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専門用語はわかりやすく伝える

対人援助者はそれぞれの専門分野で、いろいろな専門用語を使いながら仕事をしています。

たとえば、わたしの専門である介護分野には、
「ADL」
「感情失禁」
「トランス」
などの専門用語があります。

専門職同士で話をするときに、こういった専門用語を知らないと不便です。
専門職として仕事をするうえで、専門用語はしっかりと理解しておく必要があるでしょう。
ですが、ひとつ注意しておきたいことがあります。
それは、援助者同士で使っている専門用語を援助相手に同じように使っても、援助相手には伝わらないということです。

先ほど例にあげた専門用語を相手にそのまま伝えると、次のようになります。

「Aさんは以前よりもADLが低下しています」
「Bさんはたまに感情失禁がみられます」
「Cさんの車イスからのトランスは全介助です」

どうでしょう?
これらの専門用語を知らない人が聞いたら、何を言ってるかわかりませんよね?
説明は相手に伝わってなんぼです。
と、頭ではわかっていても、専門知識のない援助相手に対しわたしたち援助者は、専門用語を使って話をしてしまうこと、けっこうあるんじゃないでしょうか。
特に専門用語を覚えたてのときは、専門用語を使うのがかっこよく思えてつい言いたくなってしまうんです。
何を隠そう、実際にわたしがそうでした(笑)
ですが、それは相手目線ではありませんよね。
自己満足な説明にならないように、相手目線に立ったわかりやすい説明を心がけましょう。

先ほどの専門用語を相手にわかりやすく伝えようとすると、次のようになります。

「Aさんは以前よりも体の動きがよくありません」
「Bさんは急に泣いたり怒ったりすることがあります」
「Cさんが車イスから乗り移るためには全面的な介助が必要です」

この説明なら、「ADL」「感情失禁」「トランス」といった専門用語を知らない人にも、言葉の意味が伝わりますよね。

専門職として仕事をするためには、専門知識を身につけ専門用語もきっちり理解しておくべきです。
ですが、それだけではいけません。
専門用語を理解したうえで、相手のわかりやすい言葉で話ができる人こそ、本当の専門職と言えるのではないでしょうか。
対人援助のプロとして、「相手にわかりやすく伝えること」はしっかり意識したいものですね。

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