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宅建士【権利関係】民法の基本原則

1.民法の定義

民法とは『市民相互の財産や身分を規律する私法の一般法』と定義できる。具体的には私たちの日常生活していく中で、売買や賃貸、借金、保証人、担保の設定など財産に関する法律や、婚姻、養子縁組、相続、遺言などの身分に関する法律などが上げられる。

用語 『私法と公法』 私法とは私人間の様々な事を規定する法律。民法、商法がこれにあたる。反対の概念である公法とは国や行政機関などと私たち一般人などの間で規定した法律である。刑法、憲法などがそれに該当する。ただし、私法と公法の区別はあいまいで民法にも公法的な性質をもつ条文がある。公法とは国や行政機関などと私たち一般人などの間で規定した法律である。刑法、憲法などがそれに該当する。ただし、私法と公法の区別はあいまいで民法にも公法的な性質をもつ条文がある。

2.民法典の構成

民法典とは民法が書かれた法律のことで、1,000 以上の条文があり、その内容は以下のように分類される。
第 1 編『総則』
第 2 編『物権』
第 3 編『債権』
第 4 編『親族』
第 5 編『相続』

3.民法の法源

民法は第 1~5 編からなる多くの条文で構成されているが、複雑な市民生活においては条文に規定されていない場面もでてくる。この空白を補うのが、慣習判例である。

慣習 公序良俗に反しない慣習は、法律と同じ効力を持つ(第 91 条)。法律行為の当事者がその慣習によるという意思を持っていると確認されたときは、その慣習に従うことになる。(第 92 条)

判例  過去から積み重ねてきた裁判例も法源となり、法の意味を解釈する時にもたびたび用いられる。

4.私的自治の原則とは

私人の法律関係は、その自由な意思に基づいてなされるべきいう考え方を『私的自治の原則』という。これは、私人間の経済活動などに公人や公的機関は介入すべきではないとして、私人個々の、自己責任による自由な意思決定を意味する。ただし、原則も多分に修正されている。

5.私的自治の原則に含まれる原則

1.契約自由の原則
『契約締結の自由』契約するかしないかを自由に決められる。
『相手方の選択の自由契約の相手方を自由に決められる。
『契約の内容の自由』契約の内容を自由に決められる。
『契約方法の自由』契約の方式を自由に決められる。
2.団体結社の原則            
3.遺言の自由
4.過失責任の原則 他人に損害を与えたときは、その損害が故意または過失という帰責性がなければ、加害者が責任を負わないとする考え方。過失とは一般人に期待される程度の注意を怠ったことである。
5.所有権絶対の原則    個人の財産は保証され、他人はもとより国家であっても個人の財産に干渉することは許されないとする原則。   
6.自己責任の原則(じこせきのにんげんそく) 自己責任の原則は、金融商品取引において損失を被ったとしても、投資家が自らのリスク判断でその取引を行った限りは、その損失を自ら負担するという原則をいう。

6.原則の修正

上記の原則は絶対的なものではなく、様々に修正される。人は本来私的自治の原則により自由に法律行為をすることが出来るが、これをあまりに自由すぎると弊害もあるので、私権を制限する必要がでてくる。それは民法第 1 条に 3 つの基本原則が示されている。

第 1 条(基本原則) 

1. 私権は、公共の福祉に適合しなければならない。 私権は、個人の『権利』であっても、社会一般の利益を害するようなものであってはならないのである。これに違反する行為は、私権としての効力は認められない。
2. 権利の行使及び義務履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。相手方の信頼を裏切ることのないよう誠実に行動すべきであるという原則。これに違反する行為は、自己の主張が認められないだけではなく、損害賠償の対象ともなりえます。
3. 権利の濫用は、これを許さない。権利をむやみに濫用してはいけないという考え方。権利を主張することが一見正当に見える事でも社会的にみて許容できない場合に、この法理が適用される。そして、権利の乱用は不法行為となり、これにより損害が生じた場合は、その損害を賠償しなければなりません。

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