 遣先の比較対象労働者の賃金水準によっては、派遣労働者への賃金の支払いで過
 不足が生じる可能性があります。

  それだけでなく、派遣先との信頼関係はくずれ、取り引きが継続されることはないと
 思われます。この機会に、労使協定の内容を再確認することをお勧めします。さらに、
 労使協定で定めた事項が遵守するよう体制を整える必要があります。

  また、厚生労働省は、昨年10月21日に「過半数代表者の適切な選出手続きを
 ~選出するにあたっての5つのポイントをご紹介します~」というリーフレット
 ( https://haken-higashitani.com/2020/10/26/kahansuudaihyousya-leaflet/ )を
 公表しました。過半数代表者の選出に不備があると、代表者と認められず、労使協定
 が無効となってしまいます。派遣会社は、労働者の過半数代表者の選出にも注意しな
 ければなりません。

  ■派遣労働者の待遇に関する説明義務の強化

  改正労働者派遣法では、派遣労働者に対する待遇に関する説明義務が強化されて
 います。

  派遣元は、労働者を派遣労働者として雇い入れようとする(雇入れ時)、また、労働
 者派遣しようとする時(派遣時)の2つの時点で、派遣労働者に対して、労働条件に関
 する一定の事項を明示するとともに、不合理な待遇差を解消するために講ずることとし
 ている措置の内容を説明することが求められます。

  普段、派遣労働者に接する機会が多い派遣会社の営業やコーディネーターの方は、
 伝え漏れが無いように十分に説明することが求められます。

  さらに、派遣労働者の求めに応じた比較対象労働者との間の待遇の内容及び理由
 等の説明が義務となっています。派遣会社は、派遣労働者から求められれば、協定対
 象派遣労働者の賃金が、次の内容に基づき決定されていることについて説明しなけれ
 ばなりません。

  ・ 派遣労働者が従事する業務と同種の業務に従事する一般労働者の平均的な賃金
    の額と同等以上であるものとして労使協定に定めたもの

  ・ 労使協定に定めた公正な評価協定対象派遣労働者の待遇(賃金、法第40条第2
    項の教育訓練及び法第40条第3項の福利厚生施設を除く。)が派遣元事業主に
    雇用される通常の労働者(派遣労働者を除く。)との間で不合理な相違がなく決定
    されていること等。

  ・その他、昇給等についてなど

  ここで注意しなければならない点は、派遣会社のコーディネーター、営業スタッフ、管
 理部門スタッフなどの派遣労働者ではないスタッフと、派遣労働者の間の不合理な相
 違がないことについての説明も含まれるということです。この場合、パートタイム・有期
 雇用労働法の知識も必要となります。

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 待遇」や「待遇差の内容・理由に関する説明」についても、行政ADRの対象となるので
 、今後は、労使協定締結後の対応についても対応できるようにしておかなければなり
 ません。

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