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UTMB2023(レース編)


シャモニーでの調整


8/27(日) 日本出発 スタート5日前


今回のフライトは
羽田→イスタンブール→ジュネーブ
そこからシャモニーまで車で移動

初めてのヨーロッパ。
約22時間のフライト。7時間の時差。
体はどうなってしまうのだろうか。。ワクワクが上回るぜ!

イスタンブール🇹🇷ギラギラ!


機内食はパン、乳製品、肉。
正直これがファスティング明けの体にはきつかった、、
食べれるものだけ食べようと思っていたが、結局あの至近距離では
飢えた犬のように食べてしまった笑

改善①
コンディション整えるなら機内食は食べない選択肢あり。
誘惑に負けるな。

ファスティング明け、、回避できなかった、笑


8/28(月)シャモニー到着 スタート4日前


昼13時頃シャモニーにシャレーに到着。
長旅だった、、ヨーロッパってこんなに遠いんだなと、、

疲れてるのか興奮しているのか分からない笑
この日は外出せず、一日シャレーにこもる。
サウナに入ったりして移動の疲れを取った。
持ってきた玄米と缶詰。やっぱり日本人には和食が合うぜ。。
天候は曇り。モンブランはあまり見えず。
日没は9時。日本より日没が3時間ほど遅いのが凄く変な感じだった。
だけど布団に入るとたちまち意識を失ってしまった。

豪華なシャレー
サウナ!歓喜!!!
和食神

8/29(火)シャモニー散策 スタート3日前

翌日は天気が回復。モンブランも少し垣間見えた。
今日はシャレーの人とシャモニー散策。
街は既にUTMBで一色だった。
憧れのこの舞台でついに走れるんだ。気分はたちまち高揚した。
散策後、買い物。良く分からない野菜を買い込む笑
シャレーに戻り、裏山を軽く散策。荷物は背負わず距離は7km。
そんなに状態は悪くはないかなというところ。

改善②
そういえばシャレーの水をずっと飲んでいたけど、
コンディションを整えるならスーパーの水を買った方がいいと感じた。
エビアンの方が美味しかった笑

ついにきたぜ、、!
モンブランが!晴れてきた!
右上の謎イモと謎メロン
裏山散策


8/30(水)終日調整 スタート2日前

この日は装備の整理と調整。
思い切って5km700mアップのトレイルに入る。装備は本番同様。
ファスティングもして体の感覚も変わっていたので
心拍は120bpmくらいで体の動きを意識しながら行った。
ただちょっと負荷弱かったかなと後で反省。

改善③
レース心拍で登ること。140~150bpm目安くらいで。
ちょっと筋肉への刺激が弱かった感あり。


穂高かと思った笑
謎メロンうまい!!



8/31(木)ビブ受け取り スタート1日前

やばい、昨日のトレイルで四頭筋に筋肉痛がきている、、
筋肉の衰えに少々焦る。結構刺激が強かったみたいだ、、笑
明日までに抜けるかどうか。。それが気がかりだった。
若干コンディションに疑問がよぎった。
ファスティングが直前過ぎたか?
8月の負荷が弱くなりすぎたか?
色々と考えてしまう。でもここまで来てしまったからには
どんなコンディションであれ、全力でやるしかない。言い訳は無用だ。

この日はビブを受け取り、その後サポートの方に荷物を渡す。
パーゴワークスの斎藤さん新藤さん、急遽無理を言ってサポートを受けて頂いたルクタスの久保さん、本当にありがとうございます!!!


改善③
登り下りの強めの刺激は3日前までに終わらすこと。
筋肉痛は予想外だった。。


ビブゲット!
装備チェックは必要な方のみ
緩い笑



9/1(金) スタート当日

朝起きて、筋肉痛は若干あった。。
でも気にしている場合ではない。
またこの二日、玄米や野菜食べ過ぎて若干胃が貼っている感じがあった。。
食物繊維はやっぱり取りすぎに注意。
これも気にしている場合ではない笑

一旦起きて、朝ごはんを取り、準備をして昼ごはんを取る。

その後2時間ほどの仮眠をした。
正直時差もあってこの4日間ぐっすり眠れた感は少ないけど、これも気にしている場合ではない笑

どんな状況であれ全て受け入れる。
全て自分で選択し招いたことなのだから。

改善④
玄米は前日食べない。。食べるにしても2日前から量を減らしていく。
前日は白米に切り替える。
食物繊維はほどほどに、、


日の丸を背負い、いざ!!




レース展開

スタート~コンタミン(0km~31km)

スタートは午後6時。
シャモニーは強い日差しと熱気に包まれていた。
2700人の選手と観客がスタートの教会の前に集まってくる。
本当に世界最高峰のトレイルランニングの祭典だ。

1時間前に整列したが、既にスタートゲートの前には大勢のランナーが押し寄せている。
何とか前の方に行こうとするけども、ちょっと後ろの方でスタンバイ。

165cmは埋もれる笑

色々とナレーションしているが、聞き取れないし周りの背が高いので何が起きているか全く分からない笑

やっとスタート5分前くらいになり
UTMBのテーマ曲「コンクエスト・オブ・パラディ」が流れ出す!

おおー!これがあの有名な!!
胸が高鳴る!

周りを見ると既に涙を流しているランナーもいた。
感極まっているようだ。

音楽がクライマックスになると
いよいよスタート!!

先にエリートランナーがスタートして、その後に続いた。

さあ170kmの激走が始まるぞ!

と、スタートするやいなや
つっかかっては止まりを5回ほど繰り返す。
スタートの花道は思ったより狭かった笑

両脇の応援にハイタッチしながら進んでいく

暫くロードを2kmほど走るとトレイルに入った。

ここで一気に道幅狭くなり
軽いアップダウンが始まる。
まだまだ周りの人も多く、少々走りずらい。

心拍も160を推移している。
スタート時のアドレナリンもありまあこのくらいだろうと
そこまで気にせずに進んだ。

この区間はとにかく周りのペースに惑わされないこと。
まだまだ先は長いのだから。

あっという間に
エイドU1レズッシュ(8km地点)
に到着。
ここでは大きな水道が設置されており、自分で蛇口を捻り
給水するタイプ。
水の勢いが容赦なさすぎる笑

給水だけしてエイドを後にすると、すぐにゲレンデを登り始める。
ここからは800mアップの長い登り。
早速登りでポールを出す。
走る事はできず、歩きで押していく。

トップ選手はここを走って登っていくのだろうか。。
そんなことを思いながら、無理をしないペースで進めていく。

道幅は5mくらいあり、渋滞もさほど気にならなかった。

山頂に上がっていくと風も強くなってきた。

ここでザックをおろしドライインナーを着る。

風があたると肌寒い。。
スタート時は暑かったので着てなかったけど、最初から着ておけば良かったなと後悔。

改善①
スタートからインナーを着ておくこと。
空気が乾燥している為、日陰になったり標高が上がると一気に冷える。

ドライインナーを着てほどなく進むと、下りに差し掛かる。

この斜面が中々急で、ブレーキをかけながらうまく進む。
1000m下るので、これまた足への負担が大きい。
さらに、結構草がボコボコしていて荒れていた。
でもなんだか日本のゲレンデの下りと似ていて妙に嬉しくなってしまった笑

下りは得意なので少しずつ、抜かされていた分を取り戻していく。

長い下りを終えると
エイドU2サンジェルベ(21km地点)
に到着。

食べ物もある1番大きなエイドだ。

ここの街の盛り上がりは半端じゃなく、轟音かと思うくらいの
大声援が街に響き渡っていた!!

エイドにはパン、チーズ、クッキー、サラミ、フルーツなど
バイキングのように並んでいた。
ファスティング明けの身体では
目がくらみそうになるがここは我慢笑

バナナ少し食べ、水を500ml給水してもらい出発。

このあたりから日が落ちてきて、夜間パートが始まった。
フランスの日没は相変わらず遅い。
体感的にまだ慣れない。

ライトもここから装着。
心拍も140くらいに若干落ち着いてくる。

そしてこの辺りから胃腸がグルグルし出してガスが溜まりまくった。
あれ?なんだなんだ?この溜まり方は異常だぞ。。

昨日、玄米食べすぎたかなと反省。。
あとファスティングもしたせいか、胃腸が活発になっているのだろうか。。
それともエイドの水のせいなのか。。

でも我慢しては体に悪いのでとにかくガスを外に出した

今まで経験した事のないスピード感のグルグルで10分に一回は爆発していた

最初は後方にいたランナーを気遣っていたが、外国人だしもういいかと
気にせず爆発した笑

日本人だったら多分、遠慮をしていたかもしれない。。笑
いや、どうだろうか、、笑

ガス爆発していると今度はお腹が痛くなってきた。。

く、、コンタミンまでなんとか持ちこたえてくれ。。

コンタミンまでは細かいアップダウンや暗がりで正直あまり覚えてない、
胃腸の調子が悪く、消化不良な区間になってしまった。。

そしてようやくコンタミンの灯りが見えた!
エイドU3コンタミン(31km地点)
に到着!

ここではパーゴワークスさんにサポートをお願いしていた
ジェルを受け取った。
本当にありがとうございます!
あとバナナとスイカを食べた。
スイカも日本と同じ味で美味しい!

とその後に速攻トイレへ、
うーん、お腹の調子があまり良くないな、異常なガスも止まらない

トイレを出てサポートの御礼を告げてコンタミンを出発した。

コンタミン~クールマイユール(31km~81km)

コンタミンを出ると少しフラットな道を1km走り、
標高2500mのボンノム峠へ登り始める。

ボンノム峠の登り口には物凄い人がいて両サイドからの応援が凄かった!

まず応援のテンションがおかしい。笑
こんな真っ暗な山の中なのに。
そして声が本当にデカイ!笑
腹の底から声を振り絞っているのがわかる。
こちらもそれに答えて全力で登る!

暫くすると、応援は聞こえなくなり
聞こえるのは選手の息遣いと、ストックの着く音や足音だけになった。

ここからは9km1200mアップの激登り。恐らくコースで一番長い登り。
標高も高くなり気を引き締めていく区間だ。
道はしっかりと整備されていて登りやすい。

上を見上げるとライトが遠くまで光っている。あそこまで行くのかと思いやられるが、目の前の一歩を大切に進んでいく。

夜空は雲一つない、美しい星空。
天候は最高だった。
だが相変わらず僕の胃腸はガスで曇っていた。
後ろに女性選手が付いた時はさすがに爆発出来なかった。
レディーの前では冷や汗を隠し紳士に振舞った。

U4ラバルメ(39km地点)に到着。

ここまでは割とあっという間だった。コンタミンから8kmしかない。
このエイドは山中にあり、
先程のコンタミンとは一変、静まりかえっていた。
観客はおらず、エイドのスタッフのみ。
こんな山中に本当に感謝。。

ここでは水とバナナ、スイカ
基本的にフルーツばかり食べていた。
水は明らかに山の水を引いている水道があった。
なんとなくだけど、ここの水はイマイチだった気がした笑

ラバルメを後にして、さらに登っていく。まだ序盤なので周りのペースが速い。必死に流れに乗る。
結構岩場が多くなってきた。
雪もまだ残っており、先日の悪天候がうかがえる。

そしてようやくボンノム峠2500mに到着。
長い登りを終えて一息つく。。

するとこのあたりで尿意が来たので
その辺で尿を足す事に。

ここで事件は起きた。。。

何じゃこりゃあああああああ!!!!!
うわあああああああああああああああああああ!!!!

見るとドス黒い尿が
みるみる雪の上が茶色く染まっていく。


紛れもない「血尿」だった。

これはとんでもないことになったぞ。。
こんな序盤の序盤で血尿は意味が分からなかった。

ましてや人生で今まで出たことなかったし、頭は完全にパニック。
GTOの内山田教頭の気持ちが初めて分かった。笑

まさにこの冷や汗

しかし尿道に激痛が走るとかそういうものはなかった。
内臓系がやられてしまったのか。
異常なガスからの血尿、、これはどう考えてもおかしい。。
レース中に倒れるんじゃないかと本気で考えた、、

だけど今はレース中だ。
弱気になってはいけない。


なんとか気を取り直してボンノム峠を降り出した。

ここの下りは結構滑るところが多かった。
先日の雪の影響が残っている。

そして下りになると余計胃腸に衝撃がかかり、
またしてもグルグルいっている。

腹痛を我慢しながら下り終えると
U5シャピュー(50km地点)に到着。
ここもバナナとスイカを少しだけ食べた。
あと、良く分からないジェルみたいなものを食べたけど、
全然美味しくなくて、すぐ吐き出してしまった笑

そして、お腹が痛いのでトイレへと駆け込んだ、、

コンタミンに次いで、2回目。
レースでこんなトイレに駆け込んだのは初めてだ。

尿意もあって出してみたが、
真っ暗なトイレで
ライトに照らされた尿はどす黒かった。
立て直したメンタルも、尿を見ると一気にグラついてしまう。
不安でしょうがなかった。

でも行くしかない。立ち止まってる暇はない。とにかく前に進むんだ。

そしてシャピューを出発した。

次はセーニュ峠への登り。
標高1,600mから標高2,500mに登るので、まだまだ油断は禁物だ。

ボンノム峠よりかは斜度は緩かったが
山頂に近づくにつれ
向かい風が凄く、前に進むのが大変だった。
レインジャケットを羽織るが、風でバタついてしまって中々着れない。
正直ここが1番体力的にも消耗した。

そして登りきると今度はかなりガレた下りが待っていた。
ここは一歩足を踏み外すと足を挫いてしまいそうな危険な場所だった。

でもこういった、テクニカルな下りは得意なのでここで
少しずつ順位をあげていく。
が、やはり下りになると衝撃が来るからか、またしても腹痛。。
早くU6ラックコンバルに到着してくれと願い、駆け降りた。

U6ラックコンバル(68km地点)
に到着した。
ここでもトイレに行く。
合計で3回目。
3回出したところで、胃腸が少し楽になった感じがあった。
血尿は今だ止まらない。

でも、この下りで少しスイッチが入った感じがあり
ここから順位を少しずつ上げていくことができた。

ラックコンバルを後にして、1kmほど平坦な林道を進み
標高2,400mのモンファブレへと登る。
ラックコンバルは標高2,000mで、400mアップくらいなので
そこまで長い登りではない。

しかもここの登りはガスも晴れていて
割とすんなり登れてしまった。
さっきの強風はどことやら。
周りのペースも少しずつ落ちてきていて、少しずつパスしていく。

50km地点をすぎるとそれぞれのペースが乱れ始める。
ここは自分に集中して淡々と進む。

モンファブレを登り切ると下りが始まった。
ここの下りは比較的走りやすかった。
本当にUTMBの道は整備されている。
日本では中々見られないサーフェイスだ。

下りの途中で
U7チェクロー(76km地点)に到着。
しかしクールマイユールまで下りであと4kmなので
給水せずにそのままスルーした。

そこからの下りは結構テクニカルで
奥武蔵のように根っこがはびこるトレイルもあった。
あれ!UTMBにもこんなコースがあるのか!と
またもテンションがあがってしまった笑
馴染みがあるのはちょっと嬉しい。


そして下り切ると
U8クールマイユール(81km地点)に到着。
ようやくドロップを受け取る。

特に着替えはせず、補給食を入れ替え始めた。
そこでふと気づく。
あれ、思ったより消費が少ないぞ。。

改善②
30分で一個のペースだったけど
登りはポールで手が塞がり、
下りは腹痛であまり食欲でずで
アラームを鳴らしても無視していた、、

コンタミンからクールマイユールの山岳区間は夜間で、気温も低いので
無理をしてでもしっかり食べるべきだったと、この後の登りで痛感。

そして持ってきたファミマの芋羊羹も1個食べるけど、
ちょっともたれてキツイ、、
普段はめちゃくちゃ美味しいんだけどな笑
スポーツ羊羹もちょっとキツくて食べづらくなってきた。。

ジェルを入れ替えた後は、またしても食べやすいフルーツを食べる。
正直ここでのカロリー摂取は少なかった。

クールマイユール~シャンペラック(81km~127km)

クールマイユールを後にしてここからU9ベルトーネへ登る。
このあたりで日が昇ってきた。
長い夜がやっと明ける。。
スタートから3時間で日没という変則的なスタートで
ましてや時差もあり、もう時間感覚がぶっ壊れてる笑


ここは800mほど登るので気合を入れなければ。
しかしここで一気にグラついた。。
あれ、、やばいな力が入らない。
恐らくハンガーノックだった。

これまであまり食べてなかったからだろう。。
なんとか切り抜けようと、ジェルを2個と1発目のカフェインジェルを投入。

暫くすると目が覚めてきてペースも少し戻ってきた。
危なかった。。

なんとか登りきり
U9ベルトーネ(87km地点)に到着。

ここは絶景だった。
イタリア側から見るモンブランはとても険しく美しかった。

絶景!

絶景を左手に見ながら走る。
ただやっぱりペースが落ちているな。
この区間は割とフラットで走りやすいが、
標高2000mを10km走るので身体がだいぶ重く感じた。

そしてこの辺りで石に躓き転倒してしまった!
かなり膝を強打して血が流れる。
痛かったが、耐えられない事はなかった。
こんなの大したことはないと言い聞かせ前に進む。

ここの10kmはとても長く感じた。
これまでのガッツリ登って下ってを繰り返していた
感覚とはまた違い、走らされる区間でキツかった。

改善④
ここはフラットで走力が求められる場所。
僕の弱点でもあるこの箇所はまだまだ伸び代がある。

そしてようやく
U9アルノバッツ(99km地点に到着)

ここから標高2500mのフェレ峠への登り。
しっかり補給をしなければと思った。

ここで初めて、エイドにあった
クッキーやパウンドケーキ、シリアルバー的なものを食べた。

ウ、ウマイ!!!笑

ハンガーノック気味だった身体に糖分が染み渡った。
またシリアルバーのザクザク食感がたまらなかった。笑
やっぱり食感あるものを求めてるんだなと、、
ここでは相当食べた。
恐らく600~800カロリーは食べた気がする。
そして2個目のカフェインを投入。
これだけ食べれたのも、フラットな地形で胃腸の揺れが治まったかもしれない。

改善⑤
クッキーやパウンドケーキ、シリアルバーなどの高カロリーなものは
もっと序盤から食べてもよかったかもしれない。
消耗が激しい序盤だからこそ、無理をしてでも食べておく。

しっかり食べてトイレに行くが、血尿は止まらず。

「いや、大丈夫だ、気にするな。」
何度も自分に言い聞かせた。

そしてアルノバッツを出発し
フェレ峠への登り。
さっきのエイドで爆食いしたおかげでここの登りはかなり踏ん張れた!
前の選手はかなり消耗しており次々とパスしていく。

進め!!!!


登り切るといよいよ20kmに及ぶ長い下り!
斜度も緩く、とても走りやすかった。
カフェインも効いてきて調子が上がってくる。

ここも軽快に降っていく。

下りの途中で、
U11ラフーリー(113km地点)
に到着。
ここでもクッキーやシリアルバーを食べる。

あとコーラも飲み出した。
シリアルバーをコーラで流し込むのがたまらなかった。笑

一方でジェルはあまり受け付けなくなってきた。
水もずっと硬水を飲んでおり、ちょっと詰まる感じがある。

ラフーリーを出発すると
標高も1000m下がり、日も照り付け、気温が暑くなってきた。
ペンションなども周りに見え始め
ようやく2,000m級の山岳区間を抜けたという感じだ。

途中、お酒を飲みながら応援してくれてるフランス人
陽気でサイコーだ笑

改善⑥
ラフーリーからの下りは先ほどより緩やかになるので、
かなり走力が求められる。
ここは重力に任せて下るというよりも、しっかりと走る必要がある。

下りきると今度は
シャンペラックへの登りが始まる。
20kmに及ぶ長い下りの後の登りはキツかった。。
気持ちを切り替えてしっかり登る。
斜度もそこまでキツくないので、走れる場所は走った。

そしてようやく
U13 シャンペラック(128km地点)
に到着。

ここでルクタスさんからサポートのバックを受け取る。
めちゃくちゃ助かった。。ありがとうございます!

ここもジェルの減りが今一つ。
だけど、2個前のエイドからしっかり食べれたので
そこまで空腹感はなかった。

ここでサポートの方からカレーを振る舞ってもらった。
これが本当に美味しくて、目が覚めた!スパイスの香りが最高!

その後はエイドのクッキーやシリアルバーを食べる。
胃はキリキリし始めているが、食べないと動けなくなる。

サポートの方に礼を告げて、出発した。

この後はラスト3つの山が待ち構えている。
気合を入れていくぞ!!

負けられない!!

シャンペラック~ゴール(128km~171km)

シャンペラックからは、2kmほどの下り基調。
分かってはいたが、思ったよりも下るので
さっき食べた固形物が胃の中で大暴れして大変だった。

下りきるとジエテ山の入り口に到着した。
ここからまた800m登る。
気合を入れるため、3つめのカフェインジェルを投入。

ここで事件発生。
後ろに手を伸ばしストックを取ろうとするが、、

あれ!!ストックがない!!!

どうやらシャンペラックに置いてきてしまったようだ。。

改善⑦
シャンペラックから出るときはストックを忘れずに。
シャンペラックは登った後のエイドなので
ストックを使用したままエイドに入る為、要注意。

ストックはないので、パワーウォークで推し進める。

山の中腹まで差し掛かると後ろから
「アレ!アレ!」
とフランス語で行け!行け!と女性の大きな声がした!

なんと後ろから女性ランナーが猛プッシュしてきた!!
それはもう恐ろしい形相だった。。

完全に面食らってしまった、、
これが本当のラストスパートってやつか、、
しかし、ここで負けてはいられない。

こちらもスイッチが入り、走り出した。
正直山頂付近で脚はかなり来ている。
だがプッシュだ。甘えは1ミリも許されない。

猛プッシュだ!!

ようやくピークに到着し安堵した。
猛プッシュしていた女性ランナーはもう見えない。

ピークを過ぎると今度は下り。
ここの下りはテクニカルだったが、
力を振り絞り駆け下った。
これまでの長い下りの連発で蓄積したダメージが凄かった。
四頭筋が悲鳴を上げてきた。

トリエントまでもう直ぐだ、、頑張れ!

U15 トリエント(143km地点)
に到着。
なんとここでサポートの方がさっき忘れた
ポールを持ってきてくれていた!!泣
本当に感謝!!

ここでもシリアルバーに手を出したが、1欠くらいしか食べられなかった。
先ほどの下りでやられたか、、

正直、胃袋は相当しんどい、、
あまり食べられなくなってきている。

トリエントを出発するとまたしても800m登る。まさにボスラッシュである笑

ここで4個目のカフェインジェルを投入。
正直これは少し失敗

改善⑧
この4個目のカフェインジェルを入れた後から頭痛が凄かった。
今まで2個までしかレース中に食べた事がなく、今回はその2倍。
1個あたり50mlのカフェインが含まれているが、恐らく150mlまでが
限界値なのかもしれない。元々カフェインにはかなり敏感。
①80km ②100km ③130km ④145km
合計4回上記の地点でカフェインを摂取。

カフェインを入れた時もなんだか、体が拒否している感はあった。

ここからの登りは斜度20%でかなり険しいので
ポールなしでは本当に厳しかった。

しかしその一方で、ポールに切替た分
補給がかなり疎かになってしまった。

改善⑧
ポールで手をふさがれてしまう、最後の3つの山の補給は課題。
フラスクに混ぜて飲むのがいいのかも。
疲労困憊で、ポールを一回外して、ジェルを出してという作業が
本当に億劫でしょうがなかった。

なんとか登りきった。。
しかしこれから下りにさしかかるが、先ほどのジエテ山の下りのように
うまく下れない。。
そんなに難しくない、走れる下りなのに、、
ハンガーノック気味なのか、カフェインのせいなのか。

ちくしょう、、

いきなり落ちるってこういう事か。
ここの下りはフェレ峠の下りより長く感じた。

U15バローシン(154km地点)
にようやく到着。

ここに着いた途端、

「あと一山超えればゴールか。。」
そう思った瞬間、自分の中に甘さが出た。

改善⑩
この思考は本当に良くなかった。
まだ山が3つくらい待ち構えてるくらい
覚悟でいかないとここは本当に駄目だ。
ゴールテープ前で力が抜けるのと同じ。一瞬の隙も見せてはいけない。

食欲も全然なく、食べやすいスイカを食べた。
エイドの方が優しくて、水やゴミなど色々お世話してくれた。
満身創痍なこの状態では本当にありがたい。
サポートのスタッフの方も来てくれて
「池畑さん、頑張ってー!」と声をかけてくれた。
海外での日本語での応援は本当に力になる。

なんとか気を取り直して、バローシンを出発。

しかしここからの微妙な登りのダラダラした林道が長かった。。
5kmくらいは走ったのかもしれない。
コース変更になった個所だったが、ちゃんと
コースを見ていなかった。。
もう少し、しっかりと目を通しておけばよかった。。

改善⑪
必ず地図の高低図とイメージを一致させ
頭の中で走れるような状態にしておくこと。
日本なら試走が出来るが、海外はそれが難しい。
イメージのズレは心理的不安を発生させる。

ようやく林道が終わると登りの案内が見えた。
やっと登りか、、長かった。

さあ、ここから登り。
しかしペースは確実に落ちている。全然進まない。

すると、前に激潰れしている選手がいた。

それを見たとたん、自分もつられてさらに潰れてしまった。
最後の最後で甘さが出た。

改善⑫
どんなに辛くても、前の人につられてつぶれないこと。
心を鬼にしてプッシュする。これはレースだ。

情けない限り。
中々立て直せないまま、登り続ける。

こんなにきついものが世の中にあるのかってくらい
きつかった。
早くこの苦痛から解放されたかった。

ここの登りは先ほどの2つの山より、根っこや岩が多く
かなり踏みにくかった。
険しすぎる。。

一旦登ると、下りに差し掛かり再度登り返す。
これには心底、根を上げた。。
この下りもテクニカルで本当に泣きそうだった。

補給も全然出来てない。
億劫だし、胃腸も受け付けない。

樹林帯を抜けると、ゲレンデの上に
最後のエイドが見えた。

まさか、あそこまでいくのか、、!
本当に遠かった。

しかし永遠かと思う登りには必ず終わりがあり

最後のエイド

フレジール(166km地点)
に到着。

バローシンから12km、本当に長かった。。
ここでコーラを少し飲み、気分を少し回復させる。

後はゴールまで下るだけだ。
ここはすぐさま出発した。

痛む脚をこらえながら、必死に下る。
いつもだったら大したことないが、もう166km走った後だと
コントロールが効かない。

必死に自分をコントロールする。最後まで自分を見失ってはいけない。

ペースは上がらないが、少しずつ下る。
あともう少しだ!振り絞れ!!

すると、ようやく街並みが見えてきた!

よし!あと少し!!

やっと帰ってきた。本当に嬉しかった。。

丁度時刻は8時頃、まだ明るい
シャモニーのメインストリートには
お酒で陽気になった観客の方々が
選手を祝福してくれていた。

本当に大声援だった。
こんなにもゴールを歓迎してくれるなんて。

涙を堪えながらゴールまで走る。

ハイタッチをして念願のゴール!!

25:56:54秒
総合54位

170kmに及ぶ激走が幕を閉じた。

実際の目標タイムよりは全然遅かったけど、
まずはしっかりと完走出来て良かった。

次はまたさらに上を目指す。
僕のポテンシャルは計り知れない。

35歳で世界一になると決めたんだ。
絶対にやってやる。

僕の言葉に嘘はない。


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