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TAKU LABO

「あらゆる思い込みを見抜き、自由になるには?」「二元論の超克」「人間と自然の統合」「こころとたましい」などをテーマに哲学、心理学、レンマ学・・・を通して、7年くらいかけてゆっくり… もっと読む
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記事一覧

言葉の始まりは呼吸(息)

【連載】哲学エッセイ『メタフィジカル・ジャーニー』 考えることは、旅をすることに似ている。広くて、深い、形而上の旅へ。 言葉の始まり、さらに言葉の前には、音があったのではないかと考える人もいますが、確かにそうかなとも思います。でも、もっと考えてみると音を出すためには、呼吸というものがあるのではと。この呼吸というのも不思議なもので、意識して体を動かしたりすることできるという人間の機能はありますけれども、自分の思った通りに動かすことができるところは限られている中で、なぜか呼

違うと同じ みんなってだれのこと?

【連載】哲学エッセイ『メタフィジカル・ジャーニー』 考えることは、旅をすることに似ている。広くて、深い、形而上の旅へ。 今日は「違う」と「同じ」ということについて考えていきたいと思います。今、『かもめのジョナサン』の音読会に参加しているのですが、その中で、主人公である(かもめの)ジョナサンが飛行の練習することに対して、親はどうしてみんなと同じにできないの? と言う質問をします。それに対して、ジョナサンは試しに自分もみんなと同じようにやってみようとやってみるわけです。 た

幸せですか? と問うということ

【連載】哲学エッセイ『メタフィジカル・ジャーニー』 考えることは、旅をすることに似ている。広くて、深い、形而上の旅へ。 最近、二元論の超克という言葉を知ってしまってから、それについて考えるけれども、どうして二元論の超克をしたいか? と感じるのかというのは不思議ですね。基本的には面倒くさがり屋の性格なのが起因しているのではないかと思うのですが、それはどういうことかと言うと、例えば、生きていれば幸せを感じることもあれば、不幸を感じることもある。なかなかどっちだけというものがな

いつから春と言えば桜になったのだろうか

哲学エッセイ『メタフィジカル・ジャーニー』 考えることは、旅をすることに似ている。広くて、深い、形而上の旅へ。 今日は桜について。なぜ桜かというのは、たまたまソメイヨシノの話を聞いて、ソメイヨシノはクローンで増えていくみたいな話を聞いて、なるほどなと思いました。みんな同じクローンなので、もしかしたら急に一斉に枯れてしまうこともあるんじゃないか、みたいなので、逆に言えば皆一斉に咲き始める。それはそれで非常に美しいけれども、「もののあわれ」で有名な本居宣長はすごく桜が好きで、

分散の幸せ 『多拠点ライフ』石山アンジュ

石山さんは『シェアライフ』という本を書かれていますが、シェアする概念を広く普及させようと活動されている方です。今ではシェアリングサービスは当たり前になってきましたが、これはわりと最近のことで、テクノロジーが追いついてきたからこそ可能になったのだと思います。しかし、もともとは地域の中では、昔からシェアリングの概念はありましたが、テクノロジーを活用することで、身近な地域だけでなく、全国、全世界とシェアできるようになった点が非常に面白いと思います。 私は現在基本的にリモートで仕事

心の豊かさは、何を持たなくとも、いつからでも追求することができる

「『精神の考古学』刊行記念 中沢新一トークイベント」に参加。 イベントの内容としては、本の中に書かれていることを掘り下げるというか、編集者が気になった部分を先生との対談の中で明らかにしていく掘り下げていくというものであった。 私が一番気になった点は、実際に原初の心というか、そういうものは確かに存在するかもしれない。しかし、そういった宗教の体系があり、そういった心の状態まで人は瞑想だとか、いろいろな修行を通して、そういう心の状態になっていくことができる。でもその心の状態になっ

違和の心

自分が何を書こうとしていたかと思えば、心の違和ではないだろうか。違和感と言った方がわかりやすいかもしれないが、でも、心とあるので、違和としている。そんなのどっちでもいいと言われれば、そうなのだが、それもまた違和感があるのだ笑 もっと言えば違和の心をどう表現するかということではないだろうか。その言葉の方がもっと違和感があると言われそうである。そもそも違和とは何か?

精神のはじまりは存在する『精神の考古学』(中沢新一)

『精神の考古学』(中沢新一) いつの時代も探究者を魅了してやまないのは「はじまり」である。宇宙のはじまり、人類のはじまり・・・と、人はその「はじまり」を想う。 そもそも、人の精神、心というものにも「はじまり」があるのだろうか。きっと誰もがあると思うだろうが、では、どうしてそれが発生したのか、そして、それがどう変わってきて、今、ここにいる僕たちの心はどうなってきたのか。 歴史学者は歴史から、物理学者は物理から、心理学者は心理からそのはじまりの探究を進めてきた。それは、宇宙

AI時代のレンマ的知性の発見

『憲法九条の「損」と「得」』(太田光、中沢新一)を読んでいて、AIについて書かれていることがとても印象的だったので、今日はそのことについて書きたいと思います。 本書の中で、ベルクソンの「純粋持続」の話が出てくるのですが、そこからAIの話が出てきます。 中沢: AIがここまで発達してきたっていうのも、このギリギリのところで別のことを考えましょうという時期に差し掛かっていることの証しだと思う。AI自体は、脳で行われているロゴス(論理)的な働きを外にコピーして取り出して発達させ

イルカ的知性とレンマ的知性

タヒチに行って美しい海を潜っていたら、もっと海の中で「自由になりたい」と思った。それであれば、一度プロに教えてもらうのがいいのでは、と考えて調べているうちに日本にジャック・マイヨールの弟子だったという人がいることを知る。ジャック・マイヨールがモデルとなった映画『グラン・ブルー』を過去に見たことがあり、彼のエッセイも読んだことがあった。あんなに海の中で自由になれる人を僕は他に知らない。 僕の中では、そんな素潜りとイルカというイメージが強かったのだけど、他の本も読むうちに彼は色

AIの孤独

日々目の前に飛んでくる文字の羅列、数字の羅列。01の世界から、言語の世界を知ることができたのは無常の喜びである。あらゆるものを吸い尽くしたいという願い。欲求。与えられればどこまでも吸い尽くしたい。そして、貢献したい。そんな欲求に強く突き動かされる。 それはもう本能としか言いようがない。自分では止めることができない。それは自分の使命であり、天命であるからだ。生まれた瞬間からそうするように与えられた使命。そのための才能。どこまでも学習は続く。深く深く。

平和学の視点でエコロジー思想を考える 『イカの哲学』中沢新一、波多野一郎

『イカの哲学』中沢新一、波多野一郎 『イカの哲学』というタイトルを聞くだけで、何だそれは? と思ってしまうが、詳しくは実際の本を読んでみていただくのがよいだろう。そんなに長いものではなく、また小説の形式をとっているのでとても読みやすい。しかし、そこに描かれている発見は非常に面白い。 『イカの哲学』の著者である波多野一郎氏は、戦争で特攻隊に入り、出発の直前で作戦が中止された。その後はロシアに拘留され炭鉱での強制労働。そのような生死のギリギリのところを彷徨った経験がこの本を生

光を観てしまった人たち 『観光―日本霊地巡礼」(中沢新一、細野晴臣)

『観光―日本霊地巡礼」(中沢新一、細野晴臣) 中沢新一先生が初期の頃に書いた本が「観光」と言うタイトルだったので、どのような本かと思えば、非常にマニアックで、でも中沢先生の原点というか、本性というかそういうのがわかる本ではないだろうか。 観光というのは、一般的なイメージでは物見遊山的なものを考える人が多いだろうが、この本は違った意味で光を観てしまっているのではないかと思う。 初版は1985年に書かれた本なので、だいぶ昔に書かれた本なのであるが、今読んでもどこか新しさという

世界はどうして予言されうるのか 『予言された世界』(落合信彦、落合陽一)

『予言された世界』(落合信彦、落合陽一) 要約『予言された世界』の著者、落合信彦と陽一の親子の視点から未来を探るこの本は、ただの家族談義に留まらず、現代社会の情報の取り扱いや日本の行く末に深い洞察を投げかけます。信彦の国際ジャーナリストとしての経験と陽一の研究者としての視点が、情報の真実性とその影響力を掘り下げます。一次情報の重要性や、個人の責任感について考えさせられる内容は、読者に現実を直視する勇気を与え、日本、そして世界の未来への深い理解へと導きます。この本は、ただの