アームラインの構造と機能

皆さんこんにちは!セラピストのtakuya です!

本日は、腕の機能を司る筋膜のラインである「アームライン」について、「SFAL」「DFAL」の説明をしていきたいと思います。 

アームラインは全部で4つのラインで構成されています。前面の「SFAL(スーパーフィシャル・フロントアームライン)」「DFAL(ディープフロントアームライン)」、そして後面の「SBAL(スーパーフィシャル・バックアームライン」「DBAL(ディープバック・アームライン)」です!

今回は、「SFAL」「DFAL」についてです。この2つのラインは、胸郭の前面から始まり、腕の前面および外側面を走るラインです。

SFALは主に浅層から始まります。

筋膜の流れは、大胸筋および広背筋→上腕骨近位前面→内側筋間中隔→上腕骨内側上顆→前腕屈筋群および手指屈筋群(長掌筋、浅指屈筋、、など)、という経路を辿ります。

DFALは深層から始まります。

胸筋および鎖骨胸筋筋膜→烏口突起→上腕二頭筋→橈骨粗面→橈骨骨膜→橈骨茎状突起→橈側側副靭帯→大稜形骨、舟状骨→母指球筋、という経路を辿ります。さらに上腕二頭筋は深部にある烏口腕筋や上腕筋とも筋膜で連結されるので、これらの筋もDFALに含まれます。

こう見ると、SFALは浅層から始まり上腕内側および前腕前面、DFALは深層から始まり上腕前面および前腕やや外側を走行しているのが分かります。

DFAL、SFALの機能としては、肩関節では主に屈曲、内転、伸展の機能があります。また、どちらも握力に関与しており、SFALは主要な手指の屈曲機能に働き、DFALは補助的に働きます。

各ラインの特徴としては、

DFALは、烏口突起での小胸筋と上腕二頭筋の連結部で、急に方向が変わるため、上肢が下垂した状態では、これらの筋膜は機能的に連結しません。肩関節が90度外転すると、筋膜が一直線となり、機能的に連結します。


これらのラインに緊張異常があると、手を使うタスクを行う際などの手指屈筋などの過緊張による痛みなどの症状につながります。さらに、近位においては、肩甲上腕関節での異常運動の原因にもなります。


2つのラインは鎖骨、肋骨、胸骨より始まっており、開始部位であるこれらの部位に硬さがあったり、また不安定性があると、近位から遠位のラインにかけての緊張異常につながると考えられます。

また、逆に遠位での手指屈筋および母指球筋の過緊張により、近位である大胸筋や小胸筋および上腕二頭筋などの過緊張を起こす場合も考えられます。これらの近位の筋肉は胸郭にも付着するため、緊張が高くなってしまうと、胸郭の可動性の低下を起こし、呼吸機能の悪化の原因になります。呼吸機能が悪化すると、さらに胸郭が硬くなり、、という具合に負のループに陥ってしまいます。

よってSFALおよびDFALの緊張の評価、あるいは胸郭の硬さの評価などは、臨床上かなり重要だと考えています。


SFALの緊張異常の評価としては、肘伸展位で肩関節を外転し、手掌面を壁につけて、肩を水平外転していきます。

DFALは、SFALと同じ方法で行いますが、前腕を回内し、母指と示指の背面を壁につけて、肩を水平外転します。

上記の方法で2つのラインを伸ばし、どちらの伸ばし方で痛みが強いか、そしてどの部位が痛むか。調べる事で、緊張が高くなっているラインと、細かい部位を評価します。

また、姿勢分析での評価は、大胸筋の緊張により上腕骨が内旋位で巻き型になっていたり、さらに小胸筋が緊張すると肩甲骨が前傾・内転位となっている場合が多いです。

以上、SFALとDFALの構造と機能でした。


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