なんで宣材写真を撮り始めたんだっけ?
最近宣材写真の撮影会を始めてみました。
今後も定期的に開催していくかどうかは現段階では未定ですが、より多くの方に僕の宣材写真撮影サービスを利用してもらえる機会になればと思っています。
https://lit.link/takumawatanabe
撮影会を始めた理由は1日に複数人撮ることでコストを抑えて気軽に参加しやすい価格帯(現状は6000円)にすることでより多くの人に撮影サービスを利用してもらいたいからです。
なぜ価格を下げてまで多くの人に利用してもらいたいのかというと、それはシンプルに、よくない宣材写真を見ると悲しい気持ちになるからです。
普段俳優の方のSNSで、宣材写真の更新報告や演劇公演告知のチラシの裏などに載っている宣材を見て「それなら僕のとこに撮られに来てくれよ…もったいないって」と思うことが結構あります。
人によって宣材写真を撮り直す頻度はまちまちだとは思いますが、よくない写真を使い続けることはその宣材写真で戦っていく1年くらいの時間を無駄にするのと同じことです。
出来上がった写真を受け取って、あまりよくないな…と思ってしまったなら、すぐにでも撮り直すくらいの心持ちでいないと本当はいけないんだと思っています。
でもそのためには今の東京の宣材写真料金は俳優にとってあまりにも高すぎる。
僕の通常撮影の価格帯もできるだけ低価格で提供したいと思っているのですが、それでも決して安くはないです。
だから撮影会を始めることにしました。
正直「宣材写真」というものは舐められていると日々感じます。
僕自身も俳優時代に舐めていたし、カメラマンの業界からもだいぶ舐められている。
「俳優にとって絶対に必要なものだから需要はなくならないだろう」という驕りがカメラマン業界内に確実にあるような気がします。
そこにあるのは俳優ファーストの考え方ではなく、俳優のために価格を下げようなんていう人はほぼほぼ存在しないし、むしろ今後も値上げが続いていくものだと思っています。
そんな状況の中でも「宣材写真」は俳優にとって最も重要で、こだわるべき要素のひとつであることは変わりません。
演技を磨くことと同じくらい大事です。
なぜならば、書類審査において宣材写真は最も重要なプロフィール情報で、審査員の目に一番最初に容赦無く飛び込んでくるものだからです。
宣材写真が当たり障りのない平凡な写真になってしまうとあなたの魅力に興味を持ってもらうこともできず、書類審査を通過することが難しくなります。それでは演技を見てもらうことさえできません。
映画やドラマ、CMの場合審査する側は映像業界のプロなわけですから確実に目が肥えていますし、オーディション期間中は数百のプロフィールに目を通しています。
知り合いのカメラマンにふらっと撮ってもらったポートレート写真ではなく、宣材写真としてちゃんと覚悟を持って撮られたものじゃないとそもそもちゃんと見てもらえないということを俳優はもっと知るべきです。
だからこそまず一度しっかりと宣材写真としてお金を払って撮ってもらって、その撮ってもらった写真をもとに自分という人間を知ること。
また、撮ってもらうことで見えてくる、自分のセルフプロデュースとしてどういう宣材写真が最適なのかを考えるきっかけにしてもらいたい。
一度撮られて、僕の撮る写真が合わないと思ったら違う人に撮ってもらうのでも全然いいと思っています。
宣材写真というものがなんのために撮られるものかを熟知した上であなたをちゃんと表現してくれる写真を撮ってくれる人にちゃんと出会ってください。そのためのステップとして僕のことなんか利用してくれて全然構わないです。
そもそもなんで宣材写真を撮り始めたんだっけ?
いろんな方の宣材写真を見ていく中で、今の東京に惹きつけられるいい宣材写真を撮る方はおそらく10名もいないのではないかというのが僕の実感です。
さらにそこからお互いの性格的な相性や撮影スタイル、撮りたいと思った時に撮ってもらえるかどうかのタイミングなどの条件を鑑みると、俳優がカメラマンを選ぶという作業はかなり狭い領域を縫うように進んでいくことのように思います。
また、カメラマンという生き物は基本的に単価の高い仕事をどんどんできるようになっていきたいと思っているところがあるので、いい写真を撮る人であればあるほど価格が高いし、今宣材写真を撮っている人でも2年後、3年後に受注を続けるものでもないかもしれません。
僕自身も1年半後には限界を感じて廃業しているかもしれないですし、先のことは誰にもわかりません。
僕はそれでも、今は専業で俳優の宣材写真だけを撮り続けたいと思っているし、自分が撮り続けることでしか変えられない世界があると本気で思っているからこの仕事をやっています。
そもそも僕がなぜ宣材写真を撮り始めたのかというと、それは俳優というものに並々ならぬ想いと未練があるからだと思います。
まず僕は俳優時代に全くといっていいほど宣材写真にこだわっていませんでした。
俳優活動をしていた初期の頃、何度かプロのカメラマンにお金を払って撮ってもらったことはあるものの「これでプロなの?」と思える写真にしかならず、かなり不信感を抱いた経験があります。
それ以降は自分が写真を始めたこともあり宣材写真をセルフタイマーで自分で撮るようになりました。
でも、自分を自分で撮る写真と人に撮ってもらう写真は全く別のもので、いい写真を撮ってくれる方にしっかり相対して正面から撮ってもらうことは俳優にとってとても大事なことなはずです。
ちゃんといいカメラマンを見つけて、しっかりとした宣材を撮れていたらもっと違った俳優人生もあったのかなと今となっては思います。
過去の自分が必要としていたことはきっと今誰かが必要としていることで、その人たちの未来を少しでもいい方向に導ける、そういう存在になろうと思ったから僕は宣材写真を撮り始めました。
それなりに歳を取り、俳優時代にお世話になってきた方がちゃんと業界で評価されるようになってきたことは自分の中で大きな自信になっています。
自分がかつていた場所が間違っていなかったということを教えてもらっているような心地にいつもなります。
もう気軽に会えないような雲の上の存在になってしまったけど、自分がやっていくことが直接的にでも間接的にでもその人たちとまた結びついていったら自分の人生にとってこれ以上嬉しいことはないだろうなと思います。
それはたとえばカメラマンとしてその監督の映画のスチールを担当するだとか、自分が宣材写真を撮った方々がその監督の作品に出演するだとか、そんなささやかなことが自分の人生に起こせたら生き続けている意味があるよね。と思うんです。
それなりの写真が撮れるようになって、そこからのカメラマンにとって最も大事なのは、自分がこれまでの人生でなにを見てきて、なにに触れてきたかの違いでしかないんだと思うんです。
その点で、見てきたものや触れてきたものに関しては自信があるし、それは自分が俳優であったからこそ培われてきたことなので、自分にしか撮れない俳優のための宣材写真が確実に存在すると思っています。
それを極めていくつもりです。
なので俳優の方で宣材写真で悩んでいることがあればぜひ一度僕のところに来てほしいです。
そうでなくても気にかけていただけたらそれだけでとてもありがたいです。
今後ともどうぞよろしくお願いします。
渡辺拓真
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