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外は狼、内は子犬8 出会い中編

ひより「あ、あの!」

ゆっくりと振り返る、あの時の心臓の音は今でも覚えてる

全ての時がゆっくり感じた

あなたが口を開くと戻された

〇〇「はい」

ひより「こ、この、この前はか、かかかさ」

〇〇「落ち着いて下さい。ちゃんと聞きますから」

ひより「すみません。ふぅー」

一息ついても心臓が飛び出しそう

ひより「この前、雨の日に傘を貸して下さってありがとうございました」

〇〇「あの時の、わざわざ返してくれてありがとうございます。」

傘を返すともう2度とあなたと話せなくなるんじゃないかって思ったの

〇〇「え、あの、傘離してもらっても」

ひより「も、もし、良かったら!お茶しませんか?」

〇〇「え?」

ひより「お、お礼をさせて下さい!」

〇〇「そんないいですよ」

ひより「私が気が済まないのでお願いします」

〇〇「分かりました。分かりましたから頭上げて下さい」

必死のあまり頭下げてあなたを困らせたね

交渉の末、傘を返して近くの喫茶店に入った

あなたはコーヒー、私は背伸びして紅茶を頼んだっけ

頼んだ物がくるまでの時間が永遠の様に長くて

私はずっと店員に渡された手拭きを見てたな〜

〇〇「自分は齊藤〇〇といいます。今大学1年です。」

ひより「あ、すみません。自己紹介」

ちゃんと正面で初めて見たあなたの顔

無表情だけど目はずっと優しかった

ひより「えっと、あの」

〇〇「ふふ、大丈夫ですよ。ちゃんと聞いてますから」

初めて表情が崩れた顔を見た

ひより「濱岸ひよりと言います。高校3年生です」

〇〇「1つ年下なんだね」

自己紹介が終わると頼んだ物が届いて会話が途切れる

次の話題、次の話題って話題を考えてたら

〇〇「タメ口でいいよ」

ひより「え?」

〇〇「1つしか違わないし堅苦しいでしょ」

ひより「でも」

〇〇「自分もするから、そうしてくれると嬉しい」

今思えばこれは〇〇の優しさだったんだって今気づいたよ

緊張しっぱなしの私を和らげるための優しさ

ひより「分かった」

〇〇「うん、ありがと」

ひより「突然だけど齊藤さんは」

〇〇「〇〇でいいよ」

ひより「それは」

〇〇「俺もひよりちゃんって呼ぶからさ」

ひより「うん。〇〇君はどこの大学行ってるの?」

〇〇「日向ヶ丘大学に行ってるよ」

ひより「え、頭良いんだ」

〇〇「ちょっと頑張ったかな」

ひより「私も〇〇君と同じ大学行く為に勉強頑張る!」

〇〇「おぉうん、頑張って」

ひより「なのでべ、べべ」

〇〇「うん」

緊張のあまり言葉が詰まっても最後まで待ってくれるあなたの顔は変わらず優しかったよ

ひより「勉強教えてくれませんか?」

〇〇「ん!」

目だけ大きく開いて驚いた顔

〇〇「うーん」

ひより「お願い」

〇〇「頭あげてよ、分かった」

ひより「本当ですか!?ありがとうございます!」

〇〇「ふふ、敬語になってるよ」

ひより「あ、ありがと」

〇〇「じゃあ連絡先交換しようか」

ひより「いいの!?」

〇〇「連絡先知らないと集まりようがないから」

ひより「あ、そうだね」

よく頑張った私!!

その日から学校終わりや週末、時間が合う時は毎回勉強を教えてもらった

だんだんと勉強に限らず雑談もする様になった

美穂「ひよたん、最近授業で寝なくなったね」

ひより「そう?前からじゃない?」

美穂「毎日寝てたの忘れたの?先生にも怒られて」

ひより「あったね〜」

美穂「今、幸せ?」

ひより「うん!めっちゃくちゃ幸せ!」

美穂「幸せオーラ出てるしめっちゃ可愛くなってるもん」

ひより「そう〜?美穂のお陰だよ〜」

美穂「きゃあ〜襲われる〜」

この幸せがずっと続くと思ってたんだ

順調に告白すれば付き合えると思ってたのに

あの時の私はバカだったな〜

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