見出し画像

付加価値のつくりかたの盲点

「付加価値のつくりかた」に足りないもの

先日、連載の中で『付加価値のつくりかた』という本を紹介しました。

※商品を購入すると、売上の一部が販売プラットフォームより当記事作成者に還元されることがあります。掲載されている情報は執筆時点の情報、または自動で更新されています。

元キーエンスで株式会社カクシンCEOの田尻望さんが書かれている、本の名前のとおり「付加価値のつくりかた」が書かれている本です。
そのなかで、こんな言葉があります。

売れない人は「特長」を語り、売れる人は「利点」を語る

『付加価値のつくりかた』

そしてその例として、

特長:迷惑メールのブロックサービスや、未成年に有害・不適切なウェブサイトへのアクセスを制限するフィルタリング機能があります
利点:私どものスマートフォンは、お子様でも安心してご利用いただけます

『付加価値のつくりかた』

というものが挙げられていました。
とてもわかりやすく書かれていたものの、おそらくわかりやすくしたことの弊害として、「足りない」点がありました。

それは、根拠・エビデンスです。

それは本当?

わたしは結構なひねくれ者だからかもしれませんが(笑)、よく家電量販店などで販売員が「この商品は安心してお使いいただけます」とか、「安心パックを入れておけば心配ありません」というような言い回しには、いつも疑問が浮かびます。

「安心して使える根拠は?」と聞くと、
「大手の⚪︎⚪︎が作っているので」とか「顧客満足度ナンバーワンです」
というような、曖昧だったり実は意味のない数字を出されることが多いからです。

「大手だと潰れないから安心?でも、大手だからこそ殿様営業でサポートが甘いことも多いよね?大手だと細かいところまで気が回らなくて、小さいけど大事な箇所の作りが甘いこともあるよね?」
「顧客満足度の集計数が総人口のたった数%だったりしないかな?それに、そもそもほかの人が満足しているかどうかはどうでもよくて、自分が満足するか機能やサービスがついているか否かが重要なんだけど」

というかんじです。
わたしがいかにひねくれているかがおわかりいただけたかと思います(笑)。
でも、ちゃんと考えれば最終的にはこのような疑問が湧いてこないでしょうか?

利点だけを語っても買ってくれないし、もし買ってくれたとしても乗り換えられる

もちろん、利点だけ伝えても買ってくれる人もいます。
でもそれだけだと、「良い面だけ並べるうわべだけの営業」になってしまいます。
わたしのように「根拠もなく耳障りの良い言葉を並べる人(会社)」というイメージを持ってしまう人もいるはずです。
そしてなにより、利点を伝えただけであなたから買ってくれた人がいたとしても、ほかで同じような言葉を聞けば、その人はすぐにサービス・製品を乗り換えるでしょう。
あなたから買ったときの根拠・エビデンスがなければ、ほかに乗り換えるときの抵抗はなにもないわけですから。

つまり、まず利点を伝えて興味を持たせることがはじめの一歩ではあるものの、そのあとしっかりと根拠・エビデンスを示すということが、買ってもらうためにも、買ったあとに乗り換えられないためにも、重要なプロセスだということです。

自分で付加価値をつくりだす読書

このようなことを書くと、まれにわたしが「この本はダメだ」と言っているように解釈してしまう人がいますが、まったくそうではありません

本業であたらしいビジネスを立ち上げるために「どうすればサービスに付加価値をつくれるか?」を考えているわたしにとって、とても参考になることが多く、考えさせられることが多い本でした。
とくに本当にわかりやすく読みやすく書かれているので、「入門書」のように読まれるのも良いと思います。

そもそも、どんな本でも著者の考えすべてを一冊の本にすることは無理な話ですし、人間だれしも完璧な人もいないし、ChatGPT同様間違ったことを話す人もいれば、そもそも間違ったことを正しいことのように記憶している人もいます。
でも、そんなさまざまな人と場所・時間に限らず触れられるのが、読書の良いところだと思います。

読書を通じて著者の考えに触れ、それをそのまま自分に取り込むのもよし、そこからアイデアを発展させたり、刺激をもらって考えていることを洗練させたり・・・これはふだんのコミュニケーションと同じです。
実際の人と会った時でも読書でも、その人に触れて自分が成長できるかどうかは、結局読み手次第ということです。

良い本でも、巷で悪い本と言われている本でも、読み手次第によって、その価値は何分の一に小さくなったり、何倍何十倍に膨れ上がったりします。
わたしにとってこの「付加価値のつくりかた」は、新事業の付加価値をつくるためにとても参考になり、価値のある本となりました。
ある意味、読書はいかに自分で自分に必要な付加価値をどう作り出すか?というアクションです。
もしかするとこのアクションは「慣れ」もあるのかもしれませんが、あなたにとってはいかがでしょうか?

#読書

#本の虫

#付加価値のつくりかた

#田尻望

#読書

#足りないもの

#盲点

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?