第二十三回伊豆文学賞の反省

※この記事は2019/10/16にはてなブログに投稿した内容をそのまま移植したものです。

第二十三回伊豆文学賞に応募しました。
https://compe.japandesign.ne.jp/izu-bungaku-2019/

原稿用紙換算82枚でフィニッシュ。
無駄は削ったつもりですが長くなってしまいました。
規定には80枚「程度」とあったので、まあ、ギリギリ土俵には上がれそうです。

かけた時間は約1ヶ月半。
プロットは2時間くらいでまとまったし、最後まで大きな変更は起きませんでした。単純に、本文の進みがあまりにも遅すぎました。

「書く」への取り組み方が悪かったのだと思います。
特に初稿の時点で情景描写に力を入れよう!と意気込んでしまったのがまずかったです。
書いては直し、書いては直しを繰り返し、一向に本文が進まない泥沼状態へ。

反省としてはシンプル。
ひとまず最後まで書ききる。それから直していく。
これに尽きます。

頭ではわかっていたけれど、実践しきれていなかったことです。
なのでこうやって言語化して、同じ失敗をしないように頭に刻み込もうとしています。

結果的に情景描写が満足にできたかというとあまり自信はありません。
というか向いてないなと割り切ってしまった感もあります。
苦手を克服するよりも、得意を伸ばしたいという気持ちが働きました。
(その方が楽しいから…)

ただ同時に、自分の得意ってなんだろうと考えるきっかけにもなりました。
描写は巧くない。
構成も(勉強はしたけど)並程度。
キャラが個性的なわけでもない。

この有様でプロ目指せるのか?と不安になりました。
そこからは悪循環でした。

なんで書いてるんだっけ?
こんなつらい思いしてこの先に何があるんだっけ?
意味なくない?
中盤は本気でそう思いながら書いてました。

なんでそこでやめなかったのかといえば、意地でした。
今回の原稿に取り組もうと思ったのは、ある友人が伊豆文学賞に応募すると打ち明けてくれたからです。
「一緒に応募して勝負しよう」そんな会話がきっかけでした。
もし友人と同じ土俵にすら上がれなかったら、死ぬほど情けない。
最後まで書き上げられた理由はその一点しかなかったと思います。

締め切り1週間前に、数人の知人に査読をお願いしました。
そのフィードバックで、自分の強みに関するヒントをもらえました。
といっても、うっすらと「そうなのかな?」と思った程度です。
自分で説明できるほど理解したわけではありません。

少し話が変わりますが、小説って色んな要素が複雑に絡み合ってできてるんですよね。
・テーマ(主張)
・モチーフ(象徴となるアイテム)
・シチュエーション(シーン)
・キャラクター
・構成
・(ミステリなら)トリック
などなど…

これらの要素のなかで比較的思い浮かびやすいのは、「シチュエーション」「テーマ」「モチーフ」です。
(このあたり、人によって違うと思います。物書き同士で話したら面白そう)

僕はなるべく機械的に作品を量産できるようになりたいので、考えやすい要素を取っ掛かりにして作品を書いていく力をつけようという方針が見えてきました。

もう少し具体的に言うと、先に魅力的なシチュエーションやモチーフを考えて、それを起点に構成を広げていくイメージです。
(僕のなかではテーマは勝手に話に紐づいてくる感覚がある)

で、実際に試してみたら案外うまくいきました。
次に書くのはミステリなんですが、まず不可思議なシチュエーションを考えて、それと整合性の取れそうな構成を考えるという順番で考えたらあっさりプロットまではまとまりました。
今回たまたまうまくいっただけなのかもしれませんが、この発想法は今後も試してみる価値がありそうです。

ついでにミステリという土俵で言うと、トリックは最初じゃなくてもいいと改めて理解しました。
提示される謎とその真相が暴かれる瞬間が魅力的であればいい、という感覚です。
派手なトリックありきで考えるのではなく、秘密、すれ違い、各々の正義と対立、人間の弱さ…
そういう角度から話を作っていくのが、僕なりのミステリの書き方なのかもしれません。

あとは、短編ミステリだとマイナスに振れた状態で始めた方がやりやすそうだなとか、プロット段階で作中の日付やキャラの家族構成などの細かい部分をサボっちゃいけないとか、そういう地味だけど大事な発見もありました。

そして何より、書き上げた喜びに勝るものはないという発見。
脳が痺れて震えるような、あの感覚があるからまた書こうって思えるんですよね。

さて。
長くなりましたし、後半は次の作品に取り掛かったことで気付いた話に逸れましたが、備忘録的な意味で書いた記事なのでご容赦ください。


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