令和喜多みな実襲名~舞台用語アレコレ~
本日はプリマ旦那改メ
令和 喜多 みな実襲名披露公演でした。
改名の口上を行うとのことで、本人たちや作家にどんな感じで口上をしたいのか聞くと、まぁまぁあやふやな感じ…。
そりゃそうだろー。
若手芸人が口上なんてすることまずないし、マニュアルやアイデアが自分たちの中に無いのは当然です。ましてやNGKという自由度が高い劇場ですから。
他の若手芸人ならこんなパターンどうかな?と合いそうなのを提示して話しを進めるんですが、演出も出来る自分なりの拘りがある野村には、こっちがパターンを絞るより、資料が残っている範囲でNGKで過去にやった口上パターン全部提出して、
好きなもん選べ!
もしくは
好きなもん組み合わせろ!
という風に一旦テーブルに口上のパターンを並べました。
桂小文枝襲名披露
≪所作台+後ろ幕≫
その前がNGKリニューアルオープンの口上
≪高座台+ビジョン≫
その前が酒井藍座長就任口上
≪緋毛氈+金屏風≫
と、まぁ様式は色々あるんです(笑)
今回は
≪緋毛氈+松羽目≫
写真はネットニュースより
本文はコチラ
口上が始まるカタチも拍子木で緞帳開けたり、今回みたいにお囃子で開け「とざい、とーざい!!」の掛け声いれたり、色んなスタイルがあります。
セットも形式も漫才中の照明も、野村先生にフルカスタムしてもらいました😊
今回、人生で初めて口上を生で観られた方も多いと思います。袖から突如聞こえた
とざい、とーざい!!
の掛け声に「何それ!?」って思われた方の為に僭越ながら少し解説を。
とざいとーざいは「東西東西」ということなんですが、今はそうではないのですが、江戸時代は寄席(劇場)は南側を入り口にして、北側を舞台にしていました。こうすることで、東から昇って少し南側を通りながら西へ落ちてゆく太陽にずっと舞台が照らして貰えます。電気のない時代の工夫ですね。
逆に作るとお客さんはずっと逆光で観てられないでしょう。
だから舞台から視るとお客さんは東南西の方角に座っているので、端から端まで届け!という意味合いで「東西東西」と声を掛けるようになったそうです。
400年近くも前の文化が舞台ではまだまだ残ってるなんて、粋な世界だと思います。
話は脱線しますが
「大根役者」なんて言葉も歌舞伎から出てきました。大根は食い合わせがいいので、食あたりしない。だから下手な役者に対して
≪アイツが出ている芝居は当たらない≫
というところから大根役者と表現するようになりました。
トチる、よく芸人が言う言葉ですね。失敗するという意味です。
歌舞伎時代は客席の配列が前から「いろはにほへと、ちりぬるよ」で並べられていました。今はアルファベットか数字ですが。
真ん前の席は近いけど、視野が狭くなります。
逆に7列~9列は舞台全体が見渡せて、全部見抜かれてしまう席それがいろは順だと「とちり」の席に当たるわけです。
とちり席には失敗がばれちゃう、という意味からトチりという言葉が生まれました。
大相撲では千秋楽と言う最終日がありますよね、舞台にもありますが、舞台の場合は千穐楽と書きます。
江戸時代は火事が多く、それは寄席の天敵でした。
千秋楽の秋の字には火がついてる=縁起が悪い!
ってことで、秋の難しい漢字の穐を採用しました。
話しが脱線しているのにも関わらず、更に余談ですが、日本は縁起を大事にするので、お囃子さんが使うスリ鐘のことを舞台ではアタリ鐘と言い換えています。
みなさんの馴染みのところで言えば、スルメもアタリメに言い換えてますよね!
二枚目とか十八番とか舞台から出典の言葉は多くあります。調べてみると面白いですよ😃
まぁとにかく令和喜多みな実が、キタからミナミだけでなく、とーざいにも広く知れ渡り、日本を代表する漫才師になってくれるのを願うばかりです。
ご来場誠にありがとうございました!
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