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α7SIIIを3年使ったので改めてレビュー

2021年に買って以来ずっと使っているカメラ、α7SIIIを改めてレビューするnoteでございます。僕にとって初めてのフルサイズで、とても思い入れのあるカメラ。色々買い替えたけど、これだけはずっと手元にある。愛してる。

総合的に見てやっぱり素晴らしいカメラ。いろんなカメラを使ってきたけど、やっぱりα7SIIIいいなぁって思う。他のカメラを使えば使うほどα7SIIIの良さが際立つ。

スペックの話はググっていただくとして、ネットにあまり書かれてない、すーっごい細かい話をしていきたい所存。

※別noteに「所有機材/使用経験のある機材」を書いております。それらとの相対比較の上での感想になるのでそちらもご参考下さい。


【良い点】
・今でも速すぎるAF
・完璧なボタン
・プライドを捨てたカスタマイズ性
・30Mbpsの激軽&高画質動画
・1200万画素の安心感/現像耐性
・エラーが極めて少ない

【気になる点】
・アプデで改悪されたバリアングル仕様
・最速SSが1/8000
・右手中指の過労


今でも速すぎるAF

正直速すぎる。全然余裕。子供の撮影をメインにしてる僕にとって、AF性能のイメージはこんな感じ(主観が多分に含まれる)

a7RV(AIAF世代) >>> a7SIII(a7IV世代) > α6600 > Zf >>--(越えられない壁)-->> X100VI(第5世代)  > X-E4, X-T4(第4世代) > a7IIIR >--(AF-Cの壁)-->> Leica Q2 = GRIII > Df

主にAF-Cの汎用性、瞳AFの食い付きや精度で並べた。MF,AF-S, トラッキングへのスムーズな移行可否も含めると、SONYは更に1段階上になる。

正直Zf以上のAFであれば殆どの人は満足すると思う。a7SIII+35mm F1.8のAF-Cで、こっちに歩いてくる子供の瞳は余裕で追いつける。変なAF抜けも無い。カメラが苦手な低コントラスト平面でも全然迷わずに一瞬で合う。トラッキングやAF-Sへの移行もワンボタン。総じてハイレベル。

これを更に最強にしたのが現行のAIAFだけども、正直ここまではいらない気がする。凄すぎて「撮ってるというか撮らされている」感覚すらある。このAIAFが17万円前後のa6700に乗ってるのがSONYのすごいところ(なぜかa6700はあまり話題にならない)


完璧なボタン

何度触ってもボタンが完璧。押しにくいボタンが1つもない。色々なカメラを使って気づいたのが「ボタンの位置、硬さ、飛びだし量ってすごい大事なんだな」ってこと。どんなにたくさんボタンがついてても押しにくいだけで使いづらくなる。

例えばa7RIIIもボタン多いけど、飛びだし量が少なくてとても硬い。ストロークがないタイプ。このタイプはツメでグッと押さなきゃいけないから結構苦手。そしてa7CIIは信じられないくらい押しにくい。何を考えてこれにしたのか全く理解できない(動画参照)

でもa7SIIIはとてもやわらかい。本当に押しやすい。やわらかいのに安っぽくない。カタカタしてる訳じゃないから、芯があってまっすぐ押せる。撮影においてボタンを押す回数は本当に多いからとても大事。もしこれを読むあなたにも相棒がいるなら、きっとボタンの相性がいいはず。気付きにくいけど大事なこと。

超絶押しやすい
天面の2つのボタン、まじで気持ち良い
(電源OFFのまま一生押してる)


プライドを捨てたカスタマイズ性

SONYはいい意味でカメラ屋のプライドを捨てている。それはつまり「あらゆるボタンにあらゆる機能を割り当て可能」ということに繋がる。

例えばNikonはピントの拡大縮小ボタンが決まっていて、そこでしか拡大縮小ができない。一度ニコンの方と打ち合わせしたことがあったけど、ニコン的には「この機能はここに合ったほうがいい、という想いがあるから、全機能を割り当て可能にする考えはあまりない。特に初心者機種においては尚更。カスタマイズ性がありすぎてもユーザーが迷うので。」と述べていた(会社方針を代弁するものではないので、一社員の方のお考えとご認識ください)
これも至極真っ当な考えで、「僕らはカメラ屋としてこれがベストだとずっと思ってる」という気持ちを製品に反映させるのは大切なこと。そこには一種の「カメラ屋のプライド」みたいなのが有るのかもしれない。Nikonは使用者がカメラに寄り添っていくタイプのカメラ。

右下の虫眼鏡マークが拡大縮小
カスタマイズ不可


一方SONYは「この機能割り当て出来たほうよくね?」みたいなのをどんどん追加していくタイプで、どうぞ好きに使ってくれ、というスタンス。良い意味でプライドがない。Nikonとは逆で、カメラが使用者に寄り添っていくタイプ。そして新製品になるたびに結構な量の機能が割り当て可能になっている。a6400→a7SIIIの時もかなり増えたし、a7SIII→a7RVでも実は結構増えている。

あとAF/MFの切り替えなんかも顕著で、レンズ側のAF/MFスイッチがAFになっていようと、ボディ側で「MF」のボタンを押せばMFになる。これが結構大きくて、「レンズ側にボタンがあるからそっちで切り替えてね」みたいな謎のおせっかいが無い。「別にボディ側で変えてもええよ」みたいな姿勢が感じられて大好き(レンズ側をMFにしたらMF固定なんだけども)

メーカーで働いてるからわかるんだけど、これって地味にプログラムが大変だったりする。

  1. レンズ側スイッチAF, ボディ側の指示AF

  2. レンズ側スイッチAF, ボディ側の指示MF

  3. レンズ側スイッチMF, ボディ側の指示AF

  4. レンズ側スイッチMF, ボディ側の指示MF

の4通りがあって、しかもそれらが互いに行き来する。全ての場合で不具合が起きないようにする必要があるし、これに加えてAF-SだのCだのトラッキングが加わるので、例えばFUJIが「次機種からやろう」ってなっても結構大変だとおもう。

お飾りとなってしまったAF/MFスイッチ
僕はほぼ使わない

なお、プロの方の意見として「SONY機は他の人に貸せない」というのも聞いたことがあり、確かになぁと思ったこともある。だって使用者によってみんなボタンと機能がバラバラだから。Nikonみたいに統一されてないから。

あとFUJIFILMはよくわかんない。Nikonみたいな考えがあるとかじゃなくて、たぶんそこまでやる余裕が無いだけな気がする。だって「モニターの明るさ調整」とかボタンに割り当て可能でもいいよね、普通。でもそれができない。申し訳ないけども「まぁこんなもんでいいか」みたいな妥協が感じられる。SONYはほぼ全てのアクションが割り当て可能(多すぎて選びきれないくらい)

お好きにどうぞ
Fnメニューの設定もUI良くて見やすい
(ボタンで事足りるからあまり使わないけど)


30Mbpsの激軽&高画質動画

a7SIIIの動画性能としては4K120pとかS-log3のベース感度12800等が取り上げられることが多いが、隠れた利点として4K 4:2:0 10bitを30Mbpsで撮影できる、というのもある。めちゃめちゃキレイなのにめちゃめちゃ軽い。SNS用であれば、この設定にPP11(S-Cinetone)とかで十分すぎる。

先日発表されたLUMIX S9がMP4 Liteを推していたけども「SONYのほうが軽くねーか」みたいな気持ちがあって、そんな優れたもんでも無い気がしてる。(h264とh265の差はあるのかもだけど)

隠れ機能


1200万画素の安心感/現像耐性

1200万画素は欠点ではなく利点。なんぼ連射しても容量減らない。PCやスマホへの転送速度も爆速。速すぎる。SSDにも優しい。編集も軽い。jpegの画質スタンダードとかもはや容量無限。実質ゼロ。

SONYの高画素機やLeica M11なんかだとRAWサイズを選択可能になっているけども、実はRAWサイズを変えるとダイナミックレンジが下がったりする場合もある(とるなら氏の神記事参照)

https://asobinet.com/review-ilce-7rm5-dr/

RAWサイズを小さくした時、SONYはDR低下してLeicaはDR上がるという噂もあり結構仕様が謎なんだけども、とにかく「全力そのままの1200万画素」を出力できるのはa7SIIIくらいしかない。

APS-Cクロップ時は500万画素になるけども、SNS程度であれば全然問題ないし、突っ込まれたこともない。最近はAIで高画素化もできるし、むしろ1200万画素がいい。

↑500万画素


A7C → α7CIIのRAW
A7S → α7SIIIのRAW
軽すぎぃ!!


エラーが極めて少ない

大事すぎる。M11使ってから更に実感する。
a7SIIIを3年間使ってて起きた重大なエラーは1度だけ。20分録画した動画が保存されていないことがあった。でもこれは僕が「記録終了→電源OFF→SDカード取り出し」を素早くやりすぎたのが原因な気もしてるので、実質エラーゼロと言っても良いかも知れない。それくらい安定している。

FUJIFILMは突然露出が暴れまくったり、記録エラーになることが結構ある。M11は言わずもがな(正常であることが珍しい)


その他利点(箇条書き)

・地味に電源の立ち上がりが速い。GRIIIには負けるけど相当早い。
・電源レバーも入れやすい。突起もあって最高。
・フロントダイヤルがちゃんと傾いてる(a7CIIのレビュー動画参照)
・EVFが安定してる。きれいなのは勿論、AF時とか撮影時とかで性能が落ちない。一部機種は特定条件下でEVF性能が極端に落ちたりするので結構悲しい。
・シャッターフィールがベーシックに良い。(ただDfのような中毒性は無い)


【気になる点】

アプデで改悪されたバリアングル仕様

Twitter参照。どうしてこうなった。
このせいでa7RVを買う羽目になった。


最速SSが1/8000

晴天のF1.4あたりから厳しくなる。それでもフルサイズのF2あたりでも全然ボケるので妥協できる範囲。


右手中指の過労

小さなボディなので、手のひら全体で握るというよりは、右手の中指をグリップに引っ掛けるような感覚になる。だから50mm F1.2(700g超え)あたりから右手中指がきつくなり、両手持ちじゃないと厳しくなる。それでも最近の小型思考のカメラよりは全然持ちやすいし、500g程度のレンズであればこれがちょうどいい。

この窪みに荷重の8割が乗る(体感)


【最近α7SIIIで撮った写真】


※ほとんどFE50mm F1.2 GM開放
※プリセット販売中です⭐︎


【まとめ】

今でも全然買っていいと思う。僕がこのカメラを使い続ける理由は、AFや動画性能、暗所性能に惚れてとかではなく、間違いなく使いやすさにある。

他のカメラを使えば使うほど「なんでボタンがこんなに押しにくいんだ!」「なんでこんな簡単なカスタマイズができないんだ!」ってなってしまう。

よく考えるとそれは「簡単なこと」ではなく「開発者が試行錯誤してなんとか実現できた配慮」であり、スペックシートに載らない部分まで考え抜かれたんだな、と気づくと更に好きなる。
ほい。そんな感じでございます。

おい聞いてるかFUJIFILM。新機種にIBISとリアラエース載せて焼き増ししてる場合じゃないぞ。そっちのほうが売れるのは分かってるけど、この辺もっとこだわってくれよ、置いてかれるぞ。頼むぜ。(突然の飛び火)

【宣伝】

いまさら買いました。間違いなく名著です。
内容は写真3: 哲学7くらいの割合に感じ、どっちも大好きな僕にはバイブルとなった。あと文章が上手い。言葉選びが上手い。色々参考になる。読んでよかった。小並感。


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