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スノーボール・アース ”全球凍結”に隠された物語


こんにちは! 本村です。

さて、今回は「スノーボール・アース ”全球凍結”に隠された物語」というテーマでお話ししたいと思います。

スノーボールアースとは、”地球全体が赤道付近も含め完全に氷床や海氷に覆われた状態である”(Wikipediaより参照)。

詳しく見ていこうと思います。


Chapter1:スノーボール・アース(全球凍結)



冒頭でも述べた通り、スノーボール・アースとは、地球上で起きた自然現象のことを指している。時代は原生代の初期に遡る。年数で表すと、約23〜22億年前になる。続いて原生代後期(約7.5〜6億年前)も該当している。以上の二つの時代に地球の表層は、極端に寒冷化したのである。この時、表層の平均気温は約ー40〜50℃にまで低下したとされている。

因みに全球凍結とあるが、こちらは仮説の和名であり、もともとは英語で「Snowball Earth(雪玉地球)」といいます。

上述した通り、地球が極度に寒冷化した事態をスノーボール・アースとよぶのだが、実際に地球の表面が完全に凍りつくという現象は起こり得るのだろうか(個人的な疑問箇所でもある)?

旧ソ連の気候学者であるブディゴ博士が、1960年代に計算した気候モデルでは、「全面的に凍結した場合、二度と暖まることはできない」とされていました。なぜなら、地表は太陽光を吸収することで暖められていることに対して、氷や雪は太陽光の反射率が高い。つまり、地球が全面的に凍りついてしまうと、太陽光は雪や氷でほとんどすべて反射されることになる。地球を暖めることができないため、極端な寒冷化が進行し、氷が溶けることは二度とないのである。

しかし、この理屈で話を進めると、現在の地球も凍っていることになる。とはいえ現在の地球は凍っていない。となれば、過去のスノーボール・アースという現象は発生しなかったことになる。

気候モデルから導かれる「地球は凍らない」という考え方。全球凍結以前の地球観の中、実際には、世界中が凍っていたことを示唆する物証が見つかっている。

具体的には、赤道付近の6億年前の地層から発見された氷河の痕跡があります。”氷河堆積物”とよばれる岩石で、大陸内部から氷河が取り込んで運んできたものです。


Chapter2:全球凍結説を支える証拠



氷河堆積物に関して追記です。もっとも、大陸はプレートにのって移動するから、現在の赤道付近にある大陸が、6億年前も赤道にあったとは限らない。もし極域にあったのなら、氷河堆積物の存在は当たり前のものとなる。そこで、岩石に記録された地磁気の分析が必要となる。この分析を行うことで、岩石が形成されたときの緯度が分かるとされている。

分析の結果、6億年前の大陸配置が明らかになった。実は当時の大陸のほとんどは、赤道付近に並んでいたのである。要するに、6億年前も現在も、地球上で最も暖かいエリアから、氷河堆積物が見つかったことになる。言い換えると、全球凍結の存在を示唆していることになる。

ここからは、全球凍結について核心に迫っていこうと思います。

改めて、地球全体が凍結していたスノーボール・アースの説が定着したのは、最近のことである。仮に全球凍結状態に陥ると、二度と元の気候状態には戻ることができないとされていたが、たとえ地球が全球凍結状態に陥ったとしても、そこから脱出する方法がある。

火山活動”である。

火山活動によって大気中に二酸化炭素が放出されて蓄積すれば、温室効果によって氷が融け、全球凍結状態から脱出できるのでは、ということである。

大気中の二酸化炭素は、通常ならば地表面の化学的風化作用によって消費され、海洋で炭酸塩鉱物として沈澱するが、地表の水が全て凍結しているような状況では、そういったことは生じない。

二酸化炭素のもう一つの消費プロセスとして、生物の光合成活動があるが、全球凍結下では光合成活動は完全に停止してしまうはずである。言い換えれば、生物活動には液体の水が不可欠なのに、全球凍結状態においては、太陽からの光が届く範囲の水は全て凍ってしまっているからである。

この部分をさらに掘り下げると、全球凍結状態においては、通常の”炭素循環がほとんど完全に機能停止している”ことになります。しかし、火山活動は地表面の気候状態とは無関係に生じ続けるため、二酸化炭素の放出は全球凍結した地球上でも続くとされている。結果的に地球は自律的に、全球凍結から抜け出せる可能性があるということである。

スノーボール・アース(全球凍結)の状態とは、年間平均気温は赤道でもマイナス30℃くらいで、全球平均気温もマイナス40℃くらいという、非常に寒冷な世界である。まさに、地球全体が極域のようになってしまった状態に相応しいとされる。ここから海水も表面から徐々に凍結していく。

しかし、1000m程度凍った時点で、海底で放出されている地球内部からの熱によって、熱的な平衡状態に達することになる。つまり、それ以上に氷は厚くなれないということである。結果、海洋の深層領域は、凍結しないままとなる。

以上のことから分かるように全球凍結といっても、凍結部分は表面のみであり、地球深部にまでは及ばないということである。完全に惑星としての機能が停止した地表が存在した一方で、深部では火山活動が活発化し、流動的な状態であったということである。




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