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詩まとめ
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#子供

【詩】鈍い臭いを覚えてる

ゲレンデで喧嘩をした 喧嘩というより、殴られた 頭とか腹とかを殴られたことはあったけど 顔を真正面からグーで殴られたのは初めてだった 斜面を後ろ向きにゴロゴロゴロゴロ転がり落ちて どっちが上だか前だかよくわかんなくなって ようやく雪に手を突いて、さっきまでいた場所を見上げる 正確にはここで気付く あ、殴られたのか で、落ちたのか 鼻の付け根にジンジンと鈍い感覚 勝ち誇ったあいつの顔ときたら 絶対殴り返してやる そこで待ってろ って叫びたいんだけど 喉が勝手に嗚咽に変換し

【詩】寝ても醒めても

ドアの隙間に消えていく背中 個人的感情は無用の長物 足りない頭が邪魔をするんだ 被験者じゃなくて人でありたい 賢くなんてならなくてよかった 無知で馬鹿なサンプルなら幸福 あなたが引き起こした蜃気楼 寝ても醒めても幻惑の園 図体ばかりが大人になって 何にも知らない子供のままで 何度か眠れば捨てられますか 心を殺せばいいんですか ・ ・ ・ 「知らない方が幸せだった」って、人間的な苦しみを味わえた幸せ故に発せられる言葉なのかもと思いました。

【詩】阿呆でいいから君の行く末を願ってる

これで本当に良かったのかって 詮無いことをぐるぐるぐるぐる 子供の頃に想像していた俺は 頼り甲斐があって格好良かった きっと君は鬱陶しがるだろう それでもどうしても会いたかった 初めて社会で生きる君に 初めて自分の足で立つ君に 遠くから眺めるはずだったのに 調子に乗ってでしゃばった まあもういいさ これで満足 去り際肩越し君が呼ぶ 言い訳はどれにしようかな 君の放った言葉は大砲 阿呆の頭を吹き飛ばす ああもういいや これで満足 思い残すことはないよ いや嘘 俺も愛して