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美味で妙味な読書

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読書って、本当に、いいものですね。僕が味わった、妙味な本の美味しさを書き溜めています。140字で、付箋を貼った箇所を紹介したり、その本の思い出を語ります。たまに長文で深掘りしたも…
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#読書メモ

本棚が表す心の深層?

読書術の記事が たくさんの方に読んで頂けたようで嬉しいです。 コメントでもあなたの読書術…

たくまる
2週間前
91

「ファンタジーというのは生やさしいものではない。それは逃避どころか、現実への挑戦を意味することさえある」・冒頭から持ってかれます。13作のファンタジーをそれぞれ「たましいの現れ」として深く読み解いていく。「たましい」と密に対話し続けてきた筆者だからこそ汲み取れる心の世界。絶品です

たくまる
3か月前
129

あっ「ジェノサイド」の人だ。100円?買いでしょ。一気読み。自殺した4人の主人公一行は、あの世の狭間で神様に「幽霊として自殺志願者100人を救出すれば天国に行かせてやる」と。緻密に取材された自殺の原因がリアルに踏まえられているし、幽霊ヤクザの活躍が笑えるし泣けるし自分も救われる。

たくまる
3か月前
75

恐ろしく巧い。「死への憧れ」という底抜けの闇みたいなテーマを偶然再会した中学の同級生同士の恋愛に絡めて語る。生命力溢れるリア充との対比が極端すぎて笑いを誘うほどのコメディ要素もあり、切れ味と重厚さ含むサスペンスあり、純文学並みの文章の美しさもあり。全部が鮮やかにまとまっててお見事

たくまる
4か月前
112

西尾維新、今まで本の表紙から食わず嫌いしてました。こんな天才がいたんだあ。相互フォローのnoterさんより紹介されて古本で手に入れた本書はまた妙味な読書体験をくれた。すいすい読み進められるドライブ感と、急にぶつけてくる重厚な言い回し。自由な文体の中でのびのび遊ばされる感覚。すげえ

たくまる
4か月前
91

あの開高健がSF!?と思って買ったけど全然違った。むしろ最高。大蔵官僚が予算を使い切るために全国の美味いものを食べ尽くすグルメ紀行小説でした。地方に隠れる生産者の美味への狂気的な追求を圧倒的な描写力でお届け。全体が巨大な風刺にもなっていてラストのタイトル回収がまた絶品。職人芸だ。

たくまる
4か月前
110

「読まんでもええので買っておいてください。物凄くいい本です」と大学時、先生に勧められて買ったものの文章が重すぎたし内容が実感できなかったので、断念して長らく本棚に眠っていたのを今読み返してみると物凄い。自分の不機嫌の理由が明治文学を通してありありとわかる。漱石と繋がった気がした。

六人の男が同じ日に同じ夢を見た。12歳から62歳まで10個ずつ歳を隔てた六人が主人公。他は〇〇の父という風に間柄で書かれていて、全員の家族の目を通して日本の現代史を世代毎にリアルに体感できる。すげえ。戦前、戦後、学生運動、高度成長、バブル、オウム、震災。巨大な何かが見えた気がする

たくまる
6か月前
80

仏様と自分はすでにとっくに一緒なんだ。即身成仏。難解な空海の思想をあまり気張らずに深く味わいながらおさらいするのに重宝してる本です。「私が密教に魅かれるのは世界の差異というものに好意的だからである」著者のこの言葉に超共感。「密教は精神の一元論で世界を塗り潰すことをしない」現世最高

たくまる
6か月前
74

「お菓子の家」は母の過保護が生みうる危うさの表現だった!有名な昔話をユング心理学の視点から精妙に検討して、人間が本能的に欲求する物語の原型を露わにする。鶴の恩返しの「見てはならない部屋」が頻出するのはなぜか?現代日本の父性弱体の原因は「王様」を深く見ればわかってくる。すげえ本です

たくまる
6か月前
79

自分を奮い立たせるもの『読書案内』

折に触れて、 繰り返し振り返る、大学時代のレジュメ。 「日本政治史」「日本の政治」の授業…

たくまる
1年前
166

僕を読書に沼らせたきっかけの本です。大学1年、憲法のことがさっぱりわからなくて入門書的なのを片っ端から開くけど、つまんなくてうんざりしてたところ、この本だけは特上に面白くて時を忘れた図書館の窓辺を思い出す。新品で買って付箋を貼ったのは「デモクラシーは優曇華の花」。学問が始まった!

たくまる
7か月前
79

田辺聖子の絶妙な言葉使いが好きです。小説から厳選して凝縮された「おかしみ」が399も詰まったアフォリズム集は、折に触れて読み返してます。「人生をうまく生きる人というのは、楽しい口実をたくさん考えつく人である」。口実という言葉が鮮やかでいい。説教臭くなく美味しく染み入る人生論良き。

たくまる
1年前
88