見出し画像

Excel事業計画の作り方 | 概要編

こんにちは、”経営を自由で創造的に”したい、AI経営管理SaaS「Zaimo.ai」 CEOの古城(こじょう、@kojotaku29)です。

先日、簡単に詳細なExcel事業計画の作成や予実管理が実施できるAI経営管理SaaS「Zaimo․ai」【24年6月中に利用開始で3か月間無料】をリリースしましたが、本noteではそもそもExcel事業計画って何?どういうフォーマットがいいの?どう作るの?の概要を纏めました。


1. 本noteの主な対象者

主にスタートアップ(Seed~Early)でファイナンスや予実管理目的のExcel事業計画の作り方について知りたい方。

2. TL;DR(サマリー)

  • Excel事業計画とは?:事業の将来の収益や費用、キャッシュフローを予測・シミュレーションするためのもの。内容・レベル感は事業内容/ステージやExcel事業計画の作成目的・ユースケース次第で、目的を意識して作ることが大事

  • Excel事業計画の目的:資金調達、業績管理・コミュニケーション、新規事業検討、M&Aなど様々で、重要なポイントが異なる

  • Excel事業計画のフォーマット:絶対的なものはない。目的に応じて、KGI/KPIの網羅性可読性運用性を意識して作ると良い

  • Excel事業計画の作成の流れ:以下3ステップで、本質的なStep1, 3に時間を割くのが良い

    • Step1:事業戦略/ビジネスモデルの検討

    • Step2:Excelの計算式作成

    • Step3:パラメータでKGI調整

3. Excel事業計画とは?

"Excel事業計画"とは、Excel上で事業の将来の収益や費用、キャッシュフロー等を予測・シミュレーションできるようにしたもので、主にフォアキャスティング思考 or バックキャスティング思考で作成されます。スタートアップ的に言うとPitchdeckを定量的に表した計画で、バックキャスティングで作られていることが多いです。

・フォアキャスティング思考:事業の将来の見通し(主に現状の延長線上に予測できる未来)を定量化・可視化する
・バックキャスティング思考:将来達成したい売上・利益水準から、逆算的にどういったKPI(例. 獲得顧客数や従業員数など)を達成すれば良いのかを定量化・可視化する

バックキャスティングとは?フォアキャスティングとの違いややり方を紹介 | 地球の未来を宇宙から考えるメディア Beyond Our Planet (rd.ntt)

Excel事業計画の内容・レベル感(例. PL+簡易CFのみ、BS含めた財務三表、売上予想の粒度、必要な期間 etc)は、事業内容/ステージやExcel事業計画の作成目的・ユースケース次第で異なるため、目的・ユースケースを意識して作成することが大事です。

4. なぜExcel事業計画を作るのか?

Excel事業計画を作成する目的は様々ですが、資金調達、業績管理・コミュニケーション、新規事業検討、M&Aなどで以下のようなポイントを可視化するために作ることが多いです。

<主なExcel事業計画作成の目的とポイント>
・Equityファイナンス:売上・利益の成長の蓋然性、資金繰りと資本政策
・Debtファイナンス:返済原資の蓋然性、黒字化タイミング、BSの健全性(≒債務超過)
・業績管理・コミュニケーション:経営と現場間で共通のKPI設計、事業進捗の管理のし易さ(実績収集や予実比較、更新性)、情報共有のし易さ、リスク管理(シナリオ分析)
・新規事業検討:売上・利益シミュレーション、黒字化・投資回収期間
・M&A:EBITDAやFCFの蓋然性、BSの健全性、シナリオ分析

スタートアップだと、ビジネスアイデアの事業規模推定KPI分析・事業改善資本政策の検討、投資家/銀行等とのコミュニケーション等のために事業計画を作成します。

実態としては、Seed〜EarlyあたりにEquityファイナンス目的で作成され、資金調達後に予実管理に利用されていくことが多いです。個人的には、将来ファイナンスを考えている場合は、事業規模の推定や資本政策の検討は早めにやっておくと良いと考えております(事業を立ち上げた後にあれ?…とならないように)。

5. Excel事業計画のフォーマット

Excel事業計画に絶対的なフォーマットはないですが、資金調達や予実管理目的であれば、以下のようなポイントを意識して作ることが大事です。

<Excel事業計画フォーマットのポイント>
・網羅性:重要なKGI/KPI(売上、営業/マーケ/採用KPI、収益性、現金残高 etc)が含まれているか 
・可読性:
他者が理解しやすいレイアウト(シート構成やインデント構造、書式設定etc)・ロジック(≒関数式)構造か
運用性:事業戦略や現場KPIとアラインしているか。誰でも修正できるか

スタートアップ(Seed~Early)だとPL(売上のKPIツリーと主要コスト)+簡易CF(資金繰り)が基本で、必要に応じてBSも作成します。事業計画を作成する際、PL/BS/CFの変数Input値)は一箇所(Parameterシート)に集約することを強く推奨します。Input値は各シートに含めることも可能ですが、集約しておくと事業の前提が何で、何をいじったら事業計画がどう変わるかが一目瞭然になり、可読性や運用性(=属人化の排除)が高いからです。

<BSは必要か?>
べき論で言えばある方が良いですが、Excel事業計画の目的や事業ステージ・ビジネスモデルによっては、なくても問題ない場合もあるため、都度必要性を判断するのが良いです。銀行や公庫などからDebtを借り入れている場合、借入残高の管理用にBSを作成するのがBetterです。

ちなみにZaimo․aiでは、以下のようなシート構成のExcel事業計画が自動で生成されるようになっております。
- PL(損益計算書)
- CF(キャッシュフロー計算) ※簡易版
- 売上高詳細
- コスト(売上原価と販売管理費)詳細
- BS(貸借対照表) ※簡易版
- 必要なInput(Parameter)

Zaimo․aiで作成できるExcel事業計画のシート構成
Zaimo․aiのRevenue詳細シート

6. Excel事業計画作成の流れ

本稿ではスタートアップのEquityファイナンス向けのExcel事業計画作成における作成の流れについて書く。Excel事業計画の作成は、抽象化すると大きく3つのStepに分けられます。

Step1:事業戦略/ビジネスモデルの検討

まず、事業戦略やビジネスモデルを検討します。定性的な事業方針とExcel事業計画のロジックツリー(売上などを因数分解したツリー)を整合させ、本質的に意味のある数値計画を作成できるようにします。

Step2:Excelの計算式作成

次に、上述したExcel事業計画フォーマットのポイントを意識し、重要なKGI/KPIを計算・設定できるようにExcelやスプレッドシート上で関数を組んでいきます。この際、特殊なExcel関数やスプレッドシート特有の関数を利用すると、運用性や共有性が低下する点に注意しましょう。

Step3:パラメータでKGI調整

最後に、パラメータ(獲得社数やPV数、採用・従業員数などのKPI)を設定します。これらは売上や収益、資金繰りの変数(ドライバー)であり、経営の意思(=ステークホルダーへのコミットメント)でもあります。以下のような項目を意識しながらパラメータを設定し、値に無理があればStep1を見直しながら、最終的な計画を確定させていきます。

<パラメータ設定で意識する項目例>
・売上:売上額・成長率(●●年後に売上●●億円)
・収益性:粗利率、ユニットエコノミクス、コストミックス(例. 人件費の部門別構成比)
・資本政策:現金残高、黒字タイミング
・計画の蓋然性:各KPIの妥当性(例. 解約率やCVR、CPA、採用人数等の水準)
※CVR:コンバージョンレート、CPA:顧客獲得コスト

Excel事業計画の本質はStep1(事業戦略/ビジネスモデルの検討)とStep3(パラメータの設定)なので、出来る限りStep1,3に時間をさけるようにすることを推奨しております。

7. 終わりに

本稿では、Excel事業計画とは?から事業計画作成の目的、フォーマット、作成の流れの概要について纏めました。ニーズがあれば今後、より詳細なExcel事業計画の作成方法なども纏めていこうと思います!
Excel事業計画つくるのが大変そう…と思った方は、ぜひ簡単に詳細なExcel事業計画SaaS「Zaimo.ai」【24年6月中に利用開始で3か月間無料】を以下リンクからお試しください!

X(旧Twitter)でExcel事業計画や経営・予実管理やファイナンスについても積極的に発信しておりますので、良ければ@kojotaku29のフォローもよろしくお願いいたします!

<筆者 プロフィール>
慶應義塾大学大学院理工学研究科(修士)卒。2012年にBarclays証券株式調査部に入社し、上場企業の財務・株価分析に従事。2015年に戦略コンサルファームRoland Bergerに入社し、事業戦略や中期経営計画の策定や新規事業立ち上げ、M&AのBDD支援などを実施。2019年にベンチャーキャピタルSTRIVEに入社し、スタートアップ投資やハンズオン支援に従事。2023年にZaimo株式会社を設立。詳細はこちら。

8. Disclaimer

  • Excelは、米国 Microsoft Corporationの商標または登録商標です

  • 本稿は、事業成長や資金調達の成功を保証または確約するものではありません

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?