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幸せをあきらめないすべての人へ。最も大切なことを、最も大切にするために、最も大切なこと。『超ミニマル・ライフ』四角大輔

『超ミニマル主義』の続編。『超ミニマル・ライフ』。名前に似合わぬこの分厚い本を一言で表現するならば、「最も大切なことを、最も大切にするために、最も大切なこと」が書かれた本である。

これらのフレーズに聞き覚えがある人も多いだろう。本書でも引用されている「最も大切なことは、最も大切なことを、最も大切にすることだ」というスティーブン・コヴィーの言葉をもじったものである。

この言葉にハッとさせられる人は多いが、でも、よく読んでみるとものすごく当たり前のことである。一番大切な人を、一番大切にする。一番大切なことを、一番大切にする。そんなの当たり前でしょ! と思うけれども、でも、できていない人が多いからこの言葉が胸に刺さるのだ。

なぜ大切なものを大切にできないのだろうか。本書では、それは忙しく、心の余白、余裕がないからだと説明している。たしかにそうだ。忙しい人、心の余白、余裕がない人は忙しい、つまりは心を亡くすという理由によって、大切なことを大切にできていない。本当は大切なことを大切にするために行動していたはずなのに、いつの間にか、本来の目的を見失ってしまう。今の世の中はそのような仕組みになってしまっているのである。

では、そこからどうやって脱却すればいいのか、どうすれば、最も大切なことを、最も大切にできるのか。それについて、四角大輔氏が、自分の人生を賭けて、トライ&エラーしてきたことが全てメソッドとして公開されている。読んでいると、当時の彼の姿が浮かんでくる。決してうまくいくことばかりではなかった。むしろ、うまくいかなかったことばかり。だから、工夫したのだ。考えたのだ。その努力を想うと、なんだか涙がでそうになってくる。ほんとよく頑張ったね! と。

ほとんどの人は、どこかであきらめてしまう。どこかで妥協してしまう。どうせ自分には才能がない。だから幸せになれない。でも、彼はあきらめなかった。才能がどうだとかではなく、幸せになることをあきらめなかったのである。

四角氏は「ミニマル=足るを知る」であると言う。「足るを知る」ということはつまり自分自身のことを知るということである。どうすれば幸せになれるのか? と考えた時に、自分のことを知らない人に、自分を幸せにすることはできない。だから、彼は徹底的に自分を知ることを始めたのである。これもとても当たり前のことなのであるが、でも、この競争社会の中で、他人と比較せずに、自分のことを知ることに集中できる人はどれだけいるだろうか。頭ではわかっているはずなのに、それができない。どうすれば自分を知ることができるのかもわからなくなっている。自分の好き嫌いさえもわからなくなってしまっている。でも、本書では、そんな自分を知るための方法・技術(メソッド)が細かく記載されている。難しいことは何ひとつない。なぜなら、これは何かを足す技術ではなく、引く技術だからである。足したのは誰か? それは自分である。自分で足したものならば、自分で引くことができるのだ。

『超ミニマル主義』もそうだったが、ここまで細かくメソッドがある本は他には見たことがない。「細かすぎる!!」とツッコんだ人がどれだけいるかわからないが、でも、そのおかげで誰もが取り組むことができる。本当に革命的なビジネス書、いやビジネス書革命ではないだろうか。

また、四角氏の体験だけではなく、世界中の研究データからそのエビデンスを引用している。もう少しそのメソッドを深掘りしたければ、その本を読んでさらに深く知ることもできるようになっている。よくある成功者の成功体験談でしょ? と思う方は、ぜひ引用されている文献も読んでみるといい。たしかに科学データは日々変わっていくかもしれないが、それでも、すでに結果は出ているのだ。それをあなたが知らなかっただけなのである。

当たり前のことを当たり前にやることが一番難しい。当たり前のことは当たり前すぎてわからないからである。意識しないからである。それよりも目新しい何か、流行だから、みんながやっているからと言って、それをやってみてもうまくはいかない。それは当たり前のこと(本質)ではなく、ただ目新しいもの、流行、ただみんながいいと思っている、思い込んでいるだけのものだからだ。

本書はできている人とっては「そんなの当たり前こと」だと思うだろう。四角氏も日本ではなく、海外であれば、もっと何分の一にもページを薄くすることができると語っている。

今の日本社会に合わせて書かれた、まさに幸福になるための技術(メソッド)である。幸福になるのに技術なんているの? と思うかもしれないが、なぜあなたは幸福を感じられないのであろうか? どうして幸せになれないのであろうか? それは幸せになる方法、技術を知らないだけではないのだろうか?

そもそも幸福になるためには、何か努力や技術なんて必要ではない、と思い込んでいるからこそ、幸福になれないのかもしれない。幸福はたしかにその人が感じるものであるが、でも、幸せになるために、人は努力できるのである。努力というと固い言葉に聞こえるかもしれないが、方法はあるのである。そして、誰もが行動することにより手に入れることができるのである。

まさにその方法を伝えてくれている「幸福論」である。もちろん人によって何が幸せかというのは異なるが、幸せになる方法・技術というのは、そう多くはない。それもまた当たり前のことなのである。人は人であり、人である以上、人以外でないのだから。矛盾しているように聞こえるかもしれないけれども、人である以上は幸せになる方法はあるのであるし、幸せになろうとするもののことを人は人と呼ぶのではないだろうか。

最も大切なことを、最も大切にするために、この本には最も大切なことが書かれている。ぜひ読んで、そして、実行してみて欲しい。
幸せをあきらめないすべての人へ。
僕も幸せになることをあきらめないから。

※タイトル画像は著者のインスタより
https://www.instagram.com/daisukeyosumi/

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