老後二千万円問題をどう解決するか。(新NISA編)
1. 老後二千万円問題とは?
老後二千万円問題とは、日本の金融庁が2019年に発表した報告書で提起された問題である。報告書によれば、年金だけでは老後の生活費を賄うのは難しく、夫婦で20年間の老後生活を送るには、年金以外に約2,000万円が必要とされている。この問題は、高齢化社会が進む中で多くの人々が直面する課題となっているのは周知の事実である。特に働き盛りの方は決してこの問題を甘くみてはいけない。既に日本政府にはこの高齢化社会を解決することはできない。人口ピラミッドは一度形成されてしまえば、その通りに進んでしまうためだ。政府に頼らず、自分で自衛する力が必要になっている。
2. 新NISAへの政府の思惑
新NISAは、国民の資産形成を促進するために政府が導入した制度である。新NISAは、長期的な資産運用を支援することで、老後の経済的な不安を軽減することを目的としている。政府は、若い世代から投資を始めることを推奨しており、非課税期間を長くすることで、複利効果を最大限に活用できるようにしている。政府はオフィシャルには語っていないが、年金や社会保障制度は今のレベルでは持続は難しく、国民の自己責任によって解決するしかなくそのためのNISA制度と推察できる。
3. 新NISAは必ず利用しよう。
新NISAになってから非課税枠が拡大されている。
単純化して新NISAを説明すると、下記になる。
積立枠 : MAX 月10万円まで積立が可能。(年間120万円まで)
成長枠 : 年間240万円まで投資が可能(任意のタイミングで購入可能)
年間の上限:積立120万円+成長枠240万円 = 合計360万円。
新NISAの上限 = 投資元本1800万円(360万円ずつ買った場合は、5年で満額となる)
成長枠ってなに?と思う人もいるかもしれないが、あまり気にしなくていい。積立枠でも成長枠でも、あなたが新NISAで買うべきなのは、個別株ではない。インデックス投資がお薦めだ。特に、以下の二つの投資信託は優れた選択肢と言える。下記は成長枠でも、積立枠でも、どちらでも購入可能だ。
この二つを、下がった月も上がった月も気にせず、買い続けることが重要である。
🔸eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)は、アメリカの代表的な株価指数であるS&P500に連動する投資信託である。S&P500は、アメリカの大企業500社で構成されており、過去の実績からも安定した成長が期待できる指数である。アメリカ経済は世界最大の経済規模を誇り、多くの革新企業が存在するため、長期的な成長が見込まれる。
🔸eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)は、世界中の株式市場に分散投資する投資信託である。MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)に連動し、先進国から新興国まで幅広くカバーしている。分散投資によるリスク分散効果が期待でき、全世界の経済成長に対するエクスポ
ージャーを得ることができる。
リスクはオールカントリーの方が低い。世界中に分散しているため、リスクヘッジが効いている。その分、利回りは下がる。S&P500も大変優れた投資信託である。オールカントリーに比べて利回りはあがるが、その分アメリカ一国のため、リスクは上がる。どちらかに投資することをお勧めする。計算によって違うが、SP500の年間利回り 7%-11%, オールカントリーは6.5%-9%ほどが期待できる。
もし、お金に余裕がある人は、1800万円をなるべく早く満額にすることをお勧めする。時間を味方にして、複利効果を最大に活かすことができるため、なるべく早く始めて、早く満額を目指すのが望ましい。
4. 60定年の場合は、毎月の投資額をいくらに設定すればいいか。
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)とeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の年間平均利回りを仮定し、22歳、30歳、40歳からのパターンで必要な毎月の投資額を計算する。ここでは、S&P500の年平均利回りを7%、オール・カントリーの年平均利回りを6.5%、インフレ率を2%と仮定する。(どこを起点にするかによって、平均利回りは変化するが、便宜上、この利回りを使います)
前提条件
目標金額:2,000万円
投資期間:22歳から60歳、30歳から60歳、40歳から60歳
S&P500年利:7%
オール・カントリー年利:6.5%
インフレ率:2%
毎月定額積立
22歳から投資する場合(38年)
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500):毎月の積立額:約13,100円
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー):毎月の積立額:約14,300円
30歳から投資する場合(30年)
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500):毎月の積立額:約24,700円
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー):毎月の積立額:約27,000円
40歳から投資する場合(20年)
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500):毎月の積立額:約54,800円
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー):毎月の積立額:約59,800円
5. まとめ
老後二千万円問題を解決するためには、早い時期から投資を始めることが重要である。新NISAを活用し、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)やeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)といった優れた投資信託に毎月定額を積立てることで、効率的に資産を形成できる。22歳から投資を始めると少ない金額で済み、遅く始めるほど多くの積立額が必要になる。新NISAを利用し、計画的な資産形成を行い、老後の不安を解消しよう。
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