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プロジェクトマネージャーはほぼ課長

田端大学の課題図書です。

今回のお題は、「本書に出てくる"課長8つのスキル"を発動した、されたことにより、素晴らしい結果がもたらされたストーリーをまとめよ!」です。

前職時代にタイアップ広告のプロジェクトマネージャーを担当していた経験から、成功ストーリーをここに記します。

※担当案件は大手飲料メーカーがクライアントで、缶ビールのブランドリフトを狙うため、"花火特集"というタイアップサイトの制作です。

1、「ワシはこんな仕事やりとーない!」

私の制作助手を担当いただいていたKさん(50歳)。他の案件で、少々ぽっちゃりだがセクシーな服装を身にまとう我の強いYさん(37歳)と進め方のそりが合わず揉めたらしい。Yさんはどちらかといえば監視型のタイプで、Kさんのtodo進捗が止まっていると、事細かに「なんでこれ動いてないの?」、「先週まででしたよね?」と嫌らしく詰めてくる。そんな状況に嫌気がさしてしまったのか、「ワシは本来こんなしごとやりとーないんじゃ!」とKさんがふてくされてしまったのだ。

私の案件にマイナスの影響が出てしまっては困る・・・。そこで、案件が進行する前にKさんにふてくされてしまった要因を聞くために1on1を数回実施した。

スキル5 ストレスを適度な状態に管理する

ヒアリングをしていくと、Kさんのストレス状態は、ゾーン3~4の間にあった。

そのストレスの原因は、
・Yさんの監視体制により、todoを洗い出し管理すること自体に工数がかかってしまっていた。
・人に何かをお願いすることがストレスになってしまう。
・本来はデザイナーとして力を振るいたい。
※本来Kさんはデザイナー職でキャリアを積み、人事異動で我々のチームに流れ着いてしまい(大企業あるある)、本流とは少々離れた仕事をやるはめになったことがストレスを生んでいたと想像する。
(プラスYさんのジッとりした押し相撲。。)

そのため、私の案件では、少々異例ではあるが、ゾーン2のレベルでバリバリやってもらうべく、デザイン領域に注力してもらうことにした。
ただその際の条件として、私が信頼するデザイナーとの協業をお願いした。この条件設定の狙いは、デザインクオリティの管理と、優秀なデザイナーとの協業による刺激をKさんに感じてもらうことで、ゾーン2のレベルで品質の高いアウトプットを目指して欲しかったからだ。

またプラスでKさんへのケアとして、

スキル2 部下をほめ方向性を明確に伝える

ほめる時は人前で。Kさんには大人の女性ではあるが、どこか可愛さを感じさせるYKさん(推定37歳)という好みの女性がいた。そしてクライアントから評価の高かったデザインに対しては、必ずこの女性がいる前で、
「さすがKさんですね。キャリアが違う。」
などと賞賛した。ただ私が言いすぎるとバレるので、信頼する優秀デザイナーから「あの時のKさんのアドバイスを反映したおかげで凄く刺さってましたね!」と言ってもらう。
YKさんの「Kさんってやっぱり凄い!」という言葉はKさんにとって何事にも変えがたいインセンティブであり、モチベーション。
デザイン面は無事にうまく進んでいきます。

2、「前回の踏襲でよくないっすか?」

エンジニアは工数最適をどの職種よりも気にする。今回の花火特集が他の季節特集(花見、紅葉)とバックエンドの開発がほぼ似た作業だったため、使いまわすことで無駄な工数を割きたくない、というのが本音だった。かつ、UI/UX改善にはほぼ興味を示さない受け身の作業部隊。ただクライアントやユーザーが求める満足度を見ると改善の余地はまだまだある。私は前回の季節特集からの脱却を図るにはエンジニアリーダーYメガネ君(28歳)の主体的な動きが必要だと感じていた。

スキル6 部下をコーチングし答えを引き出す

私は以下の3つを意識し、Yメガネ君と向き合った。

コーチングの目的:潜在能力を引き出し、モチベーションを高める
コーチングの心構え:エンジニアの価値を認め、可能性を信じる
コーチングの禁止事項:解を提示しない。改善方法をエンジニアの口から言わせる

進捗確認MTGや会話の中で、Yメガネ君の口から改善提案や案件に対する意思をヒアリングした。
「花火大会を検索するユーザーって最近スマホが多いのかな?」
「むしろこの機能を削ぎ落とした方が使いやすいかな?」
「花火行く時って最初に何調べる?」
問題の解やYes,Noで答えられる質問を避け、Yメガネ君がユーザー目線に立った視点で意見を引き出すようにした。
すると受け身だったYメガネ君が、自分の意見、やりたいアイデアを出してくれるようになった。それと同時にいつの間にかメガネからコンタクトに変わり、きっちり工数換算した上での改善提案を出してくれるようになったのだ。

ここまでくればあとは、

スキル7 楽しく没頭できるように仕事をアレンジする

エンジニアには没頭環境を作りだすことで開発スピードが一気に変わる。
そのため、毎朝の進捗Todo確認MTG以外は、
・作業場をPMと分けて、時間を指定して作業に取り組んでもらう。
・作業時間中に気の散る、連絡手段(主に社内メッセ)を断絶。
・実施タスクを付箋で見える化し、毎朝のMTGで完了タスクを捨てて行く。
・必要なMTGがあればエンジニアの時間を優先してMTGを設定をする。
細かなUIも改善されながら開発も順調に進んでいきます。

3、「やっとるかー!」と「ちょいお菓子でもつままんかね?」

スキル4 現場を観察し次を予測する

メールやメッセによって遠隔でのやり取りでも成立することが増えたが、「事件は会議室で起きているんじゃない、現場で起きているんだ!」というのはまったくもっておっしゃる通り。
ぽっちゃりセクシーなYさんのような監視好きではデザイナー/エンジニアも疲弊してしまう。ただ、直面している悩みほど会話からしか出てこないのも事実。メールやメッセだと固定されたアウトプットがでがちだが、
ふらっとデザイナーのところに「やっとるかー!」と足を運べば、
「このカラートーンとこっちのトーン、ぱっと見どっちがいいですかね?」
「この商品の配置が難しいんですよね、クライアント的にこんな小さくてもOKですか?」だったり、
エンジニアのところに「やっとるかー!」と足を運べば、
「実はこの作業やった方が絶対良くなるんですが工数かかるんですよ。なのでこれ削ってもいいですか?」
「サーバー負荷軽くしたんでこんだけ軽くなりましたよ!」
などなど口頭でないと拾いきれない検証やアイデアや成果がいっぱい。
細かな相談窓口になるためにも現場で動き回ることを周りは求めています。

スキル8 オフサイトミーティングでチームの結束を高める

制作過程がハードな状況こそ、ふとした時に席へ行き「お菓子でもつままんかね?」と声をかける。仕事の話ばかりで窮屈な環境から、お菓子を食べながらプライベートの話をすると意外な発見からチームへ愛着が生まれる。
・Kさんが実はバツイチで割とガチでYKさんを狙っていたり
・Yメガネ君が花火大会に行ったことがないことが発覚したり
・意地悪なYさんの悪口を言って笑ったり
(共通の敵を生むことは仲間意識を生みやすい)
仕事以外の話を通して、チームに良い空気をもたらすことも大事な役割です。


その結果、完成した花火特集は前年度実績と比較し、
1、DUB(デイリーユニークブラウザ=1日あたりの来訪者)を140%達成
2、スポンサード商品を購入したい項目が5ポイントアップし、145%達成
3、商品の好意度が8ポイントリフトアップし、160%達成
と目標数字を大きく超えることを成し遂げることに成功。
またクライアントから花火大会の特等席へ招待され、
Yメガネ君は念願の初花火大会をめちゃくちゃいい席で見ることができました。

4、この案件は任せるが、困ったらなんでも言えな?

私の上司は、

スキル1 部下を守りながら安心させる
スキル3  部下をしかり変化を促す

この2つのスキルを毎週のランチ奢りを通して発動していた。
現場のKさんやYメガネ君率いるエンジニアチームのネガティブな状況を、
ランチという砕けた空間で吸い上げ、また人の少ない喫茶店という環境を生かし、「そういう状況ならもっとこうした方がええ、おまえならやれるな?」と、私の意見や行動で現場を変えさせようと諭してくれた。
また人参のぶら下げ方も絶妙で、「この案件成功したら、次は海外出張や」と巧みにモチベーションをコントロールされる。
ただ、実際やばくなりそうになる前の情報を週1でも上司にインプットできる環境を作ってくれたことでどれだけ救われ、励みとなったか。
自由奔放な上司だったが、いざとなったらケツをふく体制を整えているのはさすがだな、と。


紹介した課長の8つのスキルは、

スキル1 部下を守りながら安心させる
スキル2 部下をほめ方向性を明確に伝える
スキル3  部下をしかり変化を促す
スキル4 現場を観察し次を予測する
スキル5 ストレスを適度な状態に管理する
スキル6 部下をコーチングし答えを引き出す
スキル7 楽しく没頭できるように仕事をアレンジする
スキル8 オフサイトミーティングでチームの結束を高める

もし下期から課長になられる方がいらっしゃれば、
第二章だけでも読んでみてください〜


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