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【物語る映画ポスター23】バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)
![](https://assets.st-note.com/img/1680221912641-oJtAr48qKh.jpg)
主人公のリーガンは、
落ち目のハリウッド俳優。
20年もの間、ヒット作に恵まれず
過去の人になりつつあった。
再起を図るため、
自らプロデュースする
ブロードウェイの舞台で
主役を演じることに。
![](https://assets.st-note.com/img/1680221502534-A1OaF0vXK2.jpg)
冒頭、楽屋で宙に浮く主人公。
SF映画?空想?
本作は、現実と妄想の境があいまいです。
パンツ一丁という出で立ちも
あとあと効いてくる伏線の一部。
絵面のインパクトは大きい。
![](https://assets.st-note.com/img/1680222819456-sj2qt0PiK5.jpg)
過去に演じた、人気者の
「バードマン」が頭の中で
話しかけてくる。
かつての栄光の象徴が
今の自分を叱咤し、奮い立たせる。
![](https://assets.st-note.com/img/1680222908542-0bkzKUQWUK.jpg)
本作のポスターは
主人公リーガンと
「バードマン」の
視覚的に入り混じっている様を
描いているものが多い。
美しくもあり、
少しグロテスクでもある。
「自分」の境目を
何者かが侵してくるというのは
たぶん、苛烈なこと。
![](https://assets.st-note.com/img/1680229695394-Hwc1jqEgT4.jpg)
ややもすれば、
自我が乗っ取られるかもしれない。
危険だけど、強力。
主人公は、
再起をかけた大舞台に向けて
バードマンの力を借りながら
感情に打ち勝っていく。
![](https://assets.st-note.com/img/1680222981767-4QG8gpRyOE.jpg)
羽ばたきたい。
役者としての夢。
返り咲くために、必要なものとは?
その視線はやや上を向いている。
![](https://assets.st-note.com/img/1680229814641-lfHtTicVy8.jpg)
ブロードウェイの上空を
風をきって滑空する。
映像的なおかしみが、
本作にはスパイスのように
散りばめられています。
ある一言によって、
現実に引き戻されますが
そのバランスと小気味良さは
絶品です。
![](https://assets.st-note.com/img/1680229920842-ERmAvMeHZa.jpg)
白ブリーフ1丁で
ブロードウェイの人混みの中、
走る中年男。
小さなトラブルで生まれた
この疾走は、
現実に舞台を成功させるための
この上ない広告になった。
![](https://assets.st-note.com/img/1680230217204-6ZYx2TnPP4.jpg)
それはバードマンとしての服装
そのもの。
物語が進むにつれて
身体、衣装が、
バードマンになっていく。
![](https://assets.st-note.com/img/1680222113509-rCThWYyEEx.jpg)
本作は、全編ノーカット風の
長回しで展開されます。
現実と空想の境が
あいまいなのに加えて、
舞台と舞台裏、
演技と実際、
役柄と本人と、
はっきりしているはずの
境界線を、鮮やかに取っ払って見せる。
映画の「区切り」自体も
どこにあるかわからなくなっています。
![](https://assets.st-note.com/img/1680230870540-5liwiQoCJK.jpg)
やがてバードマンは
本人の殻を突き破る。
![](https://assets.st-note.com/img/1680230931150-RunY33Y1xm.jpg)
羽を散らしながら昇天していく。
ラストは爽快でありながら
少し切ない着地に感じました。
あらゆる世界の区切りを
これでもかと取り除いた先にあるもの。
最後に見せた、
娘の「にこやかな表情」が
一つの答えになっている気がして
なりません。
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