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ヘッドフォンアンプの製作

そういえばオペアンプ一発のヘッドフォンアンプを最初に作ったのは、学生時代かなあ?たぶん1985年とかですね。それからいくつ作ってきたか、もう覚えてませんが、その何代目か。

LME49600

一時期自作ヘッドフォン界隈でも話題になったこのIC、単なるバッファ(ダイアモンドプリンセス、もとい、ダイアモンドバッファー、という形式)で、電圧利得はないのでオペアンプと組み合わせてヘッドフォンアンプにするのが常道です。まあ単体で使ってらっしゃる方もいるようです。

定格では電流を±150mA (短絡時には±550mA)、正負電源電圧のそれぞれ-2Vぐらいまで引き出せるので、オペアンプ段を適切に設計して、電源をちゃんと確保すれば、±15Vの電源で、

(15V x 2 - 2V x 2) x 0.15A = 3.9W

ぐらい出せるということになって、手持ちのヘッドフォン

(一般業務用wでは「赤帯」SONY MDR-CD900STがメジャーですが、繊細なのはいいけど低域がちょっとなー、の向きにはこっちが断然お勧め!)

の最大1600mW (=1.6W) には余裕で対応できるようになります。

つまり

爆音!

でならせるということです。YouTubeやSpotifyで標準になったラウドネスノーマライゼーションで、音圧足りん!と文句たらたらの人々は、このくらいのヘッドフォンアンプを追加してみて爆音で鳴らすのをお勧めします(鼓膜に悪影響は必至)。

は冗談としても、ポスプロなどで何日か生収録の音源にかじりつくことも多いので、音質とともに「ゲイン」が必要になることが多い稼業ですので、最近のUSBバスパワーのオーディオインターフェース付属ヘッドフォンアンプでは質・量wともに物足りないことが多いのです。

回路

ええ、データシートそのまんまです。なぜならそれで十分だから。それも結構電圧ゲインが必要なのでNFBは減らしていますが、その分入力オフセットやソースのDCが増幅されるとヘッドフォンが痛むので、DCサーボ版にしています。

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実装

で、これをプリント基板に起こす...のが面倒なので、適当にeBayやAliexpressやらを探ると、基板だけ5枚組で売っているのを見つけました。

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これはオートルートじゃないなあ。手でパターン作ってるっぽい。まあ便利な世の中なのでぽちっと。したのが実はもうかなり前の話になります。で、今回のこれはもう3つ目ぐらいです(残り2枚)。

Aliexpressあたりではもっと安いかもですが、安心安全のw eBayではこんな感じです。これは1枚かな?失敗も見込んで、複数枚同時に買っておいた方がいいとは思います。

LME49600+NE5532 OP Amp Preamp Audio Buffer Amplifier Board for CD/ Headphone amp | eBay

部品は部品箱の中から手持ち部品でw。基本比較的大きめの信号を扱うので、あまり繊細な部品は必要ありません。炭素被膜抵抗でも十分といえば十分なんですが、秋月あたりだと金属皮膜抵抗も高くはないので、そっちを使います。主に見た目的なw

あ、入力のBP(バイポーラ)と書いてあるコンデンサーは実装せず、ジャンパーで飛ばします。これでソースのDCオフセットには弱くなるけど、入力に直列に入るコンデンサーは音が激変するので、なるべく入れたくないのです。

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オペアンプは、データシートではLME49720になっていますが、まあ基本「なんでも」動きます。それこそいにしへの RC4558 とかw 業務用機器標準の NE/NJM5532 にしている人も多いですが、個人的好みで OPA2134 にしています。 OPA2604 もお勧めです。このパーツによって音の方向性が決定します。いろいろ買ってみて試してみるのがいいと思います。(両電源・2回路のオペアンプを買ってください)

品薄?ディスコン?

ちなみにこの LME49600、だいぶ前から秋月とかの店頭の部品屋さんから消えていますが、ディスコン=製造中止になったわけではなく、Texas Instruments 社の方針変更で、「エンドユーザーがわからない販売ルートには卸さない」ことになったせいらしく、店頭経由で買えるのは在庫だけになっています。なので、Digikey や Mouser といった通販経由なら問題なく購入できます(使途と「そのまま加工せず売るか」を聞かれます)。

ただ自作ユーザーは結構アキバで即購入、が好きらしくw、TI社の製品を避ける傾向がありますねー。最近はアナログデバイセズとかが人気が出てきているような気がします。これにちょっと似てる、電圧ゲインゼロのオペアンプ用バッファICもある ( LT1010 )ので、それは今度試してみたいな。

苦手なケース組み込み

現場にもっていくことも想定して、電源はトランスではなく 12V 入力のDC-DCコンバーターを使うことにしました。これを手元にあった aitendo 製で買ったケースに組み込みます。スイッチとかDCコネクタとかあらかじめついていて便利なんですが、表にヘッドフォン端子がないのは不便なので穴あけしました。パネルがめちゃ分厚くてすごい苦労したw 2度とやんないw

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LEDはどうしよっかなー。まあなくてもいいかー。

そのほかいくつか失敗していますが、ナイショでw ほんとケース関係不得意。才能ない。

試聴

実は同じIC LME49600 を使って(DCサーボなし版)ヘッドフォンアンプを組んで、それを長いこと使っていたのですが、最近メインのDAコンバータをアップグレードして、それがとても出力が大きいのでヘッドフォンアンプのゲインを下げたいな、といろいろいじっていたら動かなくなってしまいw ICだけ取り外して基板に組付けた、というのが真相。だからまあ音は変わらないといえば変わらない、

はずだったのが

やっぱり?電源がDCDCになったのが大きくて、ちょっと音が痩せますね。しょうがないんだよなアンプなんて「電源を入力で変調して聴く(© Takumin)」ようなものだから。それにオシロプローブで見ると1MHzとかにPSRRで取り切れないDCDCのスイッチングノイズが乗ってますが、さすがに周波数高すぎて聞こえない(というかヘッドフォンが再生できないw)。

まあ電源問題は想定内。フェライトコアでも挟むかな。でもそのうちでいいや。

音質はそういう意味ではまあまあ期待値。当然音量は爆音!爆音ですよ奥さん!ラウドネスノーマライゼーションなんぼのもんじゃい!w

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