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詩まとめ
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#思い出

【詩】鈍い臭いを覚えてる

ゲレンデで喧嘩をした 喧嘩というより、殴られた 頭とか腹とかを殴られたことはあったけど 顔を真正面からグーで殴られたのは初めてだった 斜面を後ろ向きにゴロゴロゴロゴロ転がり落ちて どっちが上だか前だかよくわかんなくなって ようやく雪に手を突いて、さっきまでいた場所を見上げる 正確にはここで気付く あ、殴られたのか で、落ちたのか 鼻の付け根にジンジンと鈍い感覚 勝ち誇ったあいつの顔ときたら 絶対殴り返してやる そこで待ってろ って叫びたいんだけど 喉が勝手に嗚咽に変換し

【詩】確信は幻想のまま

内容なんて何だっていいんだ 僕が喋る 君が笑う たまに君が喋る 僕も笑う そうやって同じ時を過ごしたね 君が隣にいてくれる その確信だけで生きていけた 壁でも波でもなんでも来い 大丈夫 乗り越えられるから 錯覚のような日々が過ぎる それでも君は行くんだね 嵐が去り 凪が訪れ 束の間の平穏を抱きしめた 僕らはいつまでも子供のまま 暖かな幻想に溺れたまま . . . 詩を毎日投稿しています。 スキ、フォローしてもらえると嬉しいです。 感想も気軽に聞かせてください。

【詩】甘い肉じゃが

週末は君の家で2人分の晩ごはん レシピを調べて駅前で買い物 うまくテトリスできない日もある お腹空いたから早く帰ろう 今日は私が作るからって 張り切ってキッチンに立つ後ろ姿 まだ?って左肩にあごを乗せると 危ないから座ってなさいって怒られた オレンジ色の部屋で鼻歌を聴きながら 柔らかい香りが満ちていく 苦いのも辛いのも苦手だった君が 作ってくれた甘い肉じゃが 大袈裟だって笑ってたけど 本当に世界一美味しかったんだよ . . . 詩を毎日投稿しています。 スキ、フ

【詩】シングルベッド

冷蔵庫は大きいの 洗濯機は乾燥つきね 熱弁する君の横で うとうと相槌を打つ 広い部屋もいいけど 狭いベッドも悪くない もっと詰めてって 冷えた足先をくっつける また冬が来る 寒いのは苦手 丈の足りないカーテンは買い換えようか 引っ越したら床暖房が欲しいな 妄想はタダだから 少しくらいいいでしょ 押し入れから引っ張り出した羽毛布団 ふかふかを何枚重ねても 狭い部屋の広くなったベッドは なかなか暖まらないんだ . . . 詩を毎日投稿しています。 スキ、フォローしても

【詩】グラスホッパー

初めて連れていったバーの隅 僕が勧めたグラスホッパー たまには別のも頼んだら? いいのこれが好きだから キャンドルが小さく揺らめいて 曖昧に時間が重なり合う 昨日の食事は忘れても あの日の横顔は覚えてる 今日はなんだか気分がいい 2杯目は何にしようか ふわふわと酔いに浮かんで 甘い記憶を泳いでる . . . 詩を毎日投稿しています。 スキ、フォローしてもらえると嬉しいです。 感想も気軽に聞かせてください。

【詩】知らない距離

あったかい方がいいからって言ってた君に かっこいいよ 似合ってる とか ちょっと見ないうちに大人びた はにかむ君は一歩遠く つらつらと滑り出る言葉が空白を埋める 元気そうでよかった とか 今日は青にならなくてもいいよ 縋るように満ちていく 間違って伸ばした右手を適当に誤魔化して ダラダラと二人また歩き出す 知ってる仕草 知ってる角度 知ってる歩幅と知らない距離 どうせ思い出になっていくなら 全部 全部 忘れてしまえ たら . . . 詩を毎日投稿しています。 ス

【詩】こぼれ落ちていく大切を

宇宙飛行士になりたかった ロケットに乗って、宇宙へ きっかけは特になかったと思うけど カッコよかったんだろうな 選ばれし者、人類の希望って感じで 憧れた 初めての夢 歌うのが好きだった 同じビデオを何回も何回も見て 振り付けまで全部真似して 気分は国民的大スター だったかな? ただ歌いたかっただけ 二つ目の夢 大切にしたい人ができた 愛される責任が心地良かった この人とずっと生きていくって 何があっても乗り越えていくって 誓った、のに 三つ目の夢 いくつもいくつも夢を

【詩】服を買う

服を買う 青みのグレーのかっこいいワンピース 背伸びして入ってみたあのお店 桁が違うねって逃げ帰った日曜日 やっぱユニクロだねって笑う顔 今日、私は服を買う . . . 詩を毎日投稿しています。 スキ、フォローしてもらえると嬉しいです。 感想も気軽に聞かせてください。