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第三話「廃菌床の登場」

皆さんこんにちは。きのこボーイの拓実です。
今回は廃菌床について紹介します!

廃菌床って何ぞや?

そもそも廃菌床って何?って感じですよね。
結論から言うと、
菌床が「きのこを育てるための培地」で、
廃菌床が「きのこを収穫し終えた菌床」です。

初回の僕のnoteで、きのこ=菌糸として捉えてくださいという話をしましたが、アップデート入ります。
これからは「廃菌床」ってワードを使わせていただきます。

これが菌床
収穫が終わると廃菌床になる

廃菌床を使うことにした

前回のnoteで、おがくずと米ぬかから菌床を作った過程を紹介しました。
当初の目標としては、その菌床を大量に作って加工しようって考えてました。

ですがこの方法、すっごいコスパ悪いんです。
なぜかというときのこは生き物だから。
全く同じ方法・環境で培養しても違いが現れます。

詳しい人に話を聞くと、まじめな菌糸もいれば、のんびり屋な菌糸もいるそうです。
のんびり屋な菌糸は成長スピードがゆっくりで、たまにケースをトントンと叩いて刺激する必要があります。

気分としては
僕「のんびりしてないで早く育て~」
菌糸「まだ眠い」
僕「うるさい。起きろ」(ペチンッ)
って感じでした(笑)

可愛いけど、自分が生きる環境くらいさっさと整備してほしいもんです。
そもそも順調に培養できても最低1か月半かかります。

そんな感じで困っていたら、「廃菌床」というワードが飛び込んできました。
確かに廃菌床ならすでに菌糸が蔓延しきってる状態だし、それを使えるならめっちゃ楽になるな…と思いました。
そんな経緯で廃菌床を使うことに決めました。

廃菌床の現状

廃菌床を使うことに決めましたが、
「秋田にそんなにキノコを栽培してる農家いるっけ?」
って思ったのではないでしょうか。

実はいるんです。
というのも、きのこ栽培は農家さんの冬の収入なんです。
雪が積もって農業ができないので、ビニールハウスできのこを栽培して売っています。

1軒の農家さんが育てている菌床の数は大体数千個ですが、
すごいところだと1万個以上の菌床できのこを栽培しています。
菌床1個の大きさが食パン一斤くらいなので、量の膨大さが分かると思います。

そんなに大量にありますが、1つの菌床につき、3~4回ほど収穫したらその菌床は捨てられてしまいます(これを「廃菌床」と呼びます)。
なぜかというと、それ以降に生えてくるきのこは栄養が少なく、低クオリティだからです。

廃菌床は畑の土壌としてとても高品質なので、畑にまくことも可能です。
しかし、前述したように、量が膨大すぎてほとんどが放置か産業廃棄物として捨てられている現状があります…

大量に放置された廃菌床たち

廃菌床GETだぜ

1回目のnoteで、環境負荷が低いことが菌糸製品の強みだと説明しましたが、ここにきて地域の廃棄物削減に貢献できる視点も見えてきました。
ゲキアツですね。

そんなこんなで、ありがたいことに知り合い経由で県北と県南の2軒の農家さんから大量の廃菌床をいただくことができました。
すぐにきのこ農家さんと会えて、ものをゲットできるというのは地方の良い部分だなぁって思います。

いよいよ次回からは、廃菌床を使った具体的なプロトタイプの作成工程を紹介していこうと思います。
お楽しみに!

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