茶道具屋で修業中 〜安南〜
最近、縁あって我が家にやってきた抹茶茶碗。
箱には「安南写 茶盌」「陽炎園造」と書かれています。
ということで、今回は「安南」について。
安南(あんなん)とは、ベトナムのこと。
その地域で焼かれたやきもの(主に染付、赤絵などの陶磁器)を「安南焼」といい、15世紀ごろから日本へ渡来してきたそうです。
安南焼の特徴は、絵付や紋様がにじんだり崩れたりしている点。中国のものほど技術が高くなく、いわゆる失敗作のようなものが多かったようです。
しかし、室町〜江戸前期の日本の茶人たちはこれを「絞り手(しぼりで)」といって珍重しました。
その不完全さ、足らざる点に“侘び寂び”を感じたのでしょうか。
写真の茶碗は「安南写」といって、安南焼を手本として日本で焼かれたもの。「陽炎園(かげろうえん)」という滋賀・膳所焼の由緒ある窯元の作品です。
上記を踏まえて見ると、何となく異国情緒ある味わい深い絵付のように感じます。
やきものの歴史を調べると、手持ちのお道具にさらに愛着が湧いてきますのでおすすめです。
最後までお読みくださり、ありがとうございます。
〈参考文献〉
淡交社編集局編. 『実用 茶道用語辞典』. 淡交社, 1993, p.15
淡交社編. 『淡交別冊愛蔵版 やきもの-炎が生んだ陶磁器の美』. 淡交社, 1993, p.59
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