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THE CHALK MAN(白墨人形)

久しぶりに本を読んだ。
最近はもっぱら映画ばかりで、文字の物語を読むことはなかった。最後に読んだのは高校の国語の授業で、夏目漱石の「こころ」(一部だけだが。)だろうか。
ではなぜ、この本を読んだのか。

俺は建築学生であり、通ってる学校は少し特殊で、在学中(3年生)であるが二級建築士の試験資格を得ている。
8月中旬(夏休み)、学科試験が通り(正確に言うと事故採点で合格範囲だった。)、製図試験の練習をしている最中、友人から自分の好きそうな本を見つけたと連絡があった。それが、THE CHALK MAN。腰巻きには、スティーブン・キングが称賛した、的なことが書かれていた。
俺は元々キングの“映画”の大ファンでそのことを友人も知っていた。だからオススメしてきたのだ。
試験が迫ってる時に本なんて正直読みたくはなかった。映画なら2時間足らずで終わるが、本となると俺の場合何日も掛かる。無類の本好きならまだしも、全くといっていいほど本を読まないこの俺が、試験間近で、読むはずない。と心の中では思っていた。しかし、キング称賛という肩書き、夏休みだったこと、友人が薦めてくれたことなどが重なり、俺は心とは裏腹に、友人に購入の決意表明をしてしまったのだ…。
そんなことで、少しずつ少しずつ読み始めたこの本。読み終わるまで1ヶ月余りも掛けてしまったわけだが、結果を言うと、衝撃が残った。映画にはない展開。自分の想像力で描かれる世界、登場人物の顔、声。左親指に触れるページの厚みが徐々に薄くなる感覚。そのどれもが新鮮で、衝撃だった…。

THE CHALK MAN(白墨人形)
C.J.チューダー
訳:中谷 友紀子

1986年夏、イギリス南部の田舎町アンダーベリー。12歳のエディは四人の仲間がいた。
ガキ大将のファット・キャヴ
不良を兄に持つメタル・ミッキー
シングルマザーの息子ホッポ
牧師の娘の赤毛の少女ニッキー
そんな仲間たちと過ごす平穏な日常は、この夏で終わりを告げた。
移動式遊園地で知り合ったアルビノの英語教師ハローランに教わり、チョークで描いた人形(チョークマン)での仲間との秘密のやり取りを始める。そのことをきっかけに、日常は次第に壊れていく。
ミッキーの兄の死、少女の妊娠騒動、ホッポの飼い犬マーフィーの死、そして、頭部の無い少女の死体の発見……。
2016年の現在、あの事件は解決したはずだったのに、チョークマンと共に甦る。

レビュー

現代と過去が絶妙なタイミングで入れ替わりストーリーが進む展開に思わず声が漏れる。ストーリー中旬からの面白さが半端ない。子供の頃の事件を描いたと思えば、現代パートで真相が暴かれる。そして、また新たな謎が出てきたと思えば、過去パートで描かれる。
こんな場面展開は映画にはない。書籍ならではの展開にマジで面白いの一言しか言えない。
スティーブン・キングの「IT」や「スタンド・バイ・ミー」のようなノスタルジックな世界観がたまらない。
そして、最後に待ち受けるとんでもない真実。もう笑っちゃうくらいの衝撃。たまらんよ。読書の秋にどう?


是非映画化してほしい。

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