日本人患者における、MSI-Highの癌の低い存在率

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Pembrolizumabの製造・販売を行っているメルク社が公表している資料によると、各種がん種におけるMSI-Highの癌の分類で、MSI-High胃癌は、全胃癌の約8.5%であり、MSI-High食道胃接合部癌は、全食道がんの約4%である。

日本の国立大学で行われている癌ゲノム医療で、2020年4月から2021年3月までの1年間で、全癌種で587症例について診療が検討され、MSI-High癌は、全癌種の約6.6%(39/587)であった。MSI-High胃癌は、1症例のみであった。現在、MSI-High胃癌の患者さんに対して、Pembrolizumabによる治療が行われている。この胃癌の患者に対するPembrolizumabの抗腫瘍効果は、まだ明らかにされていない。

他の人種と比較して、日本人の患者での各癌腫の発症率や特徴は、異なっている。実臨床から、他の人種と比較して、日本人の全癌種において、MSI-Highの癌の存在率は、明らかに低いと思われる。

注釈:Microsatellite instability (MSI)が高い癌は、ネオアンチゲン(癌特的抗原)を多く発現している。そのため、MSI-Hの癌に対して、Pembro., Nivo., Atezo.などの免疫チェックポイント阻害による治療効果が期待できる。

がん治療専門ドクター/癌ゲノム医療/新興感染症              JAMA Oncology on April 02, 2021. Published by 京都@takuma H

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